音楽放談 pt.2

SEO強化をしていこう。

The Horrorsってカッコよくないですか?

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最近は新しいバンドの音楽を聴く機会がめっきり減っている。

 

転職してから出社が基本になったため、日中に音楽やラジオを聴く時間がなくなったし、その上で既に好きなバンドの音楽だけでも楽しい。

 

それに旧作でも不意に聴きたくなって聴いているのでなお時間は限られてくる。

 

まあ、新しいものを聞かなければいけない法はないし、旧作が色褪せるわけでもない。

 

最近ではSpotifyでアーティスト単位のプレイリストを聴き流していると、改めていいなと思うことも多く、そこからまた昔のアルバムなんかを遡ってしまうしね。

 

 

そうして何の気なしに聴いていて、やっぱりかっこいいなと思ったのがThe Horrorsだ。

 

今年久しぶりのEPを発表していて、アルバムへの期待値も高まるところ。

 

以前はアルバムのたびに来日もしてくれていたので、ライブも楽しみなところ。

 

80年代イギリスのポストパンクをリファレンスにしたセンス抜群の音楽性で、個人的にもツボで仕方ない。

 

というわけで、改めて勝手に振り返るThe Horrors、ビジュアル的にも非常に際立っているが、未聴の人にも是非聴いてみてほしい。

 

 

まずはデビュー作から。

 

彼らは2006年にデビューなので、まさに私が大学生の頃であるのだけど、1st『Strange House』のリリースでサマーソニックにも出演していた。

 

当時私は全くチェックしておらずだったのだけど、たまたま彼らの演奏しているステージを通りかかった際に耳に入ったのがJoy Divisionのカバーだった。

 

たしか"No Love Lost"だったと思うが、そこで足を止めてほうと思いつつも、他に見たいのがあったのでちゃんと見なかった。

 

後悔である。

 

もちろん彼らの名前は雑誌などでもよく登場していたので知っていたのだけど、あまり聴こうと思わなかった理由は彼らの出立からビジュアル系的なバンドと思っていたのだ。

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2005年前後はイギリスのバンドでいいバンドがたくさんいて、それこそThe StrokesThe LibertinesThe Coralが先んじて注目され、そこからインディーロックバンドというものが活況を呈していた。

 

その中で、割とラフな格好をしたバンドが多くいる中で彼らはしっかりとコンセプト性を示すような衣装だったわけだが、当時の私の個人的ブームも相俟ってスルーしていた。

 

今みれば別にビジュアル系というわけでもないし、むしろ反応してしまいそうだ。

 

それに、ちゃんと曲を聴いていればそんなことはなかったはずだ。


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こちらは彼らが注目されるきっかけになった"Sheena Is  a Parasite"という曲だが、曲的にはSuisideを思い起こさせる。

 

pvはたしかクリス・カニンガムだったと思うが、ガレージロック的なラフさとノイジーなエレクトロの味付けが絶妙だ。

 

他の曲も仄暗い路地裏から覗き見るような引きみさを讃えている。

 

1stアルバムの1曲目のタイトルは"Jack The Ripper"だ。


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ちょっとダーティな香りもかっこいいではないか。

 

 

私が彼らをちゃんと聴くようになったのは2nd『Primaly Color』からだった。

 

そのきっかけはPortisheadのジェフがプロデュースしたというトピックだった。

 

当時すでにPortisheadは聴いていたし、さらにその少し前にThe Coralの3rdもプロデュースしたというトピックもあって、しかもそのアルバムは個人的には彼らのベストといえる作品だと思っているので、それじゃあ聴いてみようじゃないかと。

 

当時音楽雑誌でも絶賛されていたのだけど、その評価に違わずめちゃくちゃいいアルバムだった。

 

よりポストパンク色を前面に押し出した音楽になっており、すでにそれがツボ。

 

そして曲もアルバムとしての流れも全てが素晴らしい。


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特に好きなのがこの"Scarlet Field"という曲だが、イントロの淡々としたドラムとベースに始まり、序盤は静かな展開から徐々に盛り上がっていきノイジーシューゲイザーなギターと幻想的なシンセサウンドの絡み合いがたまらない。

 

展開も曲のムードも大好きなタイプの曲だ。

 

しかしこのアルバムの本当にすごいのはラストの"Sea Within a Sea"という曲。

 

この曲は彼らのキャリアの中でも別格に素晴らしいと個人的には思っている。


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曲の展開については先の曲と同様個人的に好みの感じなんだけど、より桃源郷の彼方見たいな感じになっている。

 

不思議な高揚感に終始包まれていて、最後はどこか遠くへいってしまうようなシンセの渦である。

 

この曲はライブで聴いてもぶっ飛ばされる。

 

ギターノイズも最高すぎで、定期的に聴いている。

 

 

続く3rd『Skying』はよりドリーミーといるような曲が多く、なんだか達観したような音楽で、正直個人的にはあまりピンと来なかった。

 

今改めて聴いてみると決して悪くはないのだけど、多幸感に溢れまくった感じが彼らに期待してしまっていた音像とちょっと違うぞ、というのはあったかもしれない。


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全体にゆったり目の曲が多かった印象なので、アルバムとして聴いた時にちょっと緩すぎるように感じたのだろう。

 

1stの頃とはすっかり様変わって毒っけのない感じである。

 

もちろんそれは悪いことではないんだけど、単に当時の私はそういう物が好きだったというだけの話である。

 

 

続く4th『Luminous』も路線としてはその方向だったが、このアルバムは全体としてのムードだったり、音像がくっきりした感じがして好きだったな。

 

世の中的な評価はあんまりだった記憶だが、そんなことはないだろうと思って聴いていた。


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と、いいつつこのアルバムもここの曲というよりはアルバムとして聴いていたんだけど、ボーカルの声の輪郭もくっきりしている。

