音楽放談 pt.2

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はまる感じ -moools

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気がつけば10月も半ばだ。

びっくりするくらい時間が経つのが早くて、ちょっとびっくりしている。

毎年時間の経過の早さにびっくりする機会が多くなっているが、これが年をとるということだろうか。

年をとるほど時間の経過が早くなる理由について、人生の分母に対する分子たる瞬間の時間が相対的に短くなるから、という説があるらしいが、本当にそうなのだろうか。

できるだけとんがっていたいと思って生きてきたが、年齢的にそろそろおじさんになってくると、こうやって面倒臭いおじさんって生まれるんだな、ということを身に沁みて思うわけである。

しかし、そう言われたとて引き下がらないのがとんがったおじさんである。

若者に阿ってたまるか!という気持ちがさらにそれを加速させるわけだ。

偏屈に年を取ってやる。


さて、今年は有名無名含めて多くのアーティストが新譜をリリースしており、私の胸を踊らせたり首を捻らせたりしているわけだが、そんな彼らを差し置いて好んで聴いているのがmooolsの初期作ベスト盤。

2作にまとめられているわけだが、これがいい曲ばっかり入っていやがる。

すでにアルバムとして持っていた今日も収録されていたんだけど、聴けば聴くほどに刺さって仕方ない。

彼らはUSインディとの交流もあり、それこそModest Mouseなんかとも仲良しとか。

日本でもごく一部の層にしか知られていない彼らだが、USツアーなんかも行って好評を博したとか。

各2枚組、都合4枚という対策ながら、初期作は特にUSっぽさ、90年代的なフレーバーが満載で、個人的には刺さって仕方がないのである。


私は大学時代から音楽をがっつり聴くようになったのだけど、当時ハマっていたのがNIrvanaスマパン、NINなど90年代のアメリカの音楽だった。

Oasisなども聴いてはいたんだけど、より夢中になったのは明らかにアメリカの音楽だった。

リアルタイムはArctic Monkeysとかだと思うけど、それまで全然聴いてなかったから歴史を遡るところから始まっていたの。

実際は高校生の終わり頃からだったけどね。

ふと思い出したけど、Nirvanaの『Never Mind』も確か高校生の頃に初めて聴いた気がするけど、兄に貸したか何かでこのアルバムを聴いた奴の感想は「別に」であった。

兄弟でも趣味は全く違うのである。

それはともかく、今もって90年代的という感覚を覚えるんだけど、この90年代的な感じが好きでしかたない。

その90年代的な感じがどんなかと言われてもうまく説明できないが、ギターの感じとか、曲の中にあるムードとか、そういうもの全てが私にシミって仕方ないのである。

もちろんただのノスタルジーみたいな感触だけで聴いているわけではなくて、moomlsの曲そのものも素晴らしんだけどね。

この間もライブに行ったんだけど、いいんだよね。

彼らももういい年だから、いい感じの落ち着きがあるし、普通だったら許容されないようなゆるさもあって、全てが絶妙に今の私にはまるのである。


と、さっきから何も言っていないんだけど、最近彼らの音楽を聴きながらあてどもなく街をふらつくのがとてもいい感じ。

彼らの音楽は曲だけではなく歌詞も非常にポエットリートいって評価が高い。

作詞はヴォーカルの酒井さんという人が全てやっているんだけど、刺繍も出していたり、昔ユリイカかな何かの特集で、日本の優れた作詞家としても選出されたりしている。

同業でもアナログフィッシュOgre You Assholeなど彼らを慕うバンドは少なくないとか。

実際聞いていて非常に独特で、詩的な風景が広がっている。

目下の最新作?たる”愛人”という曲の一節でも、「夕日が持ち場を離れていく」というのがあるんだけど、この表現も非常に素晴らしいと思える。

この曲自体もどこか遣る瀬無さみたいなものと、現状に対する諦めというかどうしようもないなと受け入れるような切なさみたいなものとか、いろんな現実がないまぜになったような曲で、そこに対して「夕日が持ち場を離れていく」という表現がとても素晴らしいと思うのである。

そこから夜が来て、辺りには何も見えなくなる。

最後のあかりである夕日すら「まあ、そんなもんだろ」といって自分の仕事を淡々と終える夕日がなんだか擬人化されているのが妙にドライで面白い。


このアルバムも、都合31曲も入っており、ヴァージョン違いもあってそういう面白さもあるんだけど、この中でも妙に私に引っかかるのが”なわとびの前で”という曲。

この曲の歌詞も非常に観念的だし、明確なメッセージを持っているというよりはある情景を通して感じる感情とかそういうものをふんわりと描いているんだと思うけど、特に「君が回す縄跳びの前で動けない」という歌詞が、妙に刺さるのである。

できないし、しないさ、約束は、という一節から始まるこの曲は、過去と現在を行き来するような感覚があるんだけど、過去の何かにどこかとらわれてしまうような感覚だろうかと思っている。

最近の自分の感覚に何かマッチするのかもしれない。

日本の音楽を聴いていて、はまる音楽はどんなかといえば、やっぱり歌詞がこうして刺さってくる瞬間である。

正直彼らの音楽を何きっかけで聴き始めたかの明確な記憶はないんだけど、気がつけば最近好んで聴いているバンドの一つである。

音楽そのものもいいんだけど、その歌詞がちょいちょい引っかかってくるのだ。

それが今の自分の感覚ととてもマッチしてくるから、つい聴いてしまうのである。


音楽のいい悪いというは、世間的に売れている売れていないなんていうことは全然大した問題じゃなくて、何より大事なのは自分にフィットするかどうかである。

音楽に限らず、それが芸術というものなのかもしれないけどね。

ともあれ、90年代的な音楽、特にUSインディ、あるいは日本でもブッチャーズとか好きな人なら、彼らの音楽が響くところがあるはずだ。

おすすめである。

"なわとびの前で"