音楽放談 pt.2

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小休止86「日本と世界の違い色々」

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昨日はBo Ningen とBorisのドラマーのトークイベントへ行ってみた。

会場は50名くらいの小さなカフェ併設のちょっとしたイベント会場で、インディな映画なんかも上映しているらしい場所であった。

ウェブマガジンかなんかの主催イベントらしく、構成はまずBo NingenのVo/Taigenによるソロライブ、そのあとはトークセッションという流れ。

普段こういうイベントにはあまり参加しないのだけど、暇だったし、どんな事話すんだろうと思ってね。


まずはソロライブについて。

どういうのをやるんだろうと思ったのだけど、サンプラー、というのかな、あらかじめ楽器の個別のとだけ入れておいてボタンをポチポチ押すとドラム音が出たり、ノイズが出たりと言うので所謂灰野啓二的なノイズなもの。

そこにヴォーカルを載せるのだけど、正直言葉は何を言っているのか判別できなかった。

リズムもあるようなないような、所謂実験的な感じで形になるには今少し時間がかかりそうかな、て感じ。

後々ソロワークをガッツリやり始めたらまた面白いかもね。

バンド本体とは全然違う感じだったね。


で、次がトークセッション。

Borisについてはまともに曲を聴いた事がなかったのだが、結果から言うと音楽聴いてみようと思ったのですね。

どちらのバンドも日本ではインディロックでしかなくて、一部の好事家が評価する音楽と言う扱いだが、Borisはかのベストセラー「告白」という映画で曲が多く使われているためそこで耳にした人も多いはずである。

それに海外での評価は爆裂に高く、Borisは特にアーティスト人気が高いという。

実際対バンのバンドやサポートのバンドを見てもそうそうたる顔ぶれ。

NINとツアーやっているのは知らなかったな。


一方のBo Ningenも一昨年年間ベストで各誌に絶賛されたイギリスのSavegesと仲がよく、昨年コラボアルバムを出したり、それ以前ではHorrorsのメンバーに絶賛されたりもしている。

彼等が注目される大きなきっかけとなったのはそのコメントであったと思う。

私が最初に彼等に興味を持ったのもそれだったと思うし。

昨今は名前も大分売れてきたので、海外のフェスでも昨年はかなり呼ばれていたね。


音楽的には前者はヘヴィでドローンな音楽性が特徴とよく見かける、後者は所謂サイケデリックで、ここのところあちこちで言われるシューゲイザーの文脈でも語られる。

いずれもフィードバックギターがかなり印象的で音楽的な要素としても強いので、あまりスタジアムなバンドではないのは確かだろう。

所謂J-POPばかり聴いている層にはなかなか受け入れにくいのは実際かもしれない。


さて、そんな彼等が何を話すか、というところだけど、元々のレジュメではエクセルで作成した各バンドの年表に沿って話を聞いて行こう、という感じだったようだが、序盤早々に脱線、一応一通りは舐めたものの、結局あまり活かされていないどころかバンド側の話したている内容が抜けていたりと、正直的が外れてしまっていた。

かわいそうに、編集長。

それはともかく、今回は色んな側面からの話が聞けて率直に面白かったね。

海外でのバンド活動について、海外フェスの裏側に付いて、大物アーティストとの対バンについて、そして日本と海外の音楽業界の違いなどもあって、それはなるほどなあと思ったね。

お金の流れの違いや、音楽文化の違い、バンドのマインドの違いなどもあって、何故日本でインディと呼ばれるバンドが苦労してしまうのか、一方で海外のバンドがキチンと喰えている理由なんかもわかって面白いよね。

それに環境という意味でもよくも悪くも恵まれている日本という国で、奇麗なバンドが多い一方で小さくまとまってしまう印象なのはそういうところなのかな、とかね。

そして、Bo Ningenのギターの一人(べろんべろんに酔っていたが)が、「楽器も持たずにレンタルスタジオに行けば演奏も出来るし、色んなメーカーの機材も揃っている。だけどその環境で練習しても、多分今のような音は出せないし、同じ音楽は作れないと思う」というような主旨の発言は、非常にもたついてまとまりのない言い方だったけど、なるほどなと思った。

