今日はアナログフィッシュとOs Ossosというバンドの対バン。
アナログフィッシュは年内ラスト、しかもアルバム発売直前というタイミングでもあるので行くしかないと。
もう一方のバンドは完全に初めましてであったが、そんなことは大した問題ではない。
最初はOs Ossosという何と読むのか初見では難しいが、せっかくなのでちゃんと聴く。
ミディなテンポで歌のメロディがポップだ。
基本穏やかな曲調ながら、後半はかなり転調しまくる曲もあったりと、一筋縄ではいかないらしい。
なんだか夏休みの夕方みたいなエモさがあって、また音源も聴いてみようと思う。
さてアナログフィッシュである。
今週には待望のアルバムもリリースとなる。
すでに多くの曲はライブで演奏されており、3曲が配信でリリースされているのである程度全体像はこんな感じなかなとイメージしているが、果たして全体としてどうかである。
今日も新曲を中心に期待しつつ、年内最後なので自ずから期待してしまう。
で、1曲目はいきなり新曲"Saturday Night Sky"だ。
早速ライブでは板についているが、この曲はかつてないほどファンキーでダンサブル。」
ドラムも電子パッドも織り交ぜており、ギターもカッティングで切りこく展開。
ベースは人力ながらかなりアンプでブーストしているようだが、これがかっこいい。
そして“Is It Too Late?"はより歌メロの際立つ曲だが、80年代か90年代っぽいメロディラインがいい。
コロナ禍において製作されたアルバムのためか、その反動とばかりにダンサブルな曲が多いし、ファンクとかディスコなテイストがひとつのテーマだろうか。
確か3月頃のライブで、当時まだできたばかりの"美しいほし"はイントロから見事Joy Division、今僕ポストパンクなんですよと下岡さんも言っていたな。
ともあれ俄然期待が高まるし、どっちの曲もライブ映えがすごい。
めちゃ楽しい。
そこからは"Showが始まるよ“などこれまでの曲で進んでいく。
ちなみに、今日は会場が狭いこともあって久しぶりに最前列で見たので手元もしっかり見られたんだけど、そのおかげでどっぷり入り込めたな。
"Ready Steady Go"はオリジナル版以上に語理書けるようなアレンジは久しいが、浜本さんの加入以降はよりエモいアレンジもされて、後半になるに従ってどんどんもりあがっていく展開はどんどん磨きがかかっている印象だ。
またオリジナルではベースとドラムとラップ調のヴォーカルのシンプルな曲である“最近のぼくら“は、最近ライブでは遊びまくっており毎回ちょっとずつ違うのだけど、今日は洲一郎さんのドラムが暴れまくっていた。
裏で密かに踊ったりノイジーにギターをかき鳴らす浜本さんもナイスだ。
最後はテンション上がりまくりの健太郎さんを微笑ましく見守る下岡さんという図式も。
この関係性が音楽にも出ているように思う。
そして個人的には久しぶりな“There She Goes (La La La)“も演奏されたんだけど、この曲のハッピーなフィーリングはやっぱりいいね。
改めてきくと、この曲もディスコ的な曲なので、今回のアルバムと地続きにあるのかもしれない。
歌詞も含めて幸せな瞬間のキラキラした感じを表現しているなと思う。
そして終盤に新曲”Moonlight“が演奏されたんだけど、この曲もまたいい。
なんか感動しちゃうんだよな。
明るい曲だし、とてもダンサブルなんだけど、彼らの曲に総じて共通する優しさとかそういうものが出てきて、なんだか泣きそうになる。
本編は”荒野“でラストだったのだけど、今日のセットリストは総じてこのライブができるようになってきたことに対する彼らなりの喜びなんかを表そうとしたのかなという感じだった。
最高だった。
そしてアンコールの1曲だけ演奏されたのだけど、最近また演奏するようになった"抱きしめて"である。
この曲は本当に名曲、シンプルな言葉とメロディで、ただただいい曲。
もっと最高になった。
時間は1時間くらいだったので、彼らにしては短尺だったと思うけど、ずっと幸せであった。
私はこのバンドを聴くようになって多分まだ10年経たないくらいだ。
ちょうど震災の頃に聴くようになったからな。
政治的、社会的なメッセージ性の高い曲も多いので、どうしてもそういう強い曲が彼らを語る際にはどうしても前に出てくるが、それだけじゃなくて普遍的な人間愛やあなたと私の世界もある。
何気ない日常に根ざしたような曲もたくさんあって、聴いていると自分の日常の風景ともつい照らしてしまう瞬間がたくさんある。
新作には“Yakisoba“という曲があり、今日も披露されたんだけど、この歌詞の世界観はまさに下岡節だ。
「何にもいいことなかった、いい日だった」とサビでは歌われるが、そこで歌われるのはただの日常である。
何気なさすぎて人によっては日記かよ、と思うかもしれないが、特に緊急事態宣言初期の頃のあの閉塞感に溢れた頃に作られたので、それを思うとどうにもグッと来てしょうがないのだ。
そして言葉がシンプルであればあるほど普遍性があるので、この曲も今後何かあるたびに頭の中で響くタイプの曲なんだろうなと思う。
ともあれ、とにかく最高に素晴らしいライブだった。
今日は数十人の小さな会場だったけど、これが数千人になっても彼らの曲が十二分に響くはずである。
本当にもっと多くの人にきいてほしい、そんなバンドである。
新作は、速攻買うぜ。