 

この当時も来日は良くしてくれていたので、私は基本的にはほぼ観に行っていた。


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フェスやそれに準じるイベントも結構多くて、Hostess Club Weekenderというイベントでも来ていたね。

 

このイベントがまためちゃくちゃ素晴らしいブッキングをかましてくれていたんだけど、もうなくなってしまったのが本当に残念だった。

 

 

そして再び彼らがメディアでも注目されるようになったのは5th『V』、インダストリアル的なノイジーな曲がシングルとして発表されたが、前2作の穏やかさからはまた打って変わった音楽であった。


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ややグロテスクなMVにアルバムジャケットだが、非常にかっこいい作品になっている。

 

アルバム全体としてアグレッシブな曲が多く占める中で、ラストの曲がまた素晴らしかった。

 

ついに"Sea Within A Sea"クラスの曲ができたと思ったものだ。


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曲の展開自体好きなタイプなのはあるのだけど、多幸感溢れるポップな曲調と空高く上がっていくような盛り上がり方が最高である。

 

ボーカルの歌い方も優しさというか、そういうものを感じる。

 

 

そしてようやくの新作だが、先にリリースされていた曲もこのアルバムの流れを継ぐようにエレクトロな曲であった。


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ん〜、かっこいいではないか。

 

個人的には音楽性もさることながらアルバムの変遷みたいなところも、日本のThe Novembersと共通するところを感じる。

 

音楽的にはLillies and Remainsの方がドンズバに近いわけだが、ノベンバも直近の2作はインダストリアルでノイジーなアルバムを発表しており、その手前ではそれまでのキャリアを総浚いしたようなアルバムを作っている。

 

そんな二組はインタビューで共演しているので、是非こちらも読んでみていただきたい。

www.cinra.net

 

年をとってなおさら思うようになったのは、こういう独自のこだわりや美学みたいなものを貫いている人たちが魅力的に感じるようになっている。

 

そういう人は苦労もするだろうし、きっと生きづらい人もいるだろうけど、だからこそ共感できるところもあるのだろう。

 

私は彼らとズバリ同年代なのだけど、こうして一緒に年をとっていくバンドがあるというのはなんだか嬉しい思いだ。

 

これからの作品にも期待だ。

 

 

 

永遠のプログレ ーKing Crimson

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今日は3年ぶりとなるKing Crimsonの来日ツアー初日であった。

 

コロナが一段落して早々にこうして日本に来てくれたのは本当に嬉しい限りだ。

 

前回が2018年で、その時が私は初クリムゾンだったが、正直メンバーの年齢的にも社会環境的にももう難しいと思っていたので、そのアグレッシブさには頭が下がるばかりだ。

 

この世代はポール・マッカートニーといいボブ・ディランといい、いつまでも元気な人たちである。

 

事前のトニー・レヴィンのインタビューでも、今回がラストになるということは語られており、いよいよかなというところになっているのは寂しい限りだが、東京公演はBunkamuraも2日程追加されたので、正直ラストの回も行こうかしらと悩んでいる。

 

ともあれ、今日は今日で楽しみだ。

 

 

会場は国際フォーラムAということで、キャパは5000を超える結構大きな箱だ。

 

私は開場前の時間に着いたが、すでに待機中の列が長蛇。

 

てっきり半分くらいに制限するのかと思ったら、フル開放だったようだ。

 

まあ、ファンの大半はもういい年、指定席で合唱なんかも発生するような音楽性ではないので問題ないろう。

 

しかし、入場までに30分くらいかかったんだけど、せっかくなのでツアーTも買いたいなと思って物販に並ぼうとしたらこちらも長蛇の列、なんと4階まで続いている。

 

これは間に合うか?と一瞬焦ったが、会場のオペレーションが非常に頑張ってくれていたので、無事開演までに私は間に合った。

 

ちなみに私が今まさに買えるとなったタイミングでも、もし開始時間が迫ってなければ同じくらい並んでいたのではないだろうか。

 

会場の入り自体はソールドアウトではなかったと思うが、それでも3000くらいは売れていたはずだ。

 

平均単価2万円として、それだけでも6000万円、さらに物販もおそらく平均単価8000円くらい、6割の客が買ったとしたら1800×8000=1440万円。

 

この日だけで8000万円近くの売り上げとなるさんだん。

 

すごい商売だ。

 

とはいえ、それくらい稼いでくれないとかえって申し訳ないし、色々の経費も考えればそこまで大儲けということもないだろう。

 

ありがとうと改めて言いたい。

 

 

さて、今回のセットリストは以下だ。

 

早々に上げてくれている人がいて、ありがたい限りだ。

 

第一部

Hell Hounds of Crim
Pictures of a City
Court of the Crimson King
Red
One More Red Nightmare
Tony's Cadenza
Neurotica
Indiscipline
Islands

 

第2部

Drumsons
LTIA part1
Epitaph
Radical Action part2
LTIA part5
Starless

21st Century Schizoid Man

割と鉄板的なセットリストで、聴きたい曲は人おおり網羅してくれている感じだ。

 

まあ、細かいことは言わないですよ。

 

なんていうか、圧巻て言うんですかね。

 

昼間にライブ盤を聴いていたんだけど、目の前で演奏されているのかちゃんとした録音演奏なのか、わからなくなるくらい演奏の完成度はさすが。

 

でもやっぱり音だけじゃない、音の衝撃が空間を揺らすのがライブだ。

 

トリプルドラムの迫力も、遠くながらに素晴らしく、しかもハイパーテクニカル。

 

みんなもういい歳のおっさんじいさんなのに、なんでこんなにかっこいいんだ。

 

ラストは“21世紀の精神異常者(あえて旧邦題で)”だったが、この曲はフリップが23歳の時に作られた曲だ。

 