更に「日本のバンドは演奏はうまいから奇麗に演奏はできる。だけど音楽を作れる人は少ない印象」というのも面白かったね。

別に他のバンドをディスっている訳ではなくて、ある意味では顕在化しにくい、外からは見えにくいが決定的に何かを分けるものが何かというのを本質的に表現しているように思われた。

私は楽器もやらないし、音楽も作れない、専ら聴く専門なのだけど、そんな私でも、演奏もうまいし曲もポップなのだけど、なんか物足りないというか、そんな印象のバンドもあって、それって何なんだろうと思っていたのだけど、そう言うのってやっぱりあるんだろうなと。


その他演奏する側として、海外バンドとの音の違いについても、もちろんフィジカルなパワーの違いはあるにせよ、楽器のサイズとかも違うんですね。

そこはやらないので本当に知らなかったのだけど、ドラムスティックとかシンバルの厚さとかも違うんだってね。

そんな物理的な差とそれを叩くプレイヤーのフィジカルもかなり大きいみたいですね。

で、その話の中でドラムテックから「もっと柔らかく叩け」みたいな話が出た時に、Bも弾くTaigenから「確かに音はその方が奇麗だけど、それだとグルーヴが変わるから元通りの叩き方をやってって指示しました」ていうのも興味深かったね。

あとは機材についても、いつも同じアンプでないと同じ音は出せないから、そういうのも基本的には持ち込んでいる、だから同じ音がちゃんと出せる、というのもなるほどなあと思うと同時に、他のバンドに彼等はしばしば聴かれるという時に、彼等に取ってはそれが普通のことなのだけど、いつもアンプにまで気を配らないバンドにしてみればエポックメイキングなことなのかもしれないね。


そして、収益構造の違いについても、日本の客と海外の客の質の違いから、その理由、更にチケット代に観られる収益構造の違いも顕著である。

海外ではチケットは安いんだってね。

だから、それこそバーに出掛ける感覚でライブへ行くからかなり酒も飲む。

騒がしいしやたら騒ぐのはそういう文化的な違いがあるかららしい。

一方の日本ではチケット代自体が高い。

その分客はしっかりライブ自体から元を取ろうとするから演奏に集中する。

そしてライブへ通う年齢層のメインは10代~20代前半と、基本的には金がない層である。

ライブハウスだとドリンク1杯500円以上で安くない。

それを何杯も行くのはさすがに財布も持たない。

だから余計に使わなくなるから、ライブハウスはどこで収益を得るかと言えば演奏者側からになる。

要するにバンド側からすれば原価が上がるからチケット代にそれが跳ね返る。

すると余計に悪循環になる。

それが今一音楽で飯を食おうと思うと、インディズでは厳しいということだ。

そこで話に上がったのが「要はExileみたいにああいう大きな組織、事務所になって興行からやって行けないとなかなか食べて行くのは難しい。でも、属したところで必ずしもみんなが喰える訳でもないから難しい」というのもなるほどなと思ったね。


最後に意外というか、BorisのAtsuoさんがビジネスという側面からでも非常にシビアにものを考えている点が意外というか、すごいなと思った。

やっぱりクレバーでないと立ち行かないし、単に夢やれやる気やれだけではどうしようもない現実というのは実はこういうところもあるんだろうなという気もする。

もちろん環境に順応できる精神的な意味でのタフさも必要なんだけどね。


と、期待していた以上に面白い話が聞けて非常に良かったね。

予定時間を大きくオーバーするほど盛り上がったが。

ていうかAtsuoさん、かなり自己主張強いよね。

だからこそ海外でもやって行けるのかもしれないけど。

改めて音源を聴いてみると共に、ちょっと違う視点でも音楽を観るきっかけになりましたね。