今年は季節感のバグったような1年だったな。
5月には30度を超えていて、12月なのに20度を超える。
まだ冬が来ていない感じですね。
それでもカレンダー的には年末だ。
今年は個人的にもトピカルな1年で、割と先々の人生について改めて考えたし、結果転職もしたし、昨年からの体調不良は幾分改善したがまだ残っている。
その他ストレス的な意味でのメンタルダメージも負ってしまったのがこの2年だったな・
いやほんと、人生で2回目の大きな後悔だ。
ただ、1回目はそこでの学びが多くあったし、その後の今に至るマインドの根っこになったところもあったので、いうても割とポジティブな後悔だった。
が、今回はマジでただの後悔だった。
強いていえば、この時間があったから今の会社に出会ったのはあるが、多分もっと違う道あっただろうなとは思うよな。
ま、ここからだ。
そんな2023年だが、好きなアーティストの新譜も多くリリースされたね。
国内外で次々出てきてうれしかったものだ。
他方で、日本国内でメディアが流通しないアーティストもちらほら。
別に海外サイトで買ってもいいのだけど、いかんせん円安で輸入代含めるとそれだけでまあまあの値段になってしまうので、サブスクで聴きつつタイミングを待っている。
そんな環境ではあるので、個人的ベストは基本的にはメディアを買ったものに絞っていこう。
第1位:Tha Boss『In The Name Of Hip-Hop Ⅱ』
ここ数年活動も活発なTha Blue HerbのMC、Tha Bossのソロ2ndが、個人的な1位かな。
冒頭で書いたように結構色々あったんだけど、そんな中でリリックも曲も刺さりまくったのがこのアルバムだった。
Bossも50を超えて、若い頃のような攻撃的な鋭さは流石に鳴りを潜めているし、どちらかといえば内省的なものや、周りについてラップすることが多くなった印象だ。
このアルバムでは多くのMCやトラックメーカーとコラボしているが、いずれもリラックスした雰囲気となっている。
若手、ベテランどちらもやっているけど、やはりYTRとDさんとの2曲は円熟みもあって好きなんだよな。
ZORNはかっこいいし、SHINGOは茶目っ気の中に熱いものがばちばちくるし、JEVAの歌う田舎の風景は共感的に映るところもあったりと、若手と呼ばれる彼らも素晴らしいのよね。
トラックもロックチックなテイストもあるものから、Theヒップホップもあれば、ジャジーなものまで実に多様でどれも上質、インストだけで楽しめるクオリティだ。
とはいえ1番はシングルカットもされた”YEARNING”は本当に名曲だと思う。
前作で言えば"And Again"的な曲で、トラックも同じくCeloryだ。
ラップしていることは、”時代は変わる”と同じマインドだと思っている。
20代後半の私にとっては戦いの音楽だったんだけど、40手前になると諦めることも出てくる中で、それでも失くしたくない価値観みたいなものを再確認させられたんだよな。
ライブでもアルバムでもラストの方で演奏されるが、これだよなって思う。
ないなら作る、いないならなる、というまさにBossの生き様そのものだが、このシンプルな言葉の中にそれが表現されていて、この説得力。
すごいなって思うよね。
そしてBSながら特集番組も制作されるなど、ファンにとっても嬉しいし、Bossにとってもこれまでやってこなかったことをやったもの印象的だったな。
今年のラストも恒例の年末Liquid Roomの予定だ。
いいアルバムだ。
第2位:Lillies and Remains『Sperior』
実に9年ぶりに、ファンにとっては満を持してリリースされたリリーズが2位ですかね。
とにかく音楽的に私にとってはドツボで、直感的にかっこいいと思ってしまう。
何曲かは数年前にリリースされていたものの、改めてアルバムの中で聴くとその素晴らしさがまた際立つところにアルバムというフォーマットの面白さを感じるところだ。
また、基本的に英語詞なので歌っていることの意味はそこまで拾えてなかったのもあるが、今回細かく歌詞も読み込んでみると、かなりポジティブなメッセージにも思える。