他にも1stに収録の曲は演奏されてはいるが、やっぱりこの曲のイントロのリフは永遠だ。

 

プログレッシブ・ロックの幕開けを飾るのにふさわしい、最高にかっこいいリフだと思う。

 

今でこそ貫禄とか堂々たる姿がはまるが、彼らが初めて世に放った時には、きっと「どうだ、かっこいいだろ!」みたいな気持ちもあったのかなとか思いながら聴いていた。

 

最近私の中での色々のキーワードがLife Storyという言葉なんだけど、この70過ぎのじいさんにそんなことを感じると、なんか胸熱になるよね。

 

きっと頑固な人だし、一緒にやっていたメンバーからすれば嫌なところもいっぱいあるんだろうけど、結局King Crimsonの名の下に残された作品はどれもカッコよくて、なんなら毎年更新されていくような作品だ。

 

彼の頭の中にはずっと音楽が鳴っていて、過去の曲も毎年アップデートされていっているんだろうな。

 

今でも毎週、嫁さんと音楽動画をあげているが、ずっと、これから先もそれは続くのだろうな。

 

少しでも長く、かっこいい音楽を作って、演奏し続けてくれたら嬉しい限りだ。

 

彼らは永遠のプログレッシブロックバンドなんだろうな。

 

 

今日は初日、明日からもまた日本ツアーだ。

 

無事乗り越えてほしいですね。

 

最高でした、ただただ感謝しかない気持ちである。

 

ちなみに、今日は私をこのバンドに引き込んだオーケンさんも来ていたらしい。

 

未だオーケンさんとは直接交わる機会がないママだが、いろんなところからいろんなつながりがあって、いろんな影響を与えて後世に伝わっていくのである。

 

まあ、勝手に言っているだけだけどね。

 

いつまでもかっこよく生きていきたいですね。

https://m.youtube.com/watch?v=7OvW8Z7kiws

 

 

 

 

 

楽しいだけの1日 -abura derabu

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今日はライブイベント、abura derabuへ。

 

こうしたイベントは参加するのは実に久しぶり、会場は今年で封鎖が決まっている新木場Studio Coastだ。

 

個人的にも思い出の詰まった会場で、洋楽アーティストのライブをよく見たら記憶だ。

 

これはこれでまた記事にしたいな。

 

それはともかく、このイベントはbooked!というイベントをやっているところだが、毎回コアながら非常に魅力的な日本のオルタナ系アーティストを集めている印象だ。

 

mooolsやNingen Ok、Skillkillsといったバンドの出ていたイベントへ行ったな。

 

今回の出演者がとても素晴らしく、今やすっかりバンドとしての活動のスケールが独自に進化しまくったGEZAN、THA BLUE HERBクラムボン、そしてトリはtoeだ。

 

他にもLOSTAGEはよく名前も聞くし、一番手も関西のかなりとんがったバンドらしい。

 

その他別のフロアでも私は1組もわからなかったが、話題のアーティストが揃っているらしい。

 

どうしても用事があったので、到着が遅れて実質GEZANからの参加となった。

 

 

時間が迫るとまずまずの密度だが、それでもかなり快適なレベルである。

 

考えてみれば彼らのライブを観たのは過去に一度だけ。

 

たしかに2ndが出たくらいのタイミングで、会場は渋谷のnestだった気がする。

 

その時の彼らの印象としては、とにかく怒ってるなあという感じだった。

 

音源自体もかなりジャンクでノイジー、歌詞も非常に殺伐としていたわけだが、音楽の根本は恐らく変わっていないにしろ、表現は随分変わったなというのが正直なところだ。

 

それこそ民族音楽みたいなことになっているという意味ではそりゃ明確だが、そういう表面的な話ではなくて、表現の仕方が違うのかなと思ってのだ。

 

彼は非常に文学的な歌詞もかけると思うが、言葉はむしろストレートで素直なものに益々なっているようで、今日披露された曲の歌詞も聞き取りやすいものはどれも真摯で柔らかい言葉である。

 

反して音はと言えばスクリームも織り交ぜながら怒り爆発みたいな感じだ。

 

抑えたところからドカンと膨らむ瞬間は、こりゃ平時ならまさにマッシュ必至なくらいだ。

 

ステージ上での振る舞いという意味でのパフォーマンスも、私の中にあった彼らとは全然別だった。

 

曲はほぼ初めましてみたいな状態だが、そんなことは問題じゃない。

 

彼らが今表現したいのは怒りよりももっとポジティブで、言ってしまえば世界平和みたいなものなのかなと思ったが、凄まじい世界観でしたね。

 

それにしても、単独ならともかくこうしたイベントでこういうライブをかますあたり、最高である。

 

改めてちゃんと音源も聴こう。

https://youtu.be/kqm-84TF9MQ

 

続くはTHA BLUE HERBロック系の音楽のフェスでも当たり前にお呼ばれする数少ないヒップホップだ。

 

しかも誰が聞いても楽しめるタイプのものではない、いわゆるゴリゴリのタイプだ。

 

ヒップホップというジャンル自体がなにかとネガティブなトピックに見舞われている昨今、彼らも思うところはあるだろうが、そういうものへの見解は音源で伝えるというスタンス。

 

言うものは知らず、知るものは言わず。

 

並びもちょうど折り返しのところ、どんなライブを見せるかである。

 


ライブは"2020"からスタート、非常に重たい曲なので、ちょっとびっくりした。

 

彼らはセットリストは毎回ちゃんと場に合わせて組んでくるのだが、おそらく初めましての人も多い中であえてこれでからあたりが心臓の強さか。

 

その他"アメニモマケズ""Ill Beatnik"なんかも演奏されたのはまた驚いた。

 

