音楽放談 pt.2

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刺激的なロックを体現 ―Song For The Deaf

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全身の血液が逆流するような感覚を覚えることがたまにある。

急速に覚醒レベルがあがったときなんかはそういうときだ。

ブワーーッと脳みそに血液が流れ込んで、なんだかカッカしてくるのである。

殊音楽を聴いてそういう風になることは珍しい。

単純に普段好む音楽の雰囲気自体が、そういう興奮の仕方をするものではないから、というのが大きいとは思うけど。

でも、最近出会って(といってももう1年半以上前になるけど)そういう感覚を与えてくれた音楽といえば、やはりQueens of the Stone Ageをおいて他にはいない。


既にメジャーの1stについては以前書いているので、バイオ的なものは抜きで。

今回は、彼らを一躍メジャーな存在に押し上げた2ndアルバム「Song For the Deaf」についてである。

このアルバムには、あのデイヴ・グロールがドラマーとして参戦していることでかなり名前が売れたアルバムで、結果として商業的には一番成功したアルバムである。

一方でそうした話題性が先行してしまい、彼らの本質を見えにくくしてしまったアルバムでもある。

最初にこのアルバムの印象を言うのなら、まじめというか、ものすごく真顔で「見てろよ」といわんばかりのみなぎるテンションを感じる内容である。

前作では悪ふざけしているかのような空気感が絶妙な魅力であったわけであるが、今回は本気で作ったぜ、て感じ。

それゆえ、どの曲もすさまじいまでのエネルギーが渦巻いている。


このアルバムの大きな特徴のひとつが、ラジオ風になっていて、曲間にはMCが入るのである。

あたかもリクエストがあったかのような曲紹介なんかもあったりして、きちんと?やっている。

まあ、なんていっているかはよくわかんないんだけど、しゃべっている人の一人はマンソンのツアーメンバーとして先ごろ復帰したツィギー・ラミレズことジョーディ・ホワイト(当時はまだツィギーだけど)だったりして、やっぱり豪華である。

割とこういうおしゃべりというのは邪魔臭いものであるが、このアルバムでは曲自体が真顔な分、こうした部分にクイーンズ的なエキスが伺え、いい味を醸しているのである。


で、曲について言及していくと、全般的にこのアルバムの曲はポップで、多分誰が聴いても素直にかっこいいと思えるわかりやすさがある。

それゆえアンダーグラウンドの連中からは裏切り者呼ばわりされたりもしたわけであるが、そんな連中には屁でもかましてやればいい。

クイーンズらしいシンプルの反復ギターを軸に、デイヴのドラムも冴え渡る。

1曲目は今はなきニックがヴォーカルの"You Think I Ain't Worth A Dollar But I Feel Like A Millionaire"。

ドラムから始まるこの曲は、はじめは音が遠いんだけど、MCが終わると一気に爆発する上、ニックのキレキレのヴォーカルがまたいいのである。

タイトルもいいじゃない、らしくて。


前半は特にテンションが高い上に中毒性の高いリフの曲が続く。

特に"First It Giveth"、"Song For the Dead"のつなぎは半端ではない。

Song For~のイントロのリフはまさに最強である。

これを聴いているともう顔はニヤけるはむやみに暴れたくなるわで、もうたまらない。

やはりシンプルなリフを繰り返しまくりなんだけど、それがえもいわれぬ快感なのである。

個人的にブレイクなんかのタイミングでギターが裏返るような音が大好きなんだけど、そういうのもあるから話つぃ的にはたまらないの。

間には渋いビリー・ギボンズヴォーカルの"Hanging Tree"なんかも挟みながら、最後まで怒涛のテンションを貫く。


聴いていて、やっぱりこのクイーンズは真顔だな、とつくづく感じる。

ところで、この「真顔」という意味であるが、まあわかる人ならわかってくれるんじゃないかとは思うんだけど、彼らの魅力的で素敵な要素のひとつが、荒くれ者臭が自ずと発せられている点である。

1stなんかを聴いて思ったのが、割と懐っこいんだけど、舐めた奴は容赦なくぶっ潰す、といわんばかりの迫力と、それに裏付けられたような悪ふざけ感がある、ということである。

しかし、このアルバムでは俺らの本気を見せてやる、的なまじめさがあるように感じられるのである。

それが結果的にこれだけのテンションを生んでいると思うし、どの曲もハードでありながらポップでもある。

彼らがスタイル的にはもはや廃れた感すらある王道的なハードロックを基調としながら、昨今のようなミクスチャー的な要素を感じさせず、純粋にロックンロールと呼ぶべき音楽を出来るのは、ひとえにそのまじめさ故だろうと思う。

同時に、デイヴはじめ、多くの同業者リスペクトを集める所以もそこにあるのであろう。

だって、なのかんのいっても、やっぱり単純にかっこいいと思うもの。

このアルバムのタイトルだって、かなり挑発的でイカしている。

Song For The Deaf(耳の聴こえない人のための歌)と名づけられているわけであるが、これは最終曲のタイトルでもある。

その曲のはじめには、女性MCの声で、「自分が愚かなことにも気づけないほど愚かな人に」みたいなことが語られる。

もちろんこれは差別的な意味合いは皆無であり、むしろいわゆる健常者の不感症に対する皮肉である。

ろくに聞いているわけもないのに、世間の声により感動したような気になってみたり、あるいは何一つ本質なんて見てないくせに知ったような顔をしている奴とかにね。

ラジオ風なアルバムにもその辺の意図が含まれている。

こうやって書いてわかる人ならすぐになるほど、と思ってもらえると思うが、わかんない人にはわかんないだろうね、何が言いたいのか。

それならそれでいいと思うけど。

逆に言えばそう言う人は聴いてもしょうがない類の音楽だよ、きっとね。

といいつつ、一方で自分だってどうなのかは自分じゃわかんないから、気をつけないとね。


ちなみにこの作品は、内容的には文句ないけど、クイーンズとしては、となるとファンの中ではやや評価がわれているようだ。

個人的にも、このアルバムが一番好きか、ときかれると、イエスとは言わない。

何故かといわれると、先にも述べたある種の「らしさ」にやや欠けるからである。

とはいえ、クイーンズの入門盤にはもってこいな作品であるし、そこらのなんちゃってロックに比べれば、ていうか比べるべくもないほど最高なので(最高級の最高)、ロック好きを自認するのなら一度は聞いておくべきであろう。


なにはともあれ、シンプルでありながら、こうも刺激的な音楽を発しまくるQueens of the Stone Ageは最高のロックバンドであることは間違いない。

ところで、直接は関係ないが、このほどジョシュと友人ジェシーのバンド、eagles of Death Metalの新譜が出た。

それに伴い各誌でインタビューなんかも出ているわけであるが、今回の宣財写真がまた最高である。

とりあえず今月のロッキンオンで見られるので、ぜひチェックしてみてね。

他のページは飛ばしてもいいから。