そもそもちょっと捻くれているというか、すかしているようなところもあるのだけど、このアルバムは一番素直な印象だ。
昨今の情勢なんかも彼らなりにみながらの世界観なんだろうな。
だからこそ、先行シングルとしてリリースされていた"Greatest View"がとても美しいと感じるのですね。
久しぶりのツアーも回ったわけだが、リリースの合間のライブに比べて曲数も多く、曲そのもので勝負するようなライブだった。
アグレッシブなツインギターが彼らの代名詞みたいなところはあるが、近作はシンセ音がメインとなる曲も増えた。
それでもライブは変わらず最高だったね。
ライブメンバーも少し変わって、これまでずっとレギュラーだったベースの高松さんがおそらくノベンバのツアーもあってか抜けて、代わりにRuby Sparksの人が参加。
このバンドもまた素晴らしいのでそのうち何か書こう。
しかし音源では高松さんがメインで弾いているらしいので、弾むようなフレーズが見事な彩りを添えている。
いずれにせよ、ファンとしてはこうして引き続き稼働してるれているのが何よりだ。
来年も何か出すのかやるらしいから期待だ。
第3位:RAY 『Camelia』
今年の音楽体験の中で、個人的に一番大きな変化の一つが、アイドルのアルバムを買ってライブもに足を運んだことだ。
アイドルについては、観ている分には可愛い女の子たちなので全然いいのであるが、ちゃんと音楽を聴いてきたことはなかった。
そんな中で、RAYは一気にアルバムも集めて単独にもちょくちょく足を運ぶようになった。
きっかけは彼女たちの評価の大きな軸である楽曲だが、実はメンバーのnoteが本当に最初のきっかけというもの稀有なことだ。
今年リリースされた3rdアルバムでは青木ロビンまで担ぎ出すなど、随分とんがっているなというところで調べたらCryuff In The Bedroomのハタさんが代表曲は作っており、界隈ではすでに有名な存在だったらしい、なんてトピックを元に聞いてみたら曲がツボすぎた。
遡って1st、2ndも聴いたのだが、いずれも実にクオリティが高いし、曲がツボすぎるのだ。
ハタさん以外にも常連作曲陣がおり、どれも素晴らしい。
彼女らはRAYとして活動を始めて実はまだ3年かそこらしか経っていないようだが、既に幾度かのメンバーチェンジをしており、オリジナルメンバーは1人だけだ。
私が知っているのは現メンバーのみで過去はどんな感じだったかしらないが、ライブやトークなんかを見てもなかなか面白いバランスだなと思う。
またアルバムの音源についても、これまではあまりメンバーの顔を出さないと言うか、そう言うものをあえて消しているような感じがあったが、今作はそれぞれのカラーが出ているように感じる。
楽曲自体もかなりバラエティに富んでおり、これまでシューゲイザーが中心的な価値観だったところから、よりオルタナティブな価値観が強くなったようにも感じる。
初め聴いた時はかなりバラツキがあるように感じたが、聴き込んでいくうちに絶妙なバランスだなと感じるようになった。
ライブについても、特にロビン曲なんてどう表現するんだろ、と思っていたわけだが、最近彼女たちなりの表現が固まってきたのか、面白い感じになってきており、アイドルという表現の仕方みたいなものも見て取れるように思い、それも面白いところだ。
他のアイドルにも手を伸ばすかといえばなかなかそうはいかないが、また引き続きみていきたいところだ。
第4位:The Novembers『The Novembers』
聴いているとついニヤけてしまうような音楽があるが年末に滑り込んできた彼らの新譜はまさにそんなアルバムだ。
前2作が打ち込みを大きく取り入れたインダストリアルな感じだったのだが、そこからの1st以来のセルフタイトルアルバムだ。
ライブ会場で先行販売、配布という彼らなりに新しい取り組みも入れたアルバムなわけだが、期待は裏切らないどころか軽く超えてきた。