でも、そこからの流れが見事で、全体的に非常に穏やかな空気のリストである。

 

深読みかもしれないが、最近はヒップホップにまつわるトピックはネガティブなものが多い。

 

波乗り物語に始まり、先日は松永がテレビの発言であらぬ批判を浴びるなど、なんだかおかしなことになっている。

 

波乗り〜はもはや言わずもがなだが、松永は完全に意図と違う、というかそんなこと言ってもないことを言ったことにされてかわいそうだったが、いずれにせよ頭の悪い人がその頭の悪さを遺憾なく発揮している中で、おかしな価値づけがなされている。

 

それに対して、俺のヒップホップはこれだぜ、とばかりに切り込んでいくようであった。

 

いたになくBOSSのラップも聴き取りやすく、意識的に強めに意識したのかなとも思った。

 

後半では"And Again"からの"バラッドを俺らに"で、穏やかながらメッセージ性の強い曲と、今の世の中でせめて救いになるような、同時にこの曲の主人公はライブハウスの人たちでもあるので、コースト最後のライブという意味でもそんな気持ちも込めたのかなと。

 

みんなで手をあげて盛り上がるタイプの曲は一曲もやっていないし、初見の人には最初多分意味不明だったんじゃないかとさえ思える。

 

率直な感想も是非聞いてみたいが、ともあれ45分はあっという間、本当に単独が楽しみだ。

https://youtu.be/Z7l2J2LFmiU

 

続いてはクラムボン

 

そこまで熱心に聴いているわけでもないが、曲はやっぱりいいし、一回はライブを観てみたかったのでナイスタイミングだ。

 

しかも並び的にどうしても期待してしまうところもあるしね。

 

リハーサルで軽く一曲演奏するサービス精神やMCの感じと音楽の印象がこんなにマッチする人たちは珍しいな、とか思いながら本編スタート。

 

軽やかな曲調はさることながら、原田さんのボーカルの絶妙に親しみやすさを作り出している気がする。

 

元々ジャズ畑な人たちだったかと思うが、全然小難しさはなく、むしろひたすらポップだ。

 

とはいえ、今回はそうしたポップな曲よりは少しおもためな曲もやったり、何よりミトさんが激しかったな。

 

アルバムもちゃんと聴いたのは2、3枚なので知らない曲ばかりだったが、いうてもやっぱりいい曲多いですね。

 

改めてまた色々アルバムも聴いてみよう。

 

そしてやはり期待通り、ラストはBossも登場で"あかり from here"である。

 

そりゃやるよね、とは思いつつも、イントロが流れた瞬間にトリバダである。

 

先程かましたばかりだが、喉は引き続き絶好調、ラップも冴え渡る。

 

こういうコラボならではなのは、おそらくヒップホップを普段聞かない人にはこちらの方が素直に楽しめたのではないだろうか。

 

何よりラップに乗せられる言葉よ。

 

彼ら自身も何かのインタビューで、この曲は災害や大きな事件があった時に強い、という表現をしていたが、その通りだと思う。

 

歌われているのは普遍的なあり方の話だ。

 

何度聴いてもいい曲はいい。

 

袖でマヒトが聴いているのが見えたが、同じアーティストの立場だとどんな気持ちになるんだろうな。

 

最後のMCまでしっかり持って行ったBOSSはやはり目立ちたがりだが、ともあれこの曲を生で聴けて本当に最高でした。

 

最高でした。

https://youtu.be/6awx5kmTONo

 

クラムボンが終わると、今日初めて別ステージへ。

 

Moment Joonという韓国から日本に移住したというヒップホップの人。

 

私は全く知らなかったが、直前で少しだけインタビューを読むとその辺りの出自についてやはり色々抱えているらしく、その辺りを自分なりに明確に出しながら、移民者と名乗りながらも本当の意味で日本人として認めてほしいと言ったことを発信しているらしい。

 

ライブ初っ端の挨拶でもそこから始まっていた。

 

私もそうなのだけど、昔から外国人という人は身近な存在ではなかったし、ひょっとしたらただ認識していなかっただけかもしれないが、日本人かそうでないかという見方をしてしまう。

 

まぁ、それはどこの国でも同じかもしれないし、実際アメリカや欧州なんかではあからさまな人種差別があるのは有名な話だ。

 

日本ではそういう差別はないと言われているが、実際はそんなことはないと言われるようになったのは割と最近だろう。

 

部落と呼ばれたものもかつてはあったので、その点は認識されているもののもう解決済みという教育だった記憶だ。

 

実際にそういう目に遭っている人からすれば、日常のことなんだろうな。

 

彼のラップはそうしたことを歌っているのだが、そうしたものがリアルなんだろうな。

 

曲は普通にカッコよかったな。

 

ちょっとストレートすぎるようにも感じたが、そうしないと伝わらない現実なのかもしれないな。

 

いろんなアーティストがそれぞれの目から見た世界を音楽で表現していて、そういうのを世代を超えても見られるのはこうしたイベントの良さだ。

 

 

最後はtoe、もはや放っておいても最高なので、素直に楽しむだけである。

 

そしてやっぱり最高でした。

 

気持ち良すぎて危うく漏らしそうになったが、彼らのこのエモさはなんなんだろうな。

 

いつになく柏倉さんのドラムがアグレッシブで、山崎さんは何言ってるかわからなかった。

 

アンコールでは"グッドハイ"が演奏されたが、ゲストボーカルで何かのバンドをやっているという女の子が歌っていたのだけど、考えてみたら私は山崎さんボーカルverしか聞いたことがなかったので、なんか新鮮だったな。

 

時間的には予定より少し長めになったのだけど、ただ最高の時間だったね。

https://youtu.be/VqnlePA3yNE

 

以前よりも体力は目に見えて落ちたので、正直夕方からにも関わらず既に足が棒状態だが、最高の休日になったね。

 

