音楽放談 pt.2

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21世紀も精神異常者 ―King Crimson

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昔の音楽を参照しつつ新しいものを作る、それをさして温故知新、なんていうんだろう。

最近の音楽の多くは、多分年配の人が聴いても違和感なく聴けるものが多いのではないか、という気がする。

それがいいか悪いかは個人の価値観の問題だから、別にどうでもいいことである。

一方、そうした流れのおかげで、自分たちのような若い世代が昔の音楽に耳を傾ける機会も増えているだろう。

自分も昔の奴を穿り返すのが好きで、一時期昔の奴ばかりを聞いていたことがあった。

当然周りからは変人扱いされるし、好きな音楽について語ることは、少なくとも高校時代には出来なかった。

それでもいいと思うから聴いていたので、別に気にはならなかったけどね。


そんな時期に聞いていた音楽のひとつに、King Crimsonがある。

なぜにそこへ行ったのか、我ながらすごいような気もするが、見方を変えれば別に不思議なことはなかった。

初めて買った洋楽は、ビートルズのシングル1位曲ばかりを集めた「Beatles 1」というだった。

きわめて健全な選択である。

そのまま素直にボンジョビとか聴いとけばよかったものを、どういうわけかその次に選んだのがクリムゾンの1stであった。

昔の邦題では「21世紀の精神異常者」という、どう転んでもキワモノ臭のするタイトルとジャケットであった。

もっとも今は差別的表現に当たるとして、原題のままになっているが。

ちょうどビートルズのそのベストが出たタイミングで、ビートルズ特番があっちこちで放送されていて、興味を持ってネットなんかでも調べたりしていたのである。

その中で、ビートルズを永きに渡る1位の座から蹴落したバンドとして、クリムゾンを知った。

その前から大槻ケンヂのエッセイにも出ていたから名前くらいは知っていたんだけど、そこで聴いてみようと食指が動いたわけである。


初めて聴いたときには、やはりすぐには理解できなかった。

でも、今まで聴いた事のない音楽であったので、新鮮ではあったし、それから毎日聴いていた。

当時高校1年生か、2年生になってすぐ位だったと思うが、とんでもないことである。

当時のどんな流行歌よりも刺激的であったし、歌詞を見てもかっこよかった。

機械的なヴォーカル、やけに叙情的な曲、大仰な展開、やたら劇画的であったが、それがよかった。

なんとなく不気味だったのも、またよかったんだと思う。


やはりなんといってもタイトル曲でもある"21st century schizoid man"は最高にかっこいい。

今も大好きな曲である。

イントロと、その後のヴォーカル部分で楽器が静かになる感じにしびれて、感想のわけわかんない感じにまたしびれた。

何かを予知するような啓示的な歌詞にも惹かれた。

すでに捻くれモードになっていたので、そういう歌詞がよかったの。

モンパチとかがはやっていたが、全く興味を惹かれなかったな。

で、次の"Talk to the Wind"の叙情的な感じも好きだった。

また、歌詞の内容も、当時周りに理解者がいないと感じていた自分にとってはすごく染みるものがあった。

"Epitagh"の大仰さにも参ったし、"Moon Child"の美しさにも見せられた。

終盤のあの静けさも、あまりに情景的で、それこそこれが音楽か!?という感じだったしね。

最後の"In the Court of Crimson King"の劇場的な感じもよかったし。

僅か5曲の、しかし50分くらいの尺、歌なんていうものが2の次になっているようなその音楽は、当時の自分に「これが音楽か、これがプログレか!!」と衝撃を与えたのであった。


それからしばらくプログレにはまって、Pink Floydなんかも聴いたんだけど、今に至るもやはり自分にとってはプログレといえばクリムゾンである。

最近になっても、たまに思い出したようにクリムゾンのアルバムを買いに行く。

今のところ有名どころを5枚くらい聴いたけど、どれもかっこいいのである。

それに、クリムゾンは時期ごとにメンバーも違えば音楽性も異なっていて、コアなファンの間でもいつの時期が最高かで今も熱い議論が続いているらしい。

個人的に、今のところ一番好きなアルバムは、「Lark's Tongue in Aspic」である。

これについてはまた別の機会にかくとして、今も理想を求め続けるKing Crimson、Robert Flipは、まさにProgressive(進化的な)rockバンドであるといえる。