ジャンルとしてそこまで熱心に聴いているわけではないが、夏になると恋しくなるのがシューゲイザーと呼ばれる類の音楽である。
そもそも花広く聴いているわけではないので、あくまで私の聴いているバンドに限られはするけど、最近の夏の、あの体に染み込んでくるような強烈な暑さと、アスファルトの路面の渦巻く感じをみていると音像がものすごく重なるような思いがするのだ。
わかる人はいるだろうか。
そんなわけで、夏に聴きたくなるシューゲイザーな音楽をいくつかご紹介。
割と有名どころばかりだと思うので、音源も手に入るだろう。
Spotifyとかで聴いてみてくれい。
まずはやっぱり代表格から。
My Bloody Valentine
My Bloody Valentine - Only Shallow (Official Music Video)
シューゲイザーといえばこの人たち、というわけでMy Bloody Valentine、通称マイブラのフォロワーは世の中にごまんといて、このウィスパーヴォイスなヴォーカル含めて完全に様式を作ったバンドである。
歴史的名盤、リリース前後で世界を変えたとも言われる『Loveless』の1曲目"Only Shallow"が私はとりわけ好きで、このイントロのギュおわ〜〜ん!みたいなところだけ定期的に聴いている。
甘いヴォーカルメロディの後ろでずっとなっているノイズまじりのギターがまさに灼熱の景色によく溶け込むのだよ。
いわゆるサビ的なところのベースもシンプルながらグッと音の厚みが出る感じでいい。
ちなみに、モネの睡蓮を見てもこの曲が流れ出すような感覚がする。
私はフジロックで初めて彼らのライブを観たのだけど、その瞬間に彼らの音楽が理解できた気がしたものだ。
続いてはシューゲイザー日本代表、海外ではKing Of Shoogazerなどと称されたこともあるこのバンド。
Cruyff In The Bedroom
Cruyff in the Bedroom - into my sleep,under the stars
Cryff In The BeadroomのⅠstフルアルバム『Perfect Silence』の2曲目に収録されている"into my sleep, ynder the stars"。
こちらを聴いてみてもらってもわかると思うが、マイブラの影響力よ。
ただ、クライフはただのフォロワーなだけでなくて、これ以降のアルバムでもいろんな要素も盛り込みながら独自の音楽性を築いている。
何よりこのアルバムのタイトルセンスが私は非常に好きだ。
シューゲイザーといえば絶え間ないノイズが特徴的なわけだが、その音楽にこのタイトルをつけるセンスね。
いいじゃないか。
ちなみに彼らは世界ツアーもしており、海外アーティストからの信頼も厚い。
そこまで広く売れているかといえばそうでもないかもしれないが、かっこいい音楽をやっている。
そして今ではアイドルの楽曲も結構作っていたりする。
続いてはこちら。
Serena-Maneesh
Serena-Maneesh - I Just Want To See Your Face (Official Video)
こちらもマイブラ色強めなバンド、ノルウェーのSerema Maneesh、2ndアルバム『S-M 2: Abyss In B Mino』収録の"I Just Want To See Your Face"。
よりアグレッシブな曲をチョイスしたけど、1stの方がシューゲイザー色は強いかもしれない。
しかし、私はこの2ndの方が彼らっぽさが強くて好きだ。
ちなみに、Nine Inch Nailsの日本ツアーで前座を努めたこともあるのだけど、リードギターがバンダナを巻いていて、ファッションセンスはイマイチだったが、音楽的にはいいセンスだと思う。
今はどうしているのだろうか。
続いてはこちら。
Shelling
一部ではコアな支持を得ていたShelling、その3rdアルバム『Waiting For Mint Shower!!』の1曲目"Unfading Scent"。
男女二人組なのだけど、いつの間にか解散してしまっていたが、私はイベントで初めてみて、それ以来なんとなく聴いており、アルバムも全て持っている。