こうやってたくさん音楽を聴いて過ごすこと自体がだいぶ久しぶりなので、帰りの電車で心も軽いのである。

 

来週はKing Crimsonである。

 

目についたライブチケットを取っていたら、12月の土日がほぼ埋まっててびっくりしたが、昨年行けなかった分の憂さ晴らしである。

 

音楽って良いですね。

 

帰って少しだけ酒を飲んでから寝よう。

ライブ復活の日々

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緊急事態宣言が解けて以降、驚くほどの速度で都内の人では増えている。

 

かくいう私もうろうろしているわけだが、いずれにせよずっと家にいるとやはり外の空気を吸いたくなるものだ。

 

おかげさまでライブも徐々に増えてきており、年末に向けて結構チケットをとっている。

 

 

近々のところからだと、まずは数組出るイベントAbura deburaというやつ。

 

年内で営業終了となるStudio Coastで開催されるが、メンツが激アツだ。

 

第1弾でTHA BLUE HERBtoeが発表されて、その時点でチケットは取ったのだけど、追加で発表されたのがGEZANとクラムボンである。

 

特にクラムボンはBossとコラボもしているので、これはどうしても期待してしまう。

 

またGEZANも昔2ndくらいのタイミングで、たしか同じブッカーのイベントで見て以来だ。

 

すっかり独自の存在感を示すに至っているので、楽しみだ。

 

LOSTAGEも何かと聞く名前だし、いい機会である。

 

まだ数組追加されそうなので、引き続き期待しておこう。

 

 

そして月末近くにはKing Crimsonの来日だ。

f:id:back_to_motif:20211106123431j:plain御大Robert Flippももういい年だが、嫁さんと定期的に音楽動画を上げるなどまだまだ元気だ。

 

まして今回の日本ツアーは前回ほど日本全国とは流石にいかなかったが、東京では追加公演も発表されるなど、かなり強気だ。

 

まあ、ファン層も高齢化しているので、このご時世で生の音楽をきけるとあらば同じく老体たちも足を運ぶだろう。

 

私もできれば複数回見たいくらいだが、チケットがやはり高いんだよな。

 

その価値はあるにせよ、色々暮らしがあるからね。

 

ともあれ、まだまだ海外アーティストの多くが渡航を控えるなかでこうしてきてくれるのは嬉しい限りだ。

 

気をつけていただきたい。

 

 

そして12月はまだひとつだけだが、Boom Boom Sattelitesの中野さんとThe Novembersの小林くんのやっているThe Spellboundだ。

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7月に初ライブがあったが、仕事で行けなかったので配信で見たんだけど、それでも十分良かった。

 

フジロックでも参加していたが、今回は改めての単独で、会場はこちらも新木場コースト。

 

今のところシングルを数曲リリースしているのみだが、今またレコーディングもしているらしいので、新曲はおそらく聴けるだろうし、あわよくばアルバムとしてのリリースも期待しているので、ライブ会場で先行販売とかされたら嬉しいなと。

 

ただ、ひとつ悔しかったのは毎年年末はOgre You Asshollのライブとバッティング。

 

個人的恒例行事がうまく噛み合わなかった。

 

あとは待っているのはTha Blue Herbの年末リキッドがあるかどうかだ。

 

やってほしいな。

 

 

そんなわけで、そろそろ年末から来年に向けて動き始める時期である。

 

環境も変わったし、ちょっと気合を入れ直しながら楽しむことは楽しんでいこう。


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僕たちのペースで ーPhase

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今日は選挙の日である。

 

恥ずかしながら、私は過去選挙へ行ったのは1回だけで、30半ばにもなって政治のことはよくわからない。

 

しかし、やっぱりよくないなと思うし、この1年半は少なからず政治に関心をもつには十分な期間であった。

 

幸い食いっぱぐれることはなかったし、むしろ業界的にも後押しになったところはあったので、着実にキャリアアップにつながったと思っている。

 

そうはいっても不安に思うことは多かったし、これから先を考えるとやはり無視はしていられない。

 

それで多少なりとも自分なりに調べて、考えながら投票へも行ってきたところだ。

 

まあどう転ぶかはわからないけど、ちゃんと考えながら生きていくことをしていきたいね。

 

 

それにしても、音楽なり芸術なりを観ていると、時に測ったかのように時代のその瞬間にはまる表現というものに出会うのだけど、その一つがアナログフィッシュの“Phase"という曲だ。


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とりあえず曲を聴いてほしい。

 

この曲の収録されたアルバム『荒野/On The Wildside』がリリース10周年で、先日その周年ツアーだったのだけど、そこにこうしてタイミング的なところで大きな意味を持つこの年に10周年としてまた話題にあがるとは。

 

私は東京公演を観に行ったのだけど、ライブはとっても素晴らしかった。back-to-motif.hatenablog.com

やっぱりこのアルバムの曲は素晴らしいし、その中でもこの曲の持つメッセージは有事のときほど響くし、リリース当時は震災後だったが、今年はコロナで世界が揺れている時だ。

 

「失う用意はある?それとも放っておく勇気はある?」というシンプルな一文だけど、これほど強烈に刺しにくる表現はジャンルを超えてもそうそうあるものではなる。

 

この曲の素晴らしさはこの歌詞だけでなく、それをポップで力強く、前向きな曲調で歌い上げているという、そこも含めた表現である。

 

 

このアルバムがリリースされた当時、一時彼らはこの社会的なメッセージと、この曲にも使われるある表現で政治的なバンドとみなされて敬遠されていた時期があった。

 

割と歌詞の内容と音楽自体を切り離して聴いている友人にも、この曲については少し難しい顔をされた記憶がある。

 

