アメリカのインディシーンが活況を呈して、注目を集めていたのはもう3年くらい前になるだろうか。
それこそLCDやれRaptureやれといったディスコパンクだとか、!!!やFaintらのようなポストパンクリバイバルと言われた一群、あるいはNY界隈のアートパンク勢、Animal Collective周辺のアヴァンギャルドなど、実に多彩でレベルの高い数多くのアーティストが話題になったものだ。
!!!らも既に地位を確立しているので、あとは自身を高めるだけだろう。
NY界隈では、Yeah Yeah Yeahsは着実な感じだし、Liarsは既にコア路線まっしぐら、Interpolは今一突き抜けない印象である。
TV on the Radioもそんなバンドの一つだろう。
彼等は前作で既に一つの極地に達した訳で、これからのキャリアでは成熟へ向かうか、あるいは更に尖らせるか、あるいは解散か、どれかだろう。
同じようなアルバムを作っても良いものは出来るだろうけど、そういう志向のバンドではないだろうし。
以前、地上波にぼんじょびが出ていたが、MCが売上げ枚数を間違えたときに、すかさず自ら訂正したその姿を観て、こいつらはやっぱり産業音楽だと思った。
ロックチックなだけのね。
TVOTRはそういうバンドではないので、やっぱり新作は楽しみなのですね。
で、今年新譜を出したのですが、前作であれほどのアルバムを作ってしまったので、次はどう来るのかな、と思っていたが、キャリア総決算みたいなアルバムだった。
前作のダンサブルなポップ要素もありつつ、それ以前のあの夕暮れ前のようなボワッとした感じもありつつで、彼等らしい作品。
やっぱりすきでした。
トータルで考えると、一番好きなアルバムかもしれない。
毎回アルバムごとに鳥肌ものの珠玉の1曲があるのだが、今回はシングルにもなった”Will Do”だな。
こういう曲好きなんですよ。
序盤のしずかな展開からバーーーッと展開して行く感じ。
相変わらず彼等らしいロウソクの明かりを囲むような風景もありながらで、非常にいい。
とはいえ、やはり彼等は評価は高いしポップだと言われているが、万人受けする音楽ではない。
いいのは間違いないんだけどね。
ところで、非常に残念な事もあった。
このアルバムの発売ちょっと前にベーシストが他界してしまっった。
肺がんだったと思うが、まだ30代であった。
そのせいもあってか、インタビューもほとんど掲載されず、日本盤も未だに出ていない。
だから、なんか終わったバンドのような扱いになってしまっていて、非常にそれも残念。
今更ながらご冥福を祈る次第である。
今は既にツアーも回っているようだが、日本に来る気配は今のところなさそうだ。
集客見込めなさそうだもんな。
Duoでいいから来てほしい。
ちなみに、10月だかには、サポートアクトはなんとBroken Social Sceneだとか。
自分の好きなバンド同士がこうしてつながりを持つと言うのはなんだか嬉しい事だ。
そして何より羨ましすぎる。
豪華過ぎだろ、という会話が成り立つ人は、あまりいないだろうね。
ともあれ、是非、日本にもきてほしいな。