音楽放談 pt.2

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時代の終わり ―The Strokes

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00年代も過ぎ去って久しい。

既に音楽業界もアップデートされて、当時もてはやされたバンドの何組が今も現役であり続けているだろうか。

Libertinesは早々に消え、Musicも解散し、Coralも音沙汰がない。

White Stripesも解散し、Vinesは既に不安定で何時消えてもおかしくない。

!!!も落ち着いた感が否めないし、LCDは活動休止。

Yeah Yeah Yeahsにこれ以上を求めるべくもなく、Liarsは独自の道へ。

TV On The Radioも新作を出して以来あまり目立たないし、Raptureなんかももはや第一線ではない。

その次の世代と言えるArctic Monkeysも既にクラシックか。

その他にも幾多のバンドが出てきたが、結局まだまだ現役だぜ、と誰もが認めるバンドはいないのではないのだろうか。

KlaxonsもArcade Fireですらもなんだか今一な感じである。


そんな中で最後の砦のような存在であったStrokesであるが、前作からほとんどインターバルを置く事なく新作を出した。

情報が出てリリースされるまでも非常に短かったのですごく唐突感があったし、リリースに伴う取材やツアーも一切なしという、完全にリリースされただけのアルバムに対して、嬉しい反面疑問符しかなかった。

で、新作であるが、個人的には今一だった。

レビューでは異常なほどの大絶賛だが、果たしてそれだけのものなのだろうか。

悪くはないし、面白いと思うけど、これはもはやStrokesではない気がして。

前作『Angles』は、世間的な評価はかなり芳しくなかったようだが、個人的には良い曲もあったと思うし、結構好きなアルバムであった。

過剰に複雑さを増していった3rdに比べれば風通しも良かったし。

ただ、物足りなさはあったけど。

鳥肌が立つようなポリリズムもなければシンプルさの中にある美しさもない。

1stはなんだかんだ行って芸術と言ってもいいとさえ思っている。

だけど、結局そこに至る事はなかった。

まあ、それはそれでしかたのない事だけど、今作についてはもはややりたい事を詰め込んだだけのような感じである。

これはこれとして楽しみ方はあるのだろうけど、少なくとも雑誌でレビューされているすごさがどこにあるのかはわからなかった。

Strokesがこんなアルバム作ったんだぜ!て言う驚きだけなんじゃないかな。


今回も例によって歌詞カードはなく、インナーアートは1stを彷彿とさせるもの。

ジャケットはシンプルでカッコいいが、私はでかでかと書かれてある「RCA」が一体なんなのか知らなかった。

どうやら彼等の所属するレーベルらしいのだが、なんでそんなにでっかいの?という話である。

これについてはいくつかの情報からそこはかとなく意図が知れた想いがした。

どうやらこの事務所との契約はあとアルバム1枚分あったらしく、このアルバムはつまりその契約を満了させるためのものではないか、という事である。

上からレーベル名、バンド名、アルバム名と、徐々に小さくなって行く辺りに、なんだか悲しい意図が見える気がして。

前作の段階で既に解散説が囁かれていたが、昨年はサマソニにも来たし、ツアーも結構行っていたので、そんな不安は気がついたら忘れていたが、彼等の心のうちは既に固まっていたのだろうか。

もう作りたくはないけど、契約の問題だから仕方なく作りました、これで満足だろ?とでも言いたいのだろうか、と思ってしまう。

1stはメンバーの写真が並んでいたが、今回はシルエットだけ。

もういないよ、とでも言いたいのかしら、なんて勘ぐってしまう。


まだバンド側からのリリースもないからわからないけど、恐らくそういう事なんじゃないかな。

ある意味彼等の音楽業界的な価値はあの1stを出したと言う事で既に完結しており、それ以上に求められるものはないだろう。

00年代にある意味でのパンク的ムーブメントは起こった。

その事で上述のようなバンドたちが現れ、見いだされ、今は音楽は個人の手の中に戻ってきた。

そして、その戻った音楽はもはやかつてのように大多数に拡散していくことは余りないだろう。

時代は変わった。


今でも好きなバンドだから、音源を出せば当然のように聴く。

だけど、やはり一つの時代が終わりを告げたようで、その寂しさは隠しようもない。

次に何が来るのかは定かじゃないし、もう何も来ないかもしれない。

彼らがいなくなれば、いよいよ時代は次のフェーズなんだろうね。

どうなる事やら。