彼個人がどうこうというわけではなくて、日本という国は政治の話は特に敬遠されるけどの、その理由はその人の信条と深く関わるため、そこが合わないときに人間関係そのものに強く影響するという部分はあるにせよ、よくわからないということも結構あるだろう。

 

しばしば宗教と同じような扱いを受けているが、似たような捉えられ方をしている部分はあるんだろうな。

 

R.E.M.の“Green”という曲の一節に「天気の話をする?それとも政治の話をする?」というのがあるが、そういうことなんだろうね。

 

 

ともあれ、私は政治を語るほど詳しくなんてないけど、だからといって触らないものは永遠にわからないままだ。

 

私も自分だけじゃなくて親のこととかも真面目に考えないといけない年齢にもなってきた。

 

良くも悪くも、急に世の中が変わるなんてことはないだろうけど、少しずつでも変化させていくきっかけは作っていかないとな。

 

この曲でも「考えないか空が白んで、歩かないか世が明けるまで。僕たちのペースで。」と歌われる。

 

健全ななかで生きていきたいね。 

つながるシーン -Kyono

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コロナもだいぶ落ち着いてきた感があるとはいえ、まだまだ世間はまだまだコロナ感。

 

とはいえ徐々にライブイベントの開催数も増えてきたし、これまで配信だったものが有観客にもなってきているので、私としては嬉しい限りだ。

 

この間でのせめてもの成果としては、この配信という仕組みが一般化したことで、アーティストにとっては集客自体の母数を増やすことができたことだと思うし、これをきっかけにと映像作品として2次的なものにもつながったことだろう。

 

私の買ったものでは、アナログフィッシュの『Townmeeting By The Sea』とThe Novembersの『At The Biginning』の再現ライブ、それとDownyの3つだったが、いずれも音源とは違い、また現場でのライブとは違う形の魅力を伝えるに十分な作品であった。

 

私が聞いたもの以外にもそうしたものは多くリリースされているだろうから、これはこれで良かったところもあるよね。

 

そんな映像作品としてちょうど今日リリースされたのが、Kyonoの配信ライブのDVDであった。

 

私は当時仕事が忙しくて配信は見られなかったが、おそらく映像作品としてリリースされるだろうと思っていたので、ちゃんとリリースされてよかった。

 

こちらは今年リリースされた2ndソロアルバムのリリースライブとして行われたものであるが、このアルバム自体、やはりKyonoの音楽だなという作品だった。

 

back-to-motif.hatenablog.com

私はご多分にもれずThe Mad Capsule Market'sからのファンで、ハードコア系のヴォーカルとしては今も一番好きだし、最高だと思っている。

 

どちらかと言えばキーが高い声だが、エフェクトをかけているとは思うけどシャウトやデスヴォイスの時の拡声器から放たれるみたいな声の割れ方というか、爆撃機の様と形容されるあの声がとても好きなのだ。

 

他方でメロディパートの声はとても穏やかで、その対比も聴いていてそれぞれが際立つので印象的なのである。

 

ソロでは彼が全曲作詞作曲、そしてアレンジもほぼやっていると思うが、Wagdug Futuristic Unity名義の作品含めてやはり彼らしさがよく出ている。

 

曲展開が転調するタイミング、曲の構成など、マッドを感じさせるところもありつつより、メロコア的なメロディが諸所に感じられるところにある意味彼のソロ作品の感を覚える。

 

また歌詞に目を向けると、おそらく世の中的にはラウドロックといえば攻撃的で世を呪うような歌を歌っていると思っている人も多いだろうが、全然そんなことはなくて、むしろ世界平和とかを切に願うような歌詞が彼には特に多い。

 

元々まっとのときから、初期は全方位に撒き散らすような感じだったが、中期以降はシステムや社会という総体に対して発信しており、少なくとも特定の何かや誰かを指すことはほとんどなかったので、その辺りの価値観は変わらずに軸としてあるんだろう。

 

また、ラウド系と言いながら、特にKyonoの曲はアコースティックですごくいい味を出す。

 

いつかはアコースティックアレンジのアルバムを出してほしいと本当に思っているが、それは今後の楽しみにしておこう。

 

面白いなと思うのは、AA=でのTakeshi同様、ソロになってからの当初の方がマッドらしさをあえて避けていたようなところがあったのだろうが、近年ではやっぱり好きなことやろう、という感じになっているところである。

 

マッドという形ではなくても、いつかまた二人の音楽での共演を見られたら、ファンとしては嬉しい限りだ。

 

 

それはさておき、このライブではアルバムで客演していたヴォーカルたちも参加。

 

KjにJesse、TakumaにMAH、演奏でもMIYAなど、この辺りは流石である。

 

セットリストは新作を中心にしているものの、客演のあった前作の曲も一部披露されており、会場は彼らのホーム、横浜のベイホールだ。

 

配信ライブと現場ライブの一番の違いは、やはり音響面になると思うが、やはり体にずしんと響くのはライブならでは。

 

ましてKyonoといえば爆音なわけだが、それであればこそ尚更その差分がどないやねん、となるところだが、音響チームが結構頑張ったんだろうね。

 

スピーカーで聴いているのでそりゃ現場にしくはないにしろ、いい感じの爆音であった。

 

Kyonoのボーカルも乗ってるし、他のアクトもバッチリだ。

 

無観客なので、普段は観客席となっているスペースも使ってパフォーマンスする姿は、やっぱりかカッコよかったよ。

 

曲を聴いて改めて思うのは、どれも激しさはあるにせよポップだし、メロディアスなところもあって、やはり彼はこういう曲が好きなんだろうなということである。

 

収録は13曲で1時間ほどと短めではあるが、配信・映像作品としては丁度いい尺だろう。

 

これはあえてそうしているらしいしね。

 

まさに駆け抜けるような時間で、とても聴いていて幸福ですね。

 

