音楽放談 pt.2

SEO強化をしていこう。

エモい –Velvet Teenがかっこいいという話

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好きなバンドや音楽は数多くあるが、多くの場合その理由は自分なりに説明できるものが多い。

 

個人的な癖でそうしたいという欲求があるのでそもそもそうするようにはしているのだけど、まず曲が好きというのは大前提として、じゃあもう少し具体化するとそのどんなところなのか、というところをどう掘り下げられるかという話である。

 

しかし、中にはうまくポイントを掴めないんだけど、気がつけば全部アルバムを聴いているし、何かしらの曲を途切れなく聴いているしアーティストが何組か存在する。

 

洋楽だと歌詞もダイレクトに入ってはこないのでわざわざ歌詞なり対訳なりを見ないと何を歌っているのかわからないが、それをしないにも関わらずなんか好きなのである。

 

私にとってそんな存在の一つがVelvet Teenというバンドだ。

 

デビューしてもう20年以上と既にベテランの領域にいるが、商業的に大きく売れたかといえばそうでもない。

 

1stアルバムは当時その物語性と音楽的な美しさもあり大絶賛されていたのはなんとなく記憶しているが、私はリアルタイムでは聴いていなかった。

 

考えてみたら何きっかけで聴こうと思ったのかは覚えていないが、ともあれ当時既に3rdまで出ていたと思うが、短期間で全て揃えて、またアルバム未収録曲をせっせと集めて自分で編集版を作るなど、えらい勢いで好きなバンドに上がっていった記憶である。

 

そして嬉しいことに彼らはちょいちょい来日しており、しかも地方含めたライブハウスを回ってくれるのだ。

 

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コロナ以降は流石にないが、つい数年前にもきており、日本でPV撮影もしている。

 

スタジアムバンドになれるくらいの曲の良さがありながら、変わらずロックバンド然とした佇まいがまたカッコいいのだ。

 

今年は1stリリースから20年だそうだ。

 

前作から少し間が空いているが、また是非来日してほしいバンドの一つ、またもっと多くの人にも聴いてほしいバンドなので、ざらっとおすすめ曲をまとめてみよう。

 

 

まずはバンドについて

彼らは結成が2000年、初めはエレクトロ系のソロプロジェクトとして始まり、そこからメンバーが増えてバンド形態に。

 

デビュー当時はGt/Vo、B、Drの3人組であった。

 

1stはDeath Cab Gor Cutieのプロデュースだったんですね。

 

と言って私はこのバンドは聴いたことないのだけど。

 

そこから幾分かの脱退、追加を繰り返し一時は5人編成だった気がするが、今はまた3人編成となっている。

 

曲はほとんどがボーカルのJudahによるもので、キャリアを通して音楽性自体は大きく変わっていない。

 

基本的にはロックが真ん中にあり、曲やアルバムによって打ち込み系の音も使っている。

 

それが彼らの独自色を作っている一つでもあろう。

 

また、ドラマーは確か1番新しいメンバーだが、手数も多く体もデカいので人力トランス並みに打ちながらえらいパワフルなプレイを炸裂させている。

 

数年前の来日公演で、小さなライブハウスでは収まりきらないくらいだったが、ともあれバリバリの現役である。

 

余談だが、その来日の時に観たJudahのギターはかなり年季が入っており、角は色が落ちているしテープで補強されているしで、買い替えてもええやろと思ったが、とはいえちゃんとなるんだからいいだろう。

 

そんなところにロックバンドなものを感じたものだ。

 

 

既に完成系、1st『out of the fierce parade』(2002年)

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モノクロームでちょっと不気味さもあるジャケット、烏飛んできてるし。

 

ズバリアルバムのテーマは生と死ということで、アルバムラストの曲はまさに"Death"という曲である。

 

1曲目は"A Special Gift to You"。

 

これは生まれた瞬間からそれまでと別な存在になっていくその時を描いているのかな、と思っている。

 

スペシャルギフトとは生であり、人は成長に従って野生から理性の存在になっていく。

 

なんて個別解釈してたら足らないので、とりあえず聴いてほしい曲をば。

 

まずはなんと言っても代表曲の一つであるこちら。


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イントロの激しくメタリックなギターがかっこいい。

 

その背後に骨太なベースと割とゆっくりめなテンポを刻むドラムとの対比が痺れる。

 

堰を切ったように高らかに歌うVoの素敵だ。

 

ハイトーン気味で、曲によってはRadioheadのようでもあるが、どちらかと言えばCursiveアメリカのエモ系バンドの系譜だろう。

 

