音楽放談 pt.2

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センスの共感 ―Lillies and Remains

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最近聴くようになって非常に気に入っているバンドの一つがLillies and Remainsである。

一部では数年前から既に話題となっていたし、昔私が愛読していた雑誌にも当時インタビューが掲載されるなどしていたが、当時は全くスルーであった。

確か洋楽をガッツリ掘り下げていたから目がいかなかったのだろう。

それが今になって何故聴くようになったのか、というところなのだけど、先日書いたBo NingenのライブでThe Novenmbersを見て、そこからの文脈で彼等の名前を目にするようになって、そして今に至る訳である。

Plasticzoomsと、Liliesとノベンバは価値観が合うと言う事で定期的にBODYSというイベントも行っていて、先頃から元Soft Balletの藤井麻紀も自身のユニットMinus( - )で参加したり、Liliesの新譜ではプロデュースも行うなど、まだ小さなところではあるが一つのシーンの萌芽のような状況になっている。

Soft Balletは私もそれまで聴いた事がなかったのだけど、藤井麻紀の名前はしばしば見かける事があったし、ソフバの名前も同様である。

ただ、一部で評価が高いのは知っていたけど実際どう言う音楽なのかまでは仔細に見ていなかった事もあり聴くに至らなかった。

このバンドは所謂インダストリアルに分類されるのだけど、一方でポストパンク的な価値観も有していたようだね。

フジマキさんはここ数年は音楽業界自体から身を引いていたようで、建設業界にいたとか。

典型的な天才肌の音楽家タイプの人のようだが、それが故に昨今の音楽の在り方に辟易して辞めていたのだと言う。

「既に世の中は音楽を必要としていない」といって自殺してしまった加藤和彦と近い感性なのかな、と思う。

それが何故復帰したかというと、ある雑誌の編集者に詳記されたLiliesの音楽を聴いたからだという。

「(自分と同じ価値観で)こんな音楽をやっている奴らがいるのか」という素朴な驚きと喜びが彼を再び音楽に向かわせた、なんていうのが雑誌のインタビューでも語られていたね。


そんな職人肌をも動かすくらいなのだけど、実際彼等の音楽は私も初めて聴いた瞬間に痺れた。

ややドライな耳心地とクールで無機質なヴォーカル、その割に攻撃的なギターにタイトなリズム、ていうんですかね。

そして何より曲がいい。

素直にカッコいい音楽なのである。

私はJoy Divisionが大好きで、彼等の何が好きかというと実は明確に答えられない。

強いて言えば、彼等の音楽から伝わってくるある種の空気感というか、ムードというか、そういうものが自分の肌にすごくフィットするように感じられるのである。

それはひょっとしたらイアンのヴォーカルに寄るところも大きいのかもしれないけど、はっきり言って人なつっこさよりは寄せ付けないようなところがあるのだけど、なんか嵌るんだよね。

そんな空気感もLiliesからは感じ取れて、これはいいなとなった訳である。

似たような音楽、あるいは同じくポストパンク的なところに影響を受けているバンドは多い。

しかし、解釈・昇華のされ方はそれぞれで、そのアウトプットにある種のセンスがにじみ出ると思うのだけど、JDと似たような空気のバンドって余りなのである。

White Liesがデビュー当時ポストJDというような紹介のされ方をしていたが、単に音の作り方とヴォーカルの声が似ているだけで全然別のものにしか私には感じられなかった。

表面的なところを除けば何故そんな評価になるのか理解できなかった。

それは根本的なその持っているものが違うからだろう。

もちろんLiliesもまんまという訳ではないのだけど、彼等の音楽を聴いているとセンスいいなと思ってしまうのである。


このバンドは元々3人か4人いたようだが、今は2人になっている。

曲や音のほとんどをVo/KENTが手がけているようだが、やはり音からにじみ出るように、そして何より私が共感してしまう空気を持っているだけに、かなりクセの強い人らしい。

それ故に付いて行けねえよ!みたいな感じで離脱して行ったのかな、と勝手に思っている。

実際インタビューを読んでも、基本的に自分以外に信じない、自分と価値観を共有できる奴なんていないと本質的に孤独属性を持っているのである。

なんかすっごいわかるわぁと思いながら読んでしまった自分をみて、少し在り方を考えたもの。

それはともかく、そんな彼の作る音楽だからそういうセンスっていうポイントですごく引っかかったのかもしれない。


そんな彼にも今のバンドメイトは理解を示しており、また彼の才能を非常に評価しているため、いい意味で彼の音楽をサポートしているような状態のようだ。

また先に上げたノベンバやPlasticzoomsとはその価値観を共有できるらしく、そうしたシーンの形成にもつながり始めている。

そこに更にその界隈ではレジェンドのような存在であるフジマキさんも加わったので、今の彼は孤独とは感じていないのではない蚊という気がする。

まだ新譜は聴いていないのでわからないけど、ひょっとしたら次のアルバムではかなり大きな変化を感じさせるものになっているかも、などと思っている。


ともあれ、久しぶりに痺れたバンドだね。

2月にはライブがあるので、生で聴けるのを非常に楽しみにしている。

でも、こういう音楽に共感してしまう自分てやっぱり根本的に暗いんだな、なんて自己認識を改めてしまった。

他人は自分を映す鏡、とはよく言ったものだ。