 

また、この作品では当日のバックヤードドキュメンタリーも収録されているが、そこではKyonoの穏やかな人柄や意外な?マメさもみられるのがまた興味深い。

 

今回のライブ用に、演者のために自身でTシャツをプリントしたものを用意して、自ら手渡しで配る。

 

特にゲストボーカル陣は、元々彼の大ファンばかりということもあり、みんな嬉しそうにそれを受け取っている。

 

個人的に面白いなと思ったのは、KjとJESSEが同じ楽屋に控えているところにKyonoが入っていって渡すシーンがあるのだが、先に近くにいたJESSEに渡している間、Kjがちょっと羨ましそうというか、「俺のもちゃんとあるのかな?」みたいな顔をしながらじっと見つつ髪の毛を触っているシーン。

 

緊張したりすると髪を触る癖のある人は結構おり、髪でなくともムシャクシャすると頭を掻きむしるのも、そうした背景によるとか。

 

Kyonoの足が向いた瞬間スッと立ち上がって、アーッス!とか言ってるのが何か一ファンになっているようで微笑ましいのだ。

 

Dragon Ashは今でこそ独自の進化を遂げたものの、初期はパンクから入りミクスチャーに変貌していく過程など、まさにマッドが辿ったような軌跡とも重なるところがある。

 

それになりより、バンドを始めた時からの憧れの存在だろうから、そりゃ嬉しいよね。

 

そんな人間関係も見えるのが面白く、またその声とは裏腹にまったりとしたKyonoの喋り方や態度がなんだかほんんかする。

 

ライブ直前になって、「マスクは付けていって、そこで外す方がカッコいいかな?」とボソっというが、みんなポカーンとした後爆笑するというのもなんだかいい空気感を感じさせてくれる。

 

 

そんな訳で、音楽作品としても長さ含めていいパッケージになっているし、バックヤードから見えてくるシーンみたいな存在も、ファンには嬉しい映像だろう。

 

今は現場ライブも増えているので、今度はちゃんと生で観たいですね。

 


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AnalogfishとLITEのライブ

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先週と今週と、久しぶりにライブを続けて観に行った。

 

コロナもいったんは原因不明ながら落ち着いたとあって、街の人ではかつてのようだ。

 

ライブハウスも耐えかねて潰れてしまったところは少なくはなかったが、無事乗り越えたところでは徐々に再開されている。

 

とはいえ、入りはキャパの半分程度に抑えられており、またアルコールは出さないというところもまだまだ多い。

 

それでも生で聴けるのはやはり嬉しい限りだ。

 

配信も並行して行うところも多いのは今後もしばらくは続くのだろう。

 

 

まずは先週は毎年恒例、10/10を記念日として何かしらの企画をやっているアナログフィッシュだ。

 

以前はタウンミーティングとてアコースティックライブ企画を長らくやっており、それはそれでとても良かったのだが、コロナ禍以降は少し趣向も変えており、昨年はライブ映像を事前に撮影し、しっかりミックスしてものを配信、後にDVDとしてもリリースされており非常に素晴らしい映像作品になっている。

 

 

今年は彼ら自らも明らかな転換点となった作品と呼んでいる『荒野』の10周年記念として、東京では昼夜2回にわたりライブが行われた。

 

back-to-motif.hatenablog.com

デビュー当時の彼らはある意味でわかりやすいギターロックバンドいった感じで、曲のテーマだったり軸だったりは今にも通じるけど、表現としてはもっとシンプルというか、ストレートであったし、健太郎さんの詞も下岡さんの詞もわりと内省的な印象のものが多かった。

 

アレンジもギター、ベース、ドラムでのシンプル編成で、しかしよく聴くと曲そのものやベースラインなんかは割とエキセントリックなものも少なくなかった。

 

そこから作風がぐっと変わったのは、当該の一つ前の『Life Goes On』ではないかと思っている。

 

曲もミニマルな展開のものが増え、特に下岡さんの曲はより抽象的というか、断片的な言葉が増えたように思うし、ヒップホップ的な感じも色濃くなったように思う。

 

他方の健太郎さんの曲は対象が少し大きくなったようにも感じられた。

 

その後に彼らを大きなブレークスルーに導いたのは、やはり"Phase"だろう。


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「失う用意はある?それとも放っておく勇気はある?」という最高のパンチランを放つ曲だが、特に今の時代、今と言いながらここ10年くらいの日本の状況に対して強烈に問題提起を突きつけてくる。

 

この言葉は常に普遍的なメッセージとして響くだろうし、実際10年経った今でも色あせないどころかなお鋭さを増していると言っていいだろう。

 

今回はこの『荒野』収録の曲を中心にしたセットリストながら、順番はアルバム順というわけでもなくきちんとセットとして組まれている。

 

最近ではリアレンジverでの演奏となっている”戦争が起きた”もオリジナルverで披露されたのだけど、考えてみたらこのオリジナル版をックのは初めてかもしれない。

 

また"No Way"の絶妙な緩さと諸行無常な世界観もいいし、"チアノーゼ"なんかはこのマスク環境、コロナ禍のこの状況を見事に歌い上げているようで、やっぱりここでも改めてハッとさせられてしまう。

 

そして"Hybrid"のアンビバレントな歌詞もやっぱりいいんだよな。

 

この頃からのアルバムは3部作と位置付けられており、下岡さんのドライで鋭い社会的な歌詞が際立っており、アルバムの曲数も顕著に下岡さんの曲が多くなっている。

 

一方の健太郎さんの曲では、"ロックンロール"、"Fine"、"ハミングバード"なんかは非常にポジティブというか、いい意味でシリアスさが抜けた心地よくメロディのある曲なので、アルバム全体のトーンを絶妙に重くならないようにしている。

