音楽放談 pt.2

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年輪 -Tha Blue Herb

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必ず時代は変わる、というわけで、平成から令和になって久しいわけだが、自分の極身の回りが何か変わったかといえばそうでもないのが現実だ。

実際問題年号を意識するのは契約書や何かの書類くらいなもので、実際問題生活には大して影響はない。

歴史はいつだって振り返る時に意識されるものだ。


先日Tha Blue Herbが7年ぶりになるアルバムをリリースした。

前作ってそんな前だっけ?ていうかそんなに空いてたっけ?なんて思うわけだが、この間MCのBossはソロ作を出したり、グループとしてはずっとライブをやっていたので、そんな感覚はなかったよね。

ともあれ、今回は「2枚組を作る」というのが彼らのテーマであったとのことで、実際問題何をラップするんだというのが大きな焦点だった。

私は、正直前作の『Total』はあんまりピンとかに作品だった。

件の3.11を経ての作品ということもあって、そういったトピックがふんだんにあったものの、表現としては凡庸というか、彼ら独自の棘がなくて、アルバムとしては聴いていられなかった。

Bossのソロについては、トラックや客演の多様性という面白さはあったけど、テーマとしてはそんなに好きでもなかった。

人間年をとれば価値観は変わるし、噛み付く相手もいなくなれば、彼らのみている世界と私のみている世界が違う以上はそこに共感できないのは仕方ないし、むしろそうだからこそリアルな表現なのかもしれないしね。

とはいえ、そんな2作を経ての今作、一体どういう作品になるのかというのがポイントだったんだけど、結論から言えば私は結構好きだ。

人によっては、こんなものをTha Blue Herbとしてやる価値がどこにあるのか、という評価を得ることもありそうであるし、実際私も最初に聴いた時にはなんだかよくわかんないなと思った。

だけど、彼らが向かっている方向っているのは、ある種人の性を表しているようで、それが見えてくる瞬間がある。


今回のアルバムのリリックについては、ソロ作にも見えたようなこれまでの振り返り、そして昨今のラップブームを踏まえたようなものが特に前半は占めている。

後半は市井にある暮らしをストーリーテリングするような内容という感じ。

やっぱりフリースタイルダンジョンってかなり彼らの業界では影響はでかいんだね。

固有名詞もふんだんに盛り込まれるあたりはいかにもヒップホップ、少なくとも日本では50間近のラッパーなんていないわけで、彼等はいまや何をやっても最先端でもある。

今更誰かを攻撃しているのはダサいし、かといって自分たちの歴史ばかり語るのはもういいだろうと。

その先に何があるかといえば、結局日々の暮らしである。

インタビューでも語られているけど、日々の暮らしがヒップホップのリアルというわけだ。

アメリカのバンド、Garbageのヴォーカルのシャーリー・マンソンが言っていた言葉がなぜか印象的でよく覚えているんだけど、「人には誰にでも語るべき物語がある」ということを言っていて、それが今回のTBHのアルバムでもあるという感じだ。

私には残念ながらそんな物語はないけどね。


と、ここまではBossのリリックを焦点にした話だけど、このアルバムではどちらかと言えばトラックが素晴らしいと感じている。

もともと1stアルバムからPortishead的なブリストルサウンドが大きな特徴だったが、それだけではない独自の音楽が彼等をオリジナルたらしてめている大きな要素の一つなんだけど、このアルバムではまさにそれが全開である。

そうしたいかにも彼等なサウンドもありつつ、Four Tetのようなフォークトロニカ的な曲も、前作的なメタリックなとトラックもありつつ、その幅は多様。

全体に攻撃的なものよりは穏やかなものが多くて、Bossのラップと相まってよく計算して作ったんだろうなというのはわかるし、インストだけでもめちゃくちゃ聞き応え抜群だ。


彼等に何を求めるかによるが、気がつけばなんとなく聴きたくなるアルバムになりそうだというのが個人的な感想である。

もうつまらないなと思う人も少なくないと思うし、絶賛をするような作品ではないというのが正直なところでもある。

人生が一人ではないというのは年をとるほどに感じられることだと思うけど、彼等の作品はそんなことをつくづく感じさせる。

共感の度合いは人によってだいぶ違うんだろうけど、彼等には引き続き息長く活動してほしいなと思う。