エレクトロニカっぽさもあり、非常にスイートだ。
その意味では、ちょっとmumっぽくもあるかもしれないね。
ヴォーカルの女の子もソロ名義で音源を出しており、このテイストが好きなら気に入るはずである。
数年前にすでに解散したが、2024年に再結成を発表、音源やライブも待たれるところだ。
続いてはこちら。
Deerhunter
Deerhunter - Cover Me (Slowly) / Agoraphobia
かつてはニューゲイザーなどとも呼ばれていたDeerhunterの2nd?『Microcastle』
の1曲目"Cover Me"。
先のわかりやすいシューゲイザーという感じよりは、ノイズギターの使い方がかなり一般化している事例だろう。
事例、とか言ってみたけど彼らは今に至ればすでに大物になっている。
日本でのライブも割とやってくれていたしね。
ライブはもっとラウドでノイジーだ。
それにしても、この頃の彼らの曲ってなんか暗いんだよな。
最近はすっかり明るくなって、何があったかわからないが人は変わるものだね。
どっちも好きですが。
続いてはこちら。
Luby Sparks
日本のバンドだが英詞メイン、シューゲイザー的な音楽を軸にしながら90年代的な風味満載で、私には曲から何からドストライクである。
ヴォーカルの子が1stから既に変わってしまっているが、音楽のセンスはかなりいい。
日本の2020年代のバンドがこの空気感を纏っている時点でかなり熱い。
ちなみにベースの子が曲をメインで作っているのだけど、Lillies And Remainsでサポートもやっている。
今後にも期待だ。
そして変わり種なのがこちら。
RAY
さすがアイドル大国・日本、まさかのシューゲイザーアイドルが出現している。
前身のグループがあったのだが、このグループとしては2019年から活動しているらしい。
メンバーも少し変わってしまっているが、現メンバーではもう直ぐ丸2年立つようで、活動としても安定してきているのだろうか。
楽曲は先のクライフ、For Tracy Hide、死んだ僕の彼女といった日本のシューゲイザーの猛者からRingop Deathstarrなどの海外勢、さらには吉田一郎不可触世界、青木ロビンなどオルタナの極北みたいな人まで招聘している。
いうてもまだアングラアイドルの枠ではあるが、実はシューゲイザー名盤なんちゃらにランキングされていたり、東南アジアなど海外でもアルバムがランクインするなど、その筋ではしっかり評価もされている。
気がついたらめちゃくちゃ大きくなっているかもしれないぞ。
最後はこちら。
The Novembers
THE NOVEMBERS 「Rhapsody in Beauty」
今や日本のオルタナ代表といって差し支えないThe Novembersの5thアルバム『Rhapsody in beauty』からタイトルトラック。
彼らの音楽もいろいろな要素があって、90年代的なオルタナ感が個人的には一番強いかと思うが、こうしたシューゲイザーっぽい曲もあればニューウェイブっぽさもあったり、パンクもあればメロの甘い曲もたくさんあるし、ラルクっぽい曲まである。
割と素直に音楽的な影響を出しているので、そういうあれこれをみているのも面白い。
このバンドもデビュー当時は佇まいもなんだか暗くて、ファン層も言ってしまえばメンヘラ感の強い子が多かったが、最近は彼ら自身もオープンになったのか音楽的にも違う次元にグッと上がっている。
音楽雑誌なんかでも扱われる機会も増えているように思うので、とんがった音楽が好きな人は是非聴いてみて欲しい。
ちなみにヴォーカルの小林くんは同い年だ。
すでにシューゲイザーだけでなく特定の音楽の枠組みにいるような存在ではないが、本当に、あとはちょっとのきっかけだと思うんだけどな。
今年は夏フェスもないので、せめてスピーカーからは好きな音楽を流しながら、その時のムードや感情、気分に合わせてあれこれかけて見るのもたのしいのでおすすめである。
うちフェスなどという企画も方々であるけど、自分でやっちゃえばいいんだよ。
せめて楽しく過ごしたいですね。