音楽放談 pt.2

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小休止117「孤独の正体」

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寂しい、というのは今の時代の一つの合言葉みたいになっているように思う。
 
何かにつけ寂しいという言葉を口にする人は多いし、よく言われるSNSの普及に併せて使われることが多い。
 
大体の人が1人でいるのが孤独だ、寂しいというのだけど、果たして孤独ってどういう状態なのだろう。
 
 
私は割と暗い音楽が好きである。
 
その中には、たまらなく冷たい感触の音楽がある。
 
その代表格は何と言ってもJoy Divisionである。
 
冷却装置と形容されることもあるその音楽は、単にドライな音感触であるというだけではないだろう。
 
自分の世界から見た世界だけしか見えてこないような歌詞や、それを伝える歌声が一番大きな要因だと思う。
 
他ならぬイアンの存在と言っていいだろう。
 
日本で言えば、フィッシュマンズの音楽ってそれに近い感触を覚える。
 
私は彼らの音楽を聴いたのは極最近になってからで、それほど彼らに詳しいわけでもなければ聴きこんでいるわけでもない。
 
しかし、ベスト盤と20世紀のマスターピースとして名高い『空中キャンプ』を聴いていると、どこか似た匂いを感じるのである。
 
フィッシュマンズのヴォーカルの佐藤さんも若くして亡くなっている。
 
彼らの曲も、都会の孤独感という言葉で語れることが多いのではないだろうか。
 
 
孤独を口にする人の多くは、おそらく彼らの音楽には共感できないのではないかと個人的には思っている。
 
The Blue Herbの歌詞の中で「孤独は人と人の間に割って入ってくる」というラインがあるが、状態としての描写は非常に秀逸だと思う。
 
本質的にBossは孤独な人ではないと思っているので、そういう人からこういう歌詞が出てくるのは素晴らしいと思う反面、そういう人だからこそ出てくるところもあるのかもしれない。
 
ちなみにJoy Divisionの曲の歌詞には孤独という言葉は出てこないはずである。
 
フィッシュマンズの曲も、全部聞いたわけではないけどどちらかといえば温かさを感じる人の方が多いのではないだろうか。
 
彼らは自分が孤独だとは思っていないと思うけど、一方で人と一緒にいても安心もしないし、むしろ不安になっているんじゃないかと思う。
 
そういう自分の経験があるから、そこから出る言葉は逆に温かさもあるのだろう。
 
ちなみにイアンの歌詞は彼個人の葛藤が色濃く出ているので、むしろそこに共感できる人はいるだろう。
 
 
さて、冒頭のテーマ、孤独の正体はいったいなんなんか、という話なのだけど、個人的には人に共感できないことだと思っている。
 
相手の考えていることや、思考の理屈は理解できる、だけどそれに共感はできない人である。
 
もっといえば、それを普通のことだと受け入れてしまっている人である。
 
そういう人は1人でも平気だし、でもたまに人と繋がりたいと思うのだけど、結局相手が自分を求めていることを感じることができなくて、人といても不安しかない人なんだと思う。
 
人と一緒にいて安心できる人は、単なる寂しがり屋で、孤独とは違うだろう。
 
その意味で言えば、最近は孤独属性の人は増えているのかもしれないけどね。
 
 
そんな孤独という姿を描いた映画だと感じるのは、ずっと話にあげているイアンの映画『Control』である。
 
彼は周りから愛され、必要とされ、才能を評価されて、結婚もして、子供も居て、愛人も居て、バンドメイトもいて、ファンもいて、それでもなお彼は満たされなかった。
 
まあ、彼の場合は人を信用できないし、もっと根本には自分を信用できないという精神があったように感じるけど、なぜ孤独な人が孤独なのかといえば、そうした自分に対する信じられなさなのだろうと思う。
 
 
音楽に限って言えばそうした孤独の描写が上手な人はたくさんいて、例えばアナログフィッシュの下岡さんなんかもどちらかといえばそうした属性なのかなと感じることが多いが、彼には悲壮感が欠片もなく、どこか飄々としている印象がある。
 
彼の場合はそれが彼にとっての問題ではないのだろうなと思う。
 
そういう人は人間的に強いよね。
 
彼らの曲で”Town”という曲は都会暮らしの孤独感を見事に描いていると思うけど、悲壮感はないんだよね。
 
上記のJDやフィッシュマンズのような感覚は全くない。
 
ちなみに大好きな曲なんだけどね。
 
 
ともあれ、孤独を感じる人はみだりに人を求めないで、たまにはこういう音楽に身を任せてみるのもいいのではないだろうか。
 
そこに共感できなければ、あなたはただの寂しがり屋なので、人混みに出かければいいし、共感してしまったらそこに身を委ね続けた方がかえってストレスも少ないだろう。
 
まあ、最終的にはしたいようにすればいいのだろうけど、人と交わったところで本質的な孤独感は決して消えないものだろうと思う。
 
だから孤独な人の末路は、それほど多くの選択肢を持っていないのではないかと思う。
 
”Heart and Soul” by Joy Division