音楽放談 pt.2

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あなたのネックレスはどこ? ―Feiry Furnaces

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世の中には探せば本当に色々なものがある。

誰にとっても大きな意味を持ちうるものもあれば、はっきり言って無意味としか言いようのないナンセンスの塊もある。

でも結局のところ、これらの間には決定的な差なんてないのが面白いところである。

要はナニが価値判断の基準になっているのか、そこだけである。

その基準は一般的である必要はなく、好きなように判断すればよいのである。

もっとも今の世の中には共通の物差しを欲する人の方が多いらしいが。

しかもそういう人は、そこからずれた価値を見ようともしないどころか下手をすればおとしめるような事さえする。

そういうやつを観るたび、なんと詰まらんやつだと思って関わるのを止めてしまう。

そういう人の背景にあるのは、自己判断に対する自信のなさと、自分の信じる常識が実は常識でなかった、という可能性に対する不安であろう。

そういう意味では憎めないというか、まあ同情の余地はあるよな。

もっとも同情こそ人を貶めるものだ、と言った人も昔はあったがね。


普段とはだいぶ毛色の違う話ではじめて見たが、私もこういう音楽が今好きでね、なんて言うと、馬鹿にしたような目で人を変わり者扱いするやつが実に多かったので、そういう反応に対する反発心を表してみたのである。

自分も結局は偏屈になりつつあるんだけど、それが故に今は友人も少なくなったよ。

もともと友達じゃなかったのかもしれないけど。

それはともかく、それで世の中の変わったものは実に面白いものが多いのである。

音楽も然り、変態的であればあるほど面白みはなお深い。


Fiery Furnacesというバンドをご存知の方がどれくらいいるであろうか。

知っている人は相当アメリカンインディシーンに明るい人だと思う。

日本ではマイナーもいいところで、よほど熱心に音楽誌を読むようなやつでないと知らないだろう。

自分とて暇な大学時代がなければ知らなかっただろう。


音楽としては、非常にストーリーテリングな歌詞も伴って、きわめて演劇的というか、アルバムとして一つの作品が成り立っているという類いの音楽である。

と、いってもまだ1枚しか聴いた事なかったりして。

このバンドは男女兄弟2人のバンドで、兄の方が主に音楽的なイニシアティヴを握っている。

で、主に歌っているのが妹であるので、ともすれば単なる仲良し兄弟のようにも写る(妹はエレノアという人なんだけど綺麗な人で、かのFranz Ferdinandのヴォーカル、アレックスの彼女である)。

しかし、音楽的にはかなり癖のあるもので、それほどうまくはないけど彼女のヴォーカルのおかげでかろうじてポップとつながっているような感触さえある。


ジャンル的にはブルース的なにおいはかなり強いが、それはあくまでベースであって出来上がったもんはもはやカテゴライズ不可能なものになっている。

なんと表現したものか、わからないのだが、結構中毒性は高い。

しかし、ハードルも結構高い。

こういう奇妙な感じは好きなんだけど、そうかといってずっと聴いている訳でもないし。

でも、たまにふと聴こう、となるのである。

なぜかはよくわからないが、物語タッチの世界観がちょっとした非日常を作り出しているようで、なんとなくエスケーピズム、みたいな。

聴いていると不思議な感じになるのですよ。


で、私が持っているのは彼らの2ndにあたる「Blueberry Boat」というやつ。

日本盤は2枚組で、シングルで出された曲の入ったボーナスディスク付きのやつである。

本編は先にも書いたように、独自の世界が広がっていてやや敷居も高い感じなんだけど、ボーナスの方はかんりポップよりで、聴きやすい曲が多い。

ただ、聴いていて思うのは、歌メロは非常にポップで親しみやすいんだけど、一方で曲やなんやが非常にヘンなの。

でも、なかなかいい曲入っているよ。

中でも"Single Again"と言う曲は、特に世の既婚女性には一度聴いてみていただきたいような曲である。

内容としては、「もう一度独身に戻りたいわ」というものである。

歌詞の主人公は2回結婚するんだけど、いずれもろくでもない男に引っかかって後悔する、というものである。

曲はものすごくポップなんだけどね。

こういうややダークなフィーリングは全編に漂っているけどね。


と、まあほとんど音楽的なことは書かないまま締めちゃいます。

彼らの楽曲は万人受けする類いのものではない。

間違ってもオリコンで彼らの名を耳にする事はないだろう。

わかんない、という人の方が多いだろう。

でも、少なくとも私には奇妙に気になる存在である。

中古やなどで見かけるたびに買おうか迷うんだけど、まだ買ってない。

今しばらくは節約とて我慢しなきゃ行けないので、我慢するけど、また買おうと思っている。

周りのやつに聴かせたところで首を傾げるだけか、あるいは馬鹿にされるかもしれんが、そんなことはどうでもいい。

自分にとって意味があるかどうかが最大の関心であるから。


こういう人間をさして意固地というのかな。

人には勧めない生き方だけど、音楽の方はよかったら聴いてみてね。

ちなみにタイトルの由来は、このアルバムが、主人公が大事なネックレスをなくすという所から物語が始まるので、それになぞらえてみました。

大事なものは人それぞれだってことですよ。