音楽放談 pt.2

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人としての弱さ

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私が大好きな漫画の一つが、すでに連載は終わってしまったが『無限の住人』という作品である。

基本的には仇討ちがストーリーの軸としてあるので、わかりやすい時代劇的なところもあるのだけど、しかし全体として正義も悪も明確ではなく、それぞれの正義や悪が戦っており、読む人によって感情移入するキャラクタも違うだろうし、ともすれば主人公たちに敵対心すら覚えるような、そんな漫画だと思っている。

この漫画での一応のラスボスが天津影久という若き剣豪で、彼がヒロインの両親を殺害したところから物語は始まるのだけど、彼がなぜ殺害に及んだかといった背景まで含めると、劇中の当事者たるヒロインですら彼を仇敵として討つことに躊躇する場面もあるほど、様々な価値観の戦いもあって、そこが非常に面白い漫画である。

で、その天津というキャラは1人の剣士として作中最強クラスであると同時に、その哲学もまさに鉄人なわけで、それが故にとても魅力的でもある。

結局彼は最後死ぬのだけど、その死に際に初めて彼が弱音というか人間としての弱さみたいなものを吐露する場面があるのだけど、それがまたグッとくる。

この漫画の主人公は、タイトルの無限の住人とあるように不死の身体を持っている。

切られても急所を突かれても死なないのだ。

そんなの反則やんけ!と思うかもしれないが、ミソなのは彼が最強の剣士ではないことだ。

しょっちゅう死にかけているし、不死でなければとっくに死んでいるのである。

一応補足しておくと、決して弱いわけではなくて、100人斬りと呼ばれるような剣豪ではあるんだけど、敵はそれ以上にめちゃ強いというわけだ。

天津の最期の相手はこの主人公たる不死の男なんだけど、その戦いが終わって、エピローグ的なやりとりの後に天津は死ぬことになるんだけど、そこで口にしたのは「自分たちのやったことが忘れ去れられるのが悔しい、歴史の上では意味がなかったことになっているかもしれないけど、せめて(不死でずっと生き続ける)お前には何があったのか、こんな奴らが国のためにあがいたことを覚えていて欲しい」というようなことを言う場面が非常に印象的である。


人間は弱い生き物だと言われる。

それは自己憐憫的な側面があると思ってはいるけど、でもそれは一つの真理だと思っていて。

弱いと言う表現が必ずしも正しいとは思わないけど、承認欲求っていうのは誰にでもあると思うし、誰にも知られることなく死んでいくにはやっぱり悲しいと思ってしまう。

だからこそいろんな人との関係性を保とうとするし、昨今SNSが普及しているのもそういう根源的な欲求があるからだと思っている。

鉄の心を持って戦い続けた男が最期に人間らしさを見せるのも含めて、この漫画はとても面白い。

そのほかにも、人を自分の愉悦の道具にしか思っていないような本当のゲスなやつでも、最期には少しだけ人間らしさを見せうようなセリフがあって、そうした人間描写も秀逸だと思っている。

全然派手ではないし、ハイライトが少し前に迎えた後のエピローグ的な中で語られることなんだけど、だからこそグッとくる。


最近私はまた人生の岐路に立っている。

今の会社に入ってもう直ぐ3年経つけど、未経験ながらなんとか一つの爪痕を残すことができた。

嬉しいことに、俺と一緒に仕事をしたいと言うやつもいるし、俺の案件だけは絶対にやり切るといってくれるやつもいる。

今回半期のタイミングで組織改編に合わせて昇格のチャンスがあったんだけど、周りからは「上がるんですか?」と聞かれたけど、結果が上がらなかった。

それだけの成果は十分だしたと思うし、上の人には多分見えていないような部分でかなり色々の事をやってきた。

別部署で実績もちゃんと出しており今回の改編でポイントになった2人がいるんだけど、この2人は俺は入社当時から知っているし、ずっと一緒にやってきた2人だった。

1人はこれまで通り俺と同じチームに、もう1人は違うチームに配属されることに人事上は決まったんだけど、それでもこいつは俺の案件だけは手放したくないといってくれている。

色々の状況はあるけど、それでもこいつはそういってくれるんだよね。

一緒にやっている中で色々話をしていることはあったけど、それ以上に俺は手前味噌ながら俺のやってきたことってちゃんと伝わってたのかなと思って、それも嬉しかった。

入社当時は2人とも頼りなかったし、正直不安でしかなかった。

今でももちろんまだまだなところはあるけど、仕事の仕方とかパートナーとのやりとり含めて見違えるようになったし、他の奴らと比べても質的に違うと思っている。

見る人が見ればそれがわかるだろうし、だからこそ今回の改編でもそれぞれが異なるチームに同じ期待値を持って配属されたと思っている。

はたから見れば、この2人はたまたま大きな案件を持っていただけに見えるかもしれないけど、2人とも俺と入社当時からずっと関わっていたことや、すでにやめてしまったけど彼らが入社当時にいた先輩社員の存在が、根本であることは一体誰が気がついているだろうか。

他の誰がそう言うやりとりをしているのか。

俺以外にいないという自負がある。

だからこそ、彼らはそういう言い方をしてくれると思うしね。


人生の意味について最近改めて考えると、やっぱりそんなものはない。

だから自分の中で良かったと思える人生を追求するしかないと思うのだけど、私にとってはそうして少しでも誰かの人生において影響を及ぼしたり、何かのきっかけでありたいと思っている。

それが生きてきた証になると思うし、この人生に爪痕を残すことだと思っている。

歴史に名を残すことは多分できないけど、違う形で自分を残すことはできるはずだし、何もなかったことにされるのはやっぱり寂しい。


せめて誰かに覚えていて欲しい、なんて思いくらいで、人は生きているのかもかしれないね。

The Blue Herb "Mainline"