音楽放談 pt.2

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ファンクの熱量 ―JAGATARA

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ファンクな音楽というのが日本でもそれほど珍しくなくなっている印象である。

なんていうほど詳しい訳ではないし、本場からしたら「日本にそんなバンドねえよ!」と怒られるかもしれないが、そこは勘弁してほしい。

それはさておき、日本でファンクの走りと言えば、なんと言ってもJAGATARAだろう。

今は亡き江戸アケミによる混沌とポップの融合したその音楽は、他のバンドとは一線を画する熱量と怪しげな雰囲気を持っていた。

以前既に彼等の1stたる『南蛮渡来』については書いたのだけど、このアルバムはとにかく濃い。

なんていうのか、汗と熱気と色んな体液がごちゃ混ぜになったようなむせ返る臭気と混沌とした空気がぎゅっとしていて、聴いているとちょっと怖くなる事さえあった。

言うなれば原住民の呪術祭りのような感じ。

初っ端でこのアルバムを聴いてしまったので、私は正直そこでお腹いっぱいになってしまったのですね。

その他にもアルバムは出ていたのだけど、すっかり怖じ気づいていた。


しかし、先日ついに次のアルバムに手を出したのであった。

それが画像の『裸の王様』。

わずか4曲の収録だが、1曲10分とかなのでアルバムとしてはそれなりのボリュームを持っている。

1stではそこまで尺の長い曲はなかったので、こういう音楽とは思わなかったな。

で、早速感想なのだけど、正直驚いた。

なんと言っても圧倒的に聴きやすいのだから。

1曲目は表題曲なのだけど、のっけから素晴らしい。

熱量はそのままにもっと開かれたダンスミュージックになっている。

もちろんファンク要素は満載で、アケミのヴォーカルも前作のような下を向いたものではなく前を向いて歌ているような印象である。

これで踊れない奴はダメだろうくらいの曲で、はっきり言ってこれが今のバンドの音楽だとしてもまったく遜色なく素晴らしい。

それだけオリジナルという事だろう。

トランペットも非常に軽妙に鳴り響く。

歌詞に目を向けると、これが以外と都会の孤独感を歌っているような内容になっており、それも併せて興味深い。

歌詞については全般的にそう言う傾向があり、2曲目なんかもそうだけど、曲の軽快さでそんな孤独感を置き去りにしようとでもしているかのようでもある。

ファンキーが大好きなんて笑わせるんじゃないぜ、なんていうワードが素敵だね。


曲については、聴いていてふと浮かんだのはTalking Headsのかの名盤『Remain In Light』である。

アフリカ音楽にグッと寄ったこのアルバムでTalking Headsはバンドの音楽性を大きく向上させただろうし、今に至るも名盤との賞賛は止まない。

アルバムとしては正直暗く重い印象で、およそポップとはかけ離れていると個人的には思っているが、それでもなんだか聴いてしまう魔力を持ったアルバムである。

そのアルバムの空気感に近いものを要所要所にじゃかたらには感じるのである。

恐らく時代的に見て影響をされたかどうかは微妙だけど、もっとじゃがたらはそういう意味でも評価されてもよさそうなものだ。


で、話を戻すと、個人的にこのアルバムで一番面白い曲は最後の”もうがまんできない”だ。

こんなタイトルだけど、歌詞の内容は「ちょっとのことなら我慢できる」「忍耐が大事」「こころの持ちようさ」なんて言葉が繰り返される。

はじめはなんだか淡々んとした様子ながら、次第に不機嫌になっていくアケミのヴォーカルも伴って、タイトルが頭に浮かんだ途端にそれが見事な皮肉として映る訳だ。

それがちょっとの搾取ならが我慢できるのに・・・っていうあたりにこの曲のミソがある。

ジワジワと上がってくそのテンションこそがポイントである。

最後はまた「こころのもちようさ」と繰り返される。


最初にも言ったけど、このアルバムは今に至ってもなお新鮮さを失っていない。

理由は単純で、音楽としてより原始的で根源的でオリジナルな音楽だからに他ならない。

ファンク的な音楽や、リズムを参照したような音楽は増えたけど、その意味では本質的にファンクな音楽は日本にはないのかもしれないね。

そして何より彼等の追従者はだれもいないのだろう。

昔ばちかぶりはファンク的な音楽をやっていたけど、正直それはJAGATARAのもろフォロワーであってオリジナルにはなりきれていなかった印象だし。

それだけのオリジナリティを持っていたバンドだが、バンドとしてはもう2度と再結成も復活もあり得ない。

何故なら既に江戸アケミはこの世におらず、バンドメンバーも何名かは既にこの世にはいない。

まるで都市伝説のようなバンドにも、私の世代では思えてしまう。

今ではYoutubeにライブ映像がいくつか残っているので、それで当時の熱気を幾許かは見て取れるが、やはり一度はライブに行ってみたいと思わせるバンドであったね。