最近また日本のインディ畑を漁っている。
以前はそれこそ80年代頃の奴が中心だったが、この頃は今少し最近のものも多い。
それこそgoatとかもインディだろうし、その界隈で空間現代も聴いたり。
少し遡るとフィッシュマンズとかも今更聴いてみたりして、日本にもやっぱり良いバンドはたくさんあるよね、なんて思う訳である。
そんな中で聴いているのが54-71というやつ。
きっかけは空間現代のレビューを何処かで読んだ時に彼等の名前があったのである。
またDeerhoohのインタビューを読んだ時にその名を目にして、そのインタビューの中でBattlesについても言及していたけど、共感できる日本のバンドという形で名前が挙がっていた。
更に調べてみると、実はBattles自体彼等の影響を受けているとのことで、そいたら聴いてみないと、と思った訳である。
バンド自体は既に活動休止中らしいのだけど、過去には向井秀徳も関わりがあったとか。
私が買ったのは実験的という評価もある『True Man Of Non-Doing』といいうやつ。
後期の作品らしいのだけど、これしかタワレコになかったのである。
で、早速聴いてみた感想だけど、なるほど上記のバンドに通じるものが確かにある。
音数は多くなく、バンドなんだけどヒップホップみたいだと言うのが第1印象であった。
歌詞は全て英詞なのだけど、発音とかはメチャクチャな日本語英語で逆に何言っているかわからない上、歌い方も非常に独特。
ドラムとベースの低音がドンドンと頭を殴りつけるような強度があって、音密度も低くスッカスカなんだけど、えも言われぬ迫力がある。
音像的にはZazen Boysとかを想起させる部分もある。
向井がザゼンを組む時に彼等に話しをしたとかそんなこともあったようなので、音楽体に下敷きになっているのかもしれない。
またBattlesについても、初期のEPなどではなるほど彼等の影響を見て取れる。
それだけ音数も少なく、Bpmも遅いと思うのだけど、えも言われぬ迫力のある音楽になっているのが不思議だ。
で、今私のi-Podに入っているのだけど、この間出張中の車の中でこれが流れてきた瞬間同乗していた人は始ってすぐに「これ無理」と言い出してびっくりした。
この人は元々音楽にはさして興味がなくて、流行ものを少し聴く程度なのでそんな人からしたら確かに異質でしかないのだろうな。
でも面白いなと思ったのはやっぱり人によって肌に合わない音ってあるんだなってこと。
私自身を省みても聴いた瞬間これはダメだと感じるものが確かにある。
相対性理論というバンドがあるのだけど、私はあれだめだったのですよ。
友人に薦められて聴いてみたのだけど、なんというか、歌詞とか其れに付随する歌とか、曲含めてなんかダメだったんだよな。
たまたま聴いた曲がそうだっただけなのかもしれないけど、なんか気持ち悪い思いがしたのである。
他にもいくつかそう感じるものがあったのだけど、それって一体何なのだろうね。
しかし、そう感じられる音楽と言うのは反面それだけの個性が立っているということだろうから、表現者としては成功者だろう。
実際何も感じることもなく、何も引っかかるところもなく流れるだけのものもあるから、そんなものよりは遥かに良い作品だといえると思う。
音楽に芸術性を感じる瞬間というのはそういう時なんだろうな。
まあ、それにしてもこのバンドの音楽は確かに濃厚だから、万人受けはまずしないだろうけどね。
それでも私はこのバンドの放つこの力は魅力的である。
今はもう活動していないのだけど、アルバムはまだいくつかあるので、また探して聴いてみよう。
こうやって音楽の血脈を辿るのも面白いし、洋楽コンプレックス溢れる奴らにはこんなバンドの音楽を聴いて、そんな下らないものは破棄してもらいたいね。
Battlesなんて世界的にもスーパーバンドと言われるすごいバンドで、そんなバンドに直接的な影響を与えているのだから、そんなバンドが日本にいるだけでも、日本の音楽、ロックは決して後塵を排するばかりではないしすごい力があるんだぜ、っているだろうからね。
でも、売れないだろうなぁ。
"Emotion Man"