
昨日は雨の中にも関わらずStarFesへ行ってきた。
全体としてはヒップホップ/R&B系のアーティストをヘッドに据えたイベントなので、個人的にはあまり興味はなかったのだけど、BoredomsとZazen Boysも出るし、暇だしということで行ったのですね。
で、目的の2組は朝一で2連ちゃん。
しかもBoredomsは特設ステージの上に当初の予定よりライブ時間を延長、ということで後ろには押せないので30分イベント自体も早くスタートというかなりのいれよう。
これは主催者の判断が素晴らしい。
眠たい目をこすりつつ早起きして海浜幕張の駅に着くと、思いのほか人でごった返している。
え、ボアってこんなに人気あるの?とか思たのだけど、そこにいる人たちが明らかにこのフェスにそぐわない。
訝しく思っていたら、どうやらメッセでゲームショーが開催されており、大半はそちらの客であるらしかった。
おかしいと思ったのだ。
それはともかく、到着はほぼ10時ジャストなので、ステージに至るとちょうど始ったところであった。
得意のドラムを円形に組んだ布陣で、観客もバンドを囲むような形になる。
その中央でEYEが指揮者のように腕を振ってバンドを牽引している。
中央にはドラム、パソコン、キーボードを置き、それを囲うように四方にそれぞれドラム4人、ギターなどがいる。
人の頭のせいで精確な数はわからないが、いずれにせよ彼ら得意の編成である。
彼等のライブ自体観るのは2回目なのだけど、前回観たのが実に衝撃的と言うか、ちょっとしたカルチャーショックでもあった。
というよりも、音楽の根源性のようなものを体感させられた思いがして、凄まじい印象を残された。
同じ楽器で同じリズムで同時に打ち鳴らす事により生じる空間の衝撃波の凄まじさである。
ただスピーカーの音を上げるだけでは得られない強度がそこにはあって、彼等のライブほどライブである事の素晴らしさを教えてくれるバンドも少ないかもしれない。
映像で観た瞬間に単なる意味不明な前衛アートのようにも移ってしまうので。
他にも名前のある曲はあったのだと思うけど、わかんないから。
ちなみにフェスなのに90分もあったのだけど、ずっとドラムの人は叩き続けているし、EYEの合図を見ていないといけないし、他の人と同期しないといけないのですごい体力と集中力である。
で、今回また彼らのライブをみて改めて感じたけど、音楽ってやっぱりある種の宗教的な側面を持っているよね。
誰だったか忘れてしまったが、宗教の代わりに音楽がある、という人もいる。
Tha Blue HerbのBOSSだったかな。
彼等のライブも音と空間をシンクロさせるような側面がある。
ボアの場合はもっとトライバルというかTRANCYというか、言葉がない分音楽でいかに表現するか、という所になるが、それをステージのセットでも裏付けている。
スピーカーの配置も何も観客の耳を塞ぐように構成されているので、聴覚が完全に支配されてしまう。
序盤はシンバルでかなり感覚がやられる。
とにかくデカイ音なのでそれに慣れてくると小さい音が聴こえなくなるので、寄りライブに入り込みやすくなるのである。
あの独特な空間を作り上げるのに確かに60分じゃ短いのだろうな。
そこでしっかり高みに登りながら得れるある種の一体感などについては、宗教の儀式も似たようなものであろう。
それに、元々宗教音楽として発展したものや、原住民の音楽は宗教的な意味合いの儀式の際に奏でられるものである。
そこから思想や教典などを取り除いたものがレイブとか今で言う音楽フェスの起源なのかもしれない。
最近見ていた音楽ライブと目的と言うか、少なくとも彼等の目指している音楽の在り方というのとは異なる目的の下に行われている感じで、朝っぱらからやられてしまった。
その後はZazen を見たのだけど、ここのところイベントでよく見ているので、まあ外れはないのだけど、セットリストもあまり変わらない分安心と信頼の、というところである。
彼等のライブは素直に音を楽しむ音楽である。
ちなみにこの日はトリはNASで、1stの再現ライブとのこと。
その他Public Enemy、Erika Baduなども出ていて、ある年代層には溜まらないラインナップであったようで、客層も派手な身なりが多いものの、よく見るといずれも若くない。
私は上記3者はまともに聴いた事もなく、唯一Baduは最近よく耳にしていたので興味半分で見てきたのだけど、それが終わったら早々に引き上げてしまった。
Baduはバンド形態でのライブだったのだけど、ベースはこれまた話題のサンダーキャットであった。
それにしても昨日は全体としては微妙なフェスであった。
ステージもしっかり組んでいるし、運営的な問題は特にないのだけど、もう少し天候に配慮したものにするべきである。
そもそも入場時にリストバンドをつけるくせに再入場禁止という意味のわからなさ。
都市型フェスではそうした気軽さがいいのに、中間のバンアパとか属性も違うし、興味ないからだれる。
下は砂浜だから腰を下ろすにも憚られるし、雨がふっても批難する場所もない。
その意味でのアメニティ的なところをもう少し配慮が欲しかった。
またこれは好みの問題だけど、販売されているビールがうまくない。
タイのビールらしいが、薄いし、しかもぬるい。
食い物も悪くはないがなんか今一心引かれない。
そして煙草関連のブースが会場の規模に対して多過ぎである。
唯一トイレだけは充実していたね。
ともあれ、たまにはこうして違う色のイベントに行くと、また違う発見もあって面白いよね。
でも、やっぱり先頭とヘッドラインとの属性が違いすぎるのは色々もったいないよね。