 

最近のライブのハイライトとなっているのがタイトルトラックでもある"荒野"だが、この曲の歌詞もまた秀逸で、「選べるものが1000あろうが一つだろうが変わりはしない、大事なものはどれかじゃなくて、これしかないの」という一節も本当に素晴らしい。

 

消費社会の云々とはよくいうが、そうした数に惑わされずに自分にとっての本質が何なのかをちゃんと見て行こうぜ、というメッセージがまさに荒野というタイトルにも込められた意味だろうか。

 

 

こうして『荒野』収録の曲の合間には新曲も披露され、既にシングルカットされていた"Satruday Night Sky"も既にだいぶ手慣れており、彼らのキャリアでも随一のデジタルファンクな1曲で、ベースラインが腰にきまくる。

 

カッティグギターも軽快だし、ドラムも電子パッドも駆使しているが、涼しい顔して叩く州一郎さんのプレイやビリティも光っている。

 

そして新たに披露された"Is It Too Late"も、どこか80年代〜90年代的なフレイバーを感じる1曲で、切なさとそれでも後半にはどこか開き直るような明るさというか前向きさを感じさせるように思う。


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先にライブで披露されていた"Yakisoba"もそうだけど、やはり今を反映してか、当たり前の日常、特別ではない日々っていいよね、というような内容となっているのは面白いところである。

 

12月にはついに新アルバムもリリースされるとのことなので、楽しみで仕方ないね。

 

それにしても、やっぱり彼らのライブは定期的に見ておきたいな。

 

 

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そして昨日は、これまた久しぶりのLITEの単独公演。

 

元々5/28に予定されていたが、緊急事態宣言に伴い延期となっていたものだったのだが、無事に開催できてよかった。

 

今回は単独と言いながら多くのゲストも参加予定なので、非常に豪華なライブとなっている。

 

彼らはこの2年の活動も非常にアグレッシブで、たまたまというところはあると思うが、The Roomというアプリを活用した独自のファンコミュニティを運営し始めたり、コロナになって早々に遠隔でのライブ演奏を実現してそれをnoteにまとめたり、間に書籍も出したりと、まさに音楽をなりわいとしながら先進的な試みをずっと行っており、そういった面も興味深くなっているバンドであった。

参考:

バンドの遠隔同時演奏を生配信する方法|武田信幸 | LITE|note

ミュージシャンのためのお金のセミナー | 武田 信幸(LITE) |本 | 通販 | Amazon

 

そして今回のゲスト陣についてだが、これまた豪華。

 

以前から交流のあったAvengers in Sci-FiDe De Mouseをはじめ、The Fin.や青木ロビンさん、そして9mmの滝さん、Cinema Stuffの辻さんと、その筋での力のある人ばかりだ。

 

面白かったのはロビンさんで、何と沖縄からの遠隔出演。

 

ZOOMを使いながらタイミングはバッチリだ。

 

ただでさえ複雑で難しい曲にヴォーカルをつけたアレンジをしていたんだけど、それをこう言う形で実現するとは。

 

スクリーンにはメンバー全員も含めてカメラ映像も投影され、非常に演出としても凝っているし、これまでのリモートライブの成果も着実に生かしている。

 

すごい。

 

ちなみに演奏自体は相変わらずの鉄壁ながら、しょぱなからちょっとミスがあったり、演奏途中でちょいちょいタイミングを外すところもあったように思う。

 

こういう環境でのライブは久しぶりだろうから、やっぱり大変だよね。

 

何と2時間を超える長丁場だったんだけど、彼らのあの楽曲でこの時間の演奏は相当ハードだろうな。

 

特にDe Deさんとの曲は、彼ら自身1日3回までが限界、というくらいハードらしい。


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どんだけだよ、と言う気がしてしまうな。

 

しかし、彼らのライブについても毎回本当に時間の感覚がぶっ飛んでいくし、毎回本当に驚く。

 

久しぶりと言えどさすがだったし、ゲスト陣もみんな良かった。

 

帰りには気持ちよく酒のんで帰ったね。

 

 

ところで、図らずも2週連続でこの2組を見たのだけど、実はアナログフィッシュを初めてみたのもLITEがきっかけだったんだよね。

 

それは、今や一般層にも認知が広がってきたMorohaの2ndアルバムのリリースパーティであった。

back-to-motif.hatenablog.com

当時音楽雑誌で彼らのアルバムが絶賛されていた頃で、そこでLITEも出るということで暇だったので行ったろ、といって足を運んだライブだったが、アナログフィッシュは当時『Newclear』をリリースした頃だったようで、1曲目に演奏された"抱きしめて"がとても印象的で、それがきっかけで聴くようになった。

 

また、出番がアナログフィッシュが1番だったんだけど、その後のLITEのライブを袖で見ていた健太郎さんが、すごい複雑な表情をしていたのも印象的だった。

 

当時どんなことを思っていたのか、覚えていたら聞いてみたい思いだ。

 

ともあれ、個人的にはそんな思い出もある2組なので、いい週末を続けて過ごせている。

 

これからまた徐々にライブやイベントも再開されていくだろう。

 

しばらくは不自由さを強いられることはあるだろうけど、それでもこうして開催できていることに感謝だ。

 

LITEのライブの時に、メンバーからの声かけがあったにもかかわらず大声でほたえていたのがいたのが残念だったが、本当にもし何かあった時にそういう事実が本当の原因かどうかは別に槍玉にあげられてしまう世の中なので、そういうところは本当にちゃんとしたいところだ。

 

 

図らずもまたこの時期に私は転職をするので、しばらくは時間に自由な日々となる。

 

と言って既に結構予定が入っているんだけど、ともあれ楽しく文化的な日々を過ごしたいところだ。

 

でもやっぱり、ライブっていいですね。