音楽放談 pt.2

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生きてきた証、探し・・・ ―Life Story

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年を取れば考え方や、価値観が変わるのは当然の事だろう。

観るもの、聴くもの、感じるもの、全てが変わってくるのだから。

身近なところで言えば、親の事とか、自分の子供の事とか、そういう自分以外のものにも目がいき始める事もあるだろう。

日本では昔から結婚して、家を持って、子供を育てて初めて一人前といった社会的通念があり、それは今も変わらない。

結婚願望も子供願望もない私に取っては、非常に窮屈に思えるところもあるのだが、一方でやはり父や母も孫の顔でも観たいと思うのだろうか、なんて事も考えるようになる。

26歳になって、まだ若いつもりだし、会社では一番下っ端だから、なんだかいつまでも若手気分なんだけど、一歩外に出ればもう良い大人な訳である。

かつては社会という総体の中にあるあらゆるものに噛み付いていたようなところがあったが、最近では受け入れるという事も出来るようになってきた。

それが大人になるということなのかもしれないが、どうなのだろうか。


Tha Blue Herbは、日本のヒップホップ界に於いて、ある種カルト的な人気があるだろう。

その言葉の語り口は、いわゆるマッチョ主義的なヒップホップとは全く異なり、要は自分が如何に名を残すか、その決意とか、そこにかかる様々な闘いが描かれる。

まさにストイックな世界は、はっきり言ってかっこいい。

特に1stは未だに色褪せる事もなく、ある世代、ある層の人に取っては逸の時代でも普遍的な輝きを放つはずである。

その言葉は鋭く、心をえぐり、深くしみ込んで、そして離れない。

ただ相手をディスってなんぼの世界でもない、独りよがりの闘争でもない。

静かで力強いその言葉は、ヒップホップと言う音楽の特性をうまく活かしながら、凄まじい力を持っている。


そんな彼等も今はアルバムは3rdまで出ているのであるが、徐々に語る言葉は変化している。

1stの全世界への宣戦布告から、2ndの世界の観察からの内省的な世界の提示、そして3rdでは、変化して行く周りの世界のその中にいる自分の在り方について、と言ったところだろうか。

既に30も過ぎたBOSSにとって、いつまでも若い感性ではいられないし、振りをする事は出来ない。

かつて一緒に口を尖らせていた仲間のうちの何人かは所帯を持っているものもある。

中には命を落としたものもある。

その中で、BOSSは日本津々浦々、その名が知られる存在になっていた。

今も尚自分が目指し続けるものはなんなのか。


このアルバムで象徴的な曲は、”この夜だけは””Main Line”だと個人的には思っている。

自分の歩みをふと鑑みて、そして今を見つめながら、自分の目指したものを改めて見つめ直すような、そんな曲。

最後の"Motivative"という曲への流れを考えると「一匹のMC昨日より若く、昨日より今日、今日より明日」「追うものは追われるものに勝る」というラインが強い。

いわゆる日和った、といわれてしまうような奴ら、かつての仲間、だけどそうじゃない。

それぞれがそれぞれの幸せを見つけて行く中で、自分はまだそこに至ってないだけ。

だからまだ歩き続ける、この先には俺が目指すものがある。

まだ止まるときじゃない、迷ってる場合じゃない。

年も取った、余裕はない、だけど行くしかない。

そんな決意表明にも思える。


彼等の3rdは評価がはっきり別れる。

良いという人と、もう聴く価値なしという人と。

後者の場合、脇目も振らずにただ己を信じて突き進む、的な世界観でないから、というところだろうか。

でも、いつまでも自分だけの事しか考えられないような人は、普通はそうはいない。 

自分の意志とは関係のない周りの環境は常に変化して行く。

自分の近しい連中が変わって行く姿をみて何も思わない奴はいない。

それを素直に言葉にしたところで、それは日和ったということだろうか。

そうじゃないはずだ。


30過ぎた奴に10代の気持ちはわからない。

仮にそれっぽい事を言っていたところで、そいつはもはや想像でしかない、リアルな表現じゃない。

そんな奴がいたら間違いなくそいつはペテン師だ。

30歳には30歳の表現がある。

別に自分達の下の世代に何かを言いたい表現じゃない。

BOSSはBOSSのリアリティを歌う。

だから言葉はリアルだ。


このアルバムを買ったのは去年なんだけど、買ったばかりのときは正直ピンと来なかった。

だけど、この1年、自分なりに色々感じることは多かった。

高校時代の友人も結婚したり、会社の先輩2人がそれぞれのもの感じたり。

年のは慣れた先輩と話をしたり、彼女も社会人になったし。

周りの環境は絶えず変化して行く。

皆少しずつ前へ進んで行く。

そんな中、自分という存在は果たして成長しているのか、変わっているのか、いつまでも、そこに居続けてはいないか。

このアルバムを聴きながら、そんな事も考えるようになった。

それでも、自分の今信じられる道を行くしかない、そんな思いを抱かせる。


ちょうど30ちょっと手前あたりの人が聴くと、色々考えさせられるアルバムじゃないかな、と思う。