詳しくはまたまとめて書くとして、このアルバムは曲の振れ幅が大きく、これまで彼らが影響を受けてきたものをとにかくぶち込んだような印象で、初期の彼らのジャギジャギした感じもあれば、この曲のここはこれっぽい、みたいなものがありながらまごう事なき彼らの音になっている。
静かな曲はひたすら感動的で、純粋さに溢れて瑞々しさすらある。
小林くんのボーカルもスペルバの経験も踏まえてより伸びやかでポジティブに感じられるのも良いし、またメンバーもいろんなものモリモリの楽曲をしっかり演奏しているわけだから、バンドとしてのポテンシャルがすごいのよね。
曲のスケールで言えば余裕でアリーナクラスだ。
ステージングも含めて十分に届くだろう。
ただ、一方で彼らがたとえばフェスのトリに来るかというとちょっと違うように感じてしまう。
格とかそういう話でもないし、いざやれば最高のフィナーレにもなる絵が浮かぶ。
しかし、彼らの存在自体がオルタナで、永遠のジョーカーみたいな印象なのよ。
トリ前辺りでメインを食ってしまうような、そんなあり方がとても似合うのよね。
ファンとしては大きな会場でメインで見たい気持ちはあるが、一方でそうでない立ち位置で最高な場所に行ってほしいとも思う。
とりあえず、セルフタイトルに相応しい現時点での最高傑作をまた更新してきた感じである。
リリースライブは行けなかったので、また単独へ行きたいな。
第5位:The National 『First Two Pages of Frankenstein』
このバンドは私に取っては不思議な存在で、ぶっちゃけそんなに熱心に聴いているわけでもないし、何が良いのけど聞かれたらまだちゃんと言語化できていない。
しかし、前作もそうだったが彼らのアルバムは聴いている時にふと染み入る瞬間があって、その瞬間ついニヤけてしまうのだ。
個人的には前作がこれまでで1番好きなアルバムだったが、アルバムトータルとしてはこちらの方が好きかも、となっている。
正直相変わらず地味だ。
ゲストも多く参加しており、それこそTaylor Swiftとかといるけど、そんなに押し出すこともなくさりげない。
キャッチーさがないので、確かに日本ではあんまり流行るタイプの音楽ではないが、じっくり聴いていると丁寧に作られてるんだな、ということがひしひしと伝わってくる。
それこそR.E.Mとよく比較されるが、たしかににそれも納得だ。
派手なヒット曲があるわけでなく、しかし全体として良い曲をやっている感じ。
なんでこの感じで好きなのかよくわかっていないだけど、ふと聞きたくなる感じ,これが今時点での彼らの評価だが、なんやかんや印象にもしっかり残っている。
すごい。
その他のアルバムたち
あえて順位付けすれば上記のような感じだが、他にも今年は力作満載だった。
2月に来日も決まったQueens Of The Stone Ageはじめ、Feist、Back Drop Bomb、ceroなど、国内外問わず良かったのよね。
goatや空間現代のような世界的に見ても尖りまくっている奴らもライブ含めて活発だったのは
ファンとして嬉しい限りだ。
アルバムではないが、アナログフィッシュもシングルも,配信のみだがリリースもあってしね。
ハマるかどうかはこの瞬間の気持ちの問題で、作品の優劣ではない。
友人から借りた音源も割とあって、どれもそれなり以上に良かったのだけど、なんやかんやよく聴いたとなるとこの辺りに収斂していくのよね。
Elephant Gymは来週のリリースなので、このタイミングでは評価外になってしまうが、どうせ良いだろうしね。
年明け以降もLITEもリリースされるし、他にも待っているのもたくさんだ。
来年も引き続き期待ですね。
と、まあ個人的なベストアルバムはこんな感じで、基本的にはこれまで聴いてきたアーティストの新譜が大半だ。
新しいアーティストについても興味がないわけではないが、時間的な制約もあってなかなか手が出ない。
また、The CoralもKevin Drewも新譜を出したけど、メディアが手に入らなくてね。
それも世相だろうか。
ともあれ、向こう数年はこんなトレンドだろうから、アルバムというパッケージによらず楽しませてくれることを期待である。