最近のエモの定義は少し変わっているらしいが、今様のエモではなくてこの頃のエモね。

 

細かい話はともかく、タイトルは確か造語で、Apathyは無関心といった意味だが、頭にRadioをくっつけて現代社会についてのそれというような意味だったかと。

 

「Come, It's Time To Wake Up!」と謳われるところからも文字通り目を覚ませと呼びかける。

 

1曲目からの落差がすごい。

 

続く2曲目も名曲、“Prize Fighter"。


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イントロの銀盤も綺麗で、全体に流麗さも感じる曲だ。

 

とりあえず、聴いて。

 

ラストを飾るのは先にもかいたこちら。


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”Death“という曲だが、暗いというよりは過ぎ去った後の静寂感のようである。

 

見事なパッケージ。

 

このアルバムで当時は大注目を浴びており、次世代の中心的バンドになるだろうと期待されていたそうな。

 

いきなり方向転換、プログレ化した2nd『Elysium』(2004年)

大注目の1stからわずか2年で新作をリリース、作っているうちにそれとなくまとまりも出てきたので、これをだそうとなったという話の2ndである。

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1stから長尺の曲はあったにせよ、3分弱のポップな曲があったことで世に広まったのだが、この2ndは1曲1曲が長尺、そして組曲のようだし個別の曲というよりはアルバム全体で1曲という感じだった。


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エモ的な激情もなく、静かめな曲が続くこともあり、ここで世間の期待値を裏切る結果となった。

 

この裏切るというのは、単にポップな曲出してくれ!売れる曲作ってくれ!という期待を裏切っただけで、この作品そのもののクオリティが悪いとかいう話ではもちろんない。

 

思ったより彼らはマイペースだったのだろう。

 

確かにシングルカットしようと思うとなかなかキャッチーさがない分難しさはあるが、アルバムとしては展開もドラマチックで聞き応え抜群だ。

 

このアルバムを聴いても思うが、3ピースのバンドとは思えない。

 

それと、この当時のライブってどんな感じだったのかなと素朴に思うよな。

 

ちょうどこのアルバムに前後して、メンバーの一人が病気によりバンドを離脱してしまったそうだ。

 

しかし、それでもわずか2年後に次のアルバムをリリースしている。

 

人力トランスドラム炸裂、アグレッシブな3rd『Cum Loude!』(2006年)

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新たなドラマーを迎えての作品だが、前作と打って変わって非常にアグレッシブな曲が並んでいる。

 

打ち込みも入れているので、元々の彼らの特性も出しながら新たな境地も見せたような格好だ。

 

来日時にもラストで演奏されたが、このアルバムの代表曲の一つがこちらか。


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東京でのライブではCinema Stuffの辻さんがギターを弾いていたな。

 

ドラマーの手数が凄まじく、そこを見せるための曲かと思うくらいだが、アルバムでは録音がややくぐもって聞こえるのは気のせいか、ちょっと勿体無い気がしたものだ。

 

ただ曲は基本的にいいし、アレンジも含めてかっこいい。

 

ラストに行くに従いさらにグーっと盛り上がっていく展開も非常にいいアルバムだ。

 

ちなみにこんな曲もある。


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"Tokyoto"という曲である。

 

音が良くないな。。。

 

最高傑作、4th『All Is lllusory』(2015年)

その後バンドはパタリと沈黙、シングルなどのリリースはあったが、大きな動きはない状況がつづいていた。

 

私が彼らを聴き始めたのは確か2010年とかそれくらいだったので、ちょうど活動の間だった。

 

だからライブなんてくるはずもなく、ああもっと早く聴いておけばよかったと思っていたが、長い沈黙を経てアルバムをリリース、しかもそのアルバムがめちゃくちゃよかった。

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ややおどろおどろしいようなジャケットアートは、もはや彼らのセンスなのだろう。

 

しかし、このアルバムの1曲目からめちゃくちゃ爽やかな音で幕を開ける。

 

朝イチで聞くならこれだろ、と思わずにはいられない。

 

その音源がなかったので、先行シングルにも収録されていたこちらを。


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"No Star“という曲だが、イントロから好き。

 

ヴォーカルを聞くといくぶん落ち着いた雰囲気を纏ったような印象もあるが、あのハイトーンは健在。

 

そしてドラムもしばきまくりだ。

 

このアルバムツアーで私は初めて彼らのライブを見ることができたのだけど、彼らを招聘したのは日本のインディバンドだった。

 

その中心にいたのが先にも少し書いたCinema Stuffだ。

 

昔からアメリカのインディーシーンと日本のバンドは一定の親交があったらしく、有名なところではEastern YouthとCurisiveだ。

 

CursiveのVo、ティム・ケイシャーはオマハのSaddle Creekというレーベルでも中心的な存在だったが、彼の別バンドではイースタンの曲をカバーしている。

 

その地続き的な縁なのかはわからないが、ともあれ素晴らしいアメリカのバンドをもっとみてほしいという思いから呼び寄せて、東北も含む日本全国ツアーを実現。

 

その対バンでは、アメリカでレコード会社が同じLITEもゲスト参加していた。

 

それはともかく、こういう動きのおかげで私は彼らを見ることができたのだけど、2015年と2018年の2度実現しており、私はどっちにも行ったね。

 

よかった、曲もいいしライブもいいし、会場のノリもすっごいよかった。

 

このツアーではPVも撮影され、正式に彼らのオフィシャルとして配信されている。


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仙台の飲み屋街らしいが、なんかこういうのって嬉しいですよね。

 

そんなトピックもありながらだが、このアルバムはキャッチーな曲もありつつ、静かな曲との折り合いも含めてアルバムとしての完成度も非常に高い。

 

元々いい曲を書くバンドなので、それがいいバランスで結実したような印象だ。

 

何より変わらないロックバンド然とした佇まいに、個人的にグッときて仕方ない。

 

このご時世に、日本全国のライブハウスを、日本のインディバンドみたいに回ってくれる心意気も最高だ。

 

もっと商業的に成功してくれたら本望だ。

 

アルバム以外にも名曲満載

彼らはアルバムには正式に収録されておらず、ボートラ、Bサイド集に収録された曲もいい曲が多い。

 

シングルとしてはこれらを出してもよかったんじゃないかというくらいだ。


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"Naked Girl"という曲だが、この爽やかさよ。

 

他にもこちら。


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こちらはMagnetic Fieldsというアーティストのカバー曲らしいが、バンドにマッチしすぎだ。

 

ファルセットなヴォーカルも美しく、切なさをたたえたメロディも秀逸。

 

曲自体は彼らのオリジナルではないにせよ、素晴らしい仕上がりだ。

 

またの来日、お待ちしております

2015年以降は目立った活動状況も見えてこず、ファンとしては寂しい限りだが、SNSはたまにだが投稿があり、3/20は1stアルバムがリリースされた日だそうで、ちょうど20周年とのこと。

 

このアルバムがもう20年?というところにまず驚きつつ、自分の年齢を感じずにはいられないが、ともあれそうして一緒に年をとるバンドがいるというのはなんだか幸せだ。

 

これから彼らがここ日本も含めて大きくブレイクすることはもうないかもしれないが、それでもまた来日して、たくさんライブやってほしいな。

 

なんで彼らがこんなに好きなのかわからないと冒頭に書いたけど、根本には彼らの音楽を聴いていると、本当に音楽が好きなんだろうなということをなんとなくでも感じられるからかもしれない。

 

純粋さみたいなものが私にはとても魅力的で、自分自身が邪心に溢れているのでこういう存在自体がとても素敵だなと思うのですよ。

 

ともあれ、本当に新曲もツアーも待ってます。

 

それまではまだまだ旧作も聴き続けてますよ。


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最近買ったやつや聴いたやつ

年明け以降もちょいちょい新譜を買っているが、なかなか文章化するほどに聴き込めていないのだが、とはいえ良作がリリースされているのは嬉しいことだ。

 

そして、きちんと整理しておかないと自分の中で時間軸がぐちゃぐちゃになっていくなと最近とくに感じるところなので、個人的な整理の意味で直近買ったものをざっと並べておこう。

 

 

まずは、昨年末になるがこちら。

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METAFIVEの2ndアルバム『METAATEM』。

元々は昨年7月とかにリリース予定だった気がするが、件のオリンピック問題でメンバーの一人、小山田が大炎上させられたことで一度発売中止に追い込まれた作品だ。

 

ライブも発表されていたが全て白紙になってしまい、ファンとしては苦い記憶である。

 

しかし、年末頃に配信ライブと合わせてアルバムも限定的に販売され、私はこちらを購入した。

 

配信ライブ自体、7月に行われる予定だったもので、会場にて撮影されたものが配信されたのだけど、さすがキャリアも積み上げた人の集まったスーパーバンド、めちゃくちゃかっこいいライブだった。

 

そしてこの2ndアルバムだが、曲はもれなくかっこいいし前作は割とