音楽放談 pt.2

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美しき音楽 ―Owen Pallet

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センスや才能と言うものをどう言うところで感じるか、それはその分野に置けるオリジナルな要素を強く感じたときだと思う。

必ずしも前人未到という意味ではないが、ある種の発見感を与えてくれるような、そんな人にはやはり才能というものを感じざるを得ないだろう。

私はおよそセンスと言うものからはかけ離れている為、基本的にセンスのある人は羨ましくて仕方がない。

ファッションでも音楽でも何でも良いが、センスではなく努力でなんとかしてきた質だから。

もちろんセンスの在る人もそれを形にする努力はする訳だけど、そもそも形にしたいものが出てこないのだから参ってしまう。

とはいえ、今に至ってはそれで卑下する事ももはや在りはしないがね。


少し前の話になるのだが、あるライブイベントへ行ったのですね。

Hostessというレーベルの所属アーティストに依る2日間に渡る小さなフェスみたいな奴だったのだけど、私はそれへ行ったのです。

このレーベルにはArctic MonkeysRadioheadといったビッグネームも所属しており、いわゆるインディ系でも尖ったところだと思う。

最近話題のWu Lyfやタイラーザクリエイターとか,Spiritualized、Atlas Soundなども所属しており、実に素晴らしい。

で、私はHorrorsというバンドが好きなのですが、彼等もここのレーベルなのですね。

今回は1日目のトリで登場という事で、彼等目当てに行ったのです。

ライブ自体は3回目くらいになるけど、3rdが出て大分経ってからになるため、どんな成長を遂げているか、それも観たかったのです。

あとは先にも挙げたWu Lyfも良い機会だから観ようと思っていたし、もう一組観たいのがあったのです。


Wu Lyfについては、正直ピンと来なかった。

ヴォーカルがかなり特徴的な声で、曲自体は悪くなかったけど、似たような展開の曲ばかりのため、途中で飽きてしまったのですね。

勝手な事を言わせてもらうと、ヴォーカルが特徴的すぎるところも在るから、メロディアスな曲が映えないことも一因だろう。

だから、コーラスの奴がメインヴォーカルをとる曲もあると、もっと幅が広がって面白くなるような気はした。

まあ、多分CDを買う事はないだろう。


で、その次がお目当てのもう一組だったのですね。

それがOwen Palletという人。

以前はFinal Fantasyという名義で活動していた為、掲載した画像でもその名義のままであるが、昨年だったかに日本で本格デビューとなるタイミングで、個人名義に変えたのですね。

ちなみにこのFFの名は、かの某有名RPGの美しい世界観に感銘を受けての事らしく、その為も在りに本番の発売のタイミングがそのゲームの13番目の奴が出るタイミングと近かったため、それも考慮してとかしないでとか・・・。

それはともかく、世間的な認知はあまりなく、ただ一部の間では一昨年辺りから話題になっている人ではあったのだ。

というのも、この人はストリングスのアレンジャーとかもやっており、Arcade Fireとか、アークティックのアレックスの別バンド、Last Shadow Pappetsなどの仕事で非常に注目され始めたのですね。

で、ちょうどその頃、音楽界でも一つの新しいジャンル?が注目されていた。

チェンバーポップなんて呼ばれるけど、要はオーケストレーションなどが主となるようなポップミュージックですね。

元Batllesのタイヨンダイとかもそういうアルバムを作って、かなり高評価を得ていた。

そこへ来て、クラッシックの素養とロック的なセンスを併せ持つ彼のアルバムが、一気に注目されたのですね。

それが画像に載せた奴で、既に2ndか3rd辺りのはずである。

ライブの時点では音源は全く聴いた事がなかったが、昨年末だったかの単独の評価が軒並み高く、寸評を観ても実に興味深かったため、良い機会なので観たかったのです。


では彼がどんなライブをやるのか、という話なんだけど、彼はまず一人でステージに登場するのである。

ステージには機材がいくつか配置されているが、それ以外はストリングス一つだけもって。

そして、始るやストリングスで音を出し始めるのだけど、その音をその場で録音して、ループさせ、また違う音を録音してループさせ、という事を数回繰り返すうち、一人で演奏しているのにいくつもの音が響き渡っているのである。

そこへ生の音を同期させて、歌もうたって音楽を成立させているのである。

気がつけば色んな音が重なりあっており、どの音が生なのかもよくわからないくらい。

ホヘ~と関心したのであった。


ただ、今回私が一番興味を引かれたのは、彼のストリングスの使い方。

ストリングスと言うと、イメージ的にはちっちゃいバイオリンなんだけど、演奏法法としては弓で弦をなでる事で音を出す楽器である。

しかし、彼はもっと多才な音を奏でるのですね。

例えば、弦を指で弾いてベース、ギターの様な音を出してみたり、弓で叩いて小太鼓のような音を出したり、あるいははじき方を変えて電子音のように響かせてみたい、と実に様々な音をだすのである。

こんな音が出るんだ、なんて思わず唸ってしまった。

私はストリングスの響きって綺麗で好きなんだけど、そんなイメージを見事に吹っ飛ばされた。

もちろん普通に弓で引く事もする訳だけど、こうやって形に囚われず、アイデアを駆使して見事に使いこなす姿には、センスというものを感じざるを得なかった。

私は音楽については全くの素人だから、専門的な事はわからないけど、単に綺麗な音を出すとか、しなやかなメロディだとか、そんな話ではなく、なんというか、もっと根っこのところを揺さぶられたような気分だったのである。

曲も良いし、彼の柔らかな歌声も実に素晴らしく、観客は完全に彼に釘付けであった。


ライブ終了後、あちこちで「これはすごいもの見つけたね」「半端ねぇ」など、あちこちから賛辞の声が上がっていた。

当日は物販も会ったのだが、終演後CDを買いに走ったのは10人やそこらではなかった。

私も即買いしてしまいました。

ちなみに彼は容姿も端麗で、所謂美男子(本当に美しいという事がしっくり来る、こういうのが本当の美形って奴だと思う)なので、女性ファンもさぞ増えた事だろう。

銜えて演奏中も、ドラマーが少しミスったら、あ!みたいな顔してにっこりしてみたり、曲の入りがうまく行かないところでも愛想振りまいたりと、人柄も実に良さそう。

こりゃあ女子には溜まらんでしょうと思わざるを得ない。

サイン会も行われたのであるが、きっとその日一番くらいの密度だったのではなかろうか。

ただ、この人は実はゲイという噂も在るので、女子の方々には残念なお知らせだが、むしろ腐女子には万歳なお知らせだろうか。


ともあれ、才能豊かでセンスもあって、それを形にする技術もあり、しかもイケメン。

ラストのHorrorsのライブも非常に良かったのだけど、この日の一番のインパクトは彼であった。

ところで一つ思ったのが、この日は3つのアーティストを観たのだけど、Wu Lyfと後ろ2つは何か根本的なところで性質が違うと感じた。

所謂引き出しなのか、懐の深さと言うべきか、うまい言葉が見つからないのだけど、多分これからもっと色んな曲を出して行くだろうと言う期待感、大してWLは正直変化が想像できない。

ま、興味の問題はあるにせよ、やっぱり違うなって感じるアーティストっているのである。

もちろんそれぞれに良さはあるから、どっちがより優れているとかそういう話ではないのだけど、私はやはりその多様性を魅せてくれるアーティストには心引かれるのである。


それにしても、良いものを魅せてもらいました。

日本での知名度は極めて低いのだけど、機会があればまずはライブを観てみてほしい。

才能っていうのは自由な感性という意味かもしれないね。