音楽放談 pt.2

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Hip Hopのなんたるか -THA BLUE HERB

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今日は個人的には年末最後のライブへ。
 
Tha Blue Herb、彼らにとっても今年最後のライブである。
 
昨年もやっているのだけど、その時はソロアルバムのツアーだったのでアルバムで共演したラッパーが全員ゲストで出てきて、その模様はDVDにもなっている。
 
今年は普通にブルハ名義なのだけど、セットリスト以外はそこまで大きく変わるわけでもなく、相変わらず完成度の高いすごいライブをやっている。
 
時間にして2時間半以上、間にMCを挟んでいるものの、あの情報量の楽曲を、音源とアレンジもかなり変えながらほとんどつっかえることもなく、完璧に流れも組んでやってのけるっていうのは、本当にすごいよ。
 
また、今日のセットリストでは"ウルトラC"も披露されて個人的にはテンションあがったな。
 
ラップ自体は音源当時のものとはやはり変わっていて、あの当時の勢いはないけど、その分腰の据わったラップはそれはそれで味があってよかったね。
 
様々な楽曲をアレンジを変えてやっていただけど、個人的にすごく印象的だったのは”この夜だけは”。
 
3rdに入っている曲で、内容としては時間が経って次第に目指す方向が仲間内でも変わっていく中で、それでも同じ道をいこうとする意志とそれによる一握の孤独感みたいなフィーリングのある曲なのだけど、もっと明るいアレンジになっていて、その環境をものすごくポジティブに捉えているように響かせているのである。
 
実際Bossのラップも「寂しいけど、しょうがないよな」という感じではなく「そっか、それぞれの幸せが見つかるっていいことだよな」ていう精神性の変化みたいなものを感じるものになっていた。
 
彼はMCでも音源でも、年齢によって見える景色が違うからその時々のリアルを歌っているし、それがヒップホップだということをよく言っている。
 
その通りだと思うし、それは彼らのアルバムを聴けば自ずとわかる。
 
1stはいかにもデビュー盤という感じで尖りまくっているし、2ndはもっと内省的で、だけど自身に溢れまくっている。
 
これらはいずれも20代か30代入ったばっかくらいの頃の音源であろう。
 
3rdは30代半ば過ぎくらいかな、視点に周りが入ってくるし、周辺の変化と自分たちの中の変わらなさの対比が表現の核になっている印象であった。
 
そのためそこでファンをやめたという人も結構いたようだった。
 
4thは社会的なリリックが多く、完全に震災以降のアルバムではあるが、テーマとしては3rdの延長という感じだ。
 
そしてBossのソロ作では40過ぎてこれまでの足跡をたどるような内容だし、客演とのそれぞれの関わりも含めてリリックになっているので、正直第一印象はよくわからなかった。
 
でも、ある時ふとそういうことだったのか、なんて気がつくことがあって、だから多分私はまだそういう感覚にはなっていないのだろうなと思う。
 
それでも、彼のいう彼にとってのヒップホップという価値観はわかりやすい形で提示されているといっていいだろう。
 
先にも書いたように、今回のライブでは割と初期の曲もやりつつ、でもライブの山場を作っているのは3rd以降の曲なので、今は新しい何かを作るというよりは、少し立ち止まってあれこれ考えているタイミングなのかもしれないね。
 
来年は20周年記念イヤーということで、でかい会場(どこかは1月1日に解禁らしい)でのライブを行ったり、色々考えているらしい。
 
そこで臆面もなく商売、ビジネスという言葉も使うことに反発を覚える人もいるのかもしれないけど、でもそれこそがリアルだし、実際生活をかけて必死にやっているからできることもあるわけで、彼のスタンスは非常に正しい。
 
ライムスの宇多丸さんも言っていたけど、本当にヒップホップで飯を食えている数少ないアーティストの1人が彼らだというのは、そうしたシビアさに真正面から向きあっているからだ。
 
面白かったのは、マーチャンダイズで自社サイト直の販売もやっているのだけど、その裏側の帳簿も在庫管理も全てやっているぜ、なんていう下りを笑いを交えて話す姿は却って爽快だ。
 
それが彼らの覚悟なのだろう。
 
 
で、そうした自分たち自身についてのことと合わせて言及されていたのは、やはりフリースタイルダンジョン
 
いろんなラッパーが言っているが、これが流行りだしてから「フリースタイルはやらないのか」ということをしきりに言われるようになったということ。
 
それに対してそれこそKrevaもBossも明確に出ないと言っている。
 
理由はそれぞれの異なるけど、要するに自分のやりたいことはそこにはないからということだし、2人に共通するのはどっちのHip Hop業界ではトップに位置するということだろう。
 
かたやスターというポジションで、かたやアングラ界の雄である。
 
動く金の大きさはもちろん前者の方が大きいのだろうけど、別にだからどっちがどうという話でもない。
 
確かにファンとしてはそういうところもつい興味を持つし、自分の好きなアーティストがそういうところでも圧勝してしまう姿を是非見たいと思うところだ。
 
とはいえ、実際問題としてビジネスとか諸々考えれば彼らのいうことももっともだし、だからと言って出ている方もそれぞれに思いがあって出ているだろうからそれはそれ、これはこれという世界だろう。
 
いずれにせよ、ここまでのライブをやって、しかも2時間半以上がっつりやりきるんだから誰も文句なんてないだろう。
 
余談だが、今回唯一の客演はYou THe Rock、去年の雪辱を晴らしに来て、少しとちったけど無事取り戻した形だ。
彼の登場も含めて、終始Bossは嬉しそうというか、楽しそうだったね。
 
 
終演後は来年に向けてのプチ予告をしつつ、客に語りかけて帰って行った。
 
毎回すごいなと思うけど、本当に時間があっとういう間だし、少なくとも楽曲ではトチることがほとんどない。
 
それにシンガロングなトラックではないけど、要所要所できちんと上げていくし、いわゆるパンチラインもバシバシ打ってくるから、痺れるよ。
 
また1stから聞いていこうとか思ってしまった。
 
今回はお土産ということで来場者全員にカレンダーが配られたので、せっかくなので貼って見た。
 
10月29日にマークされているあたり、なんだか楽しんでやっているんだなと思えて、羨ましい思いもするくらいだ。
 
ともあれ、来年は20周年イヤー、また素晴らしいライブに期待しつつ、引き続きその活動から活力をもらいたいよね。
 
力強い言葉は、確かに人を勇気づけるのである。
 
 
”未来は俺らの手の中”
 
割と初期の曲だけど、今でも全く色褪せない、それに今だからこそ響く人、瞬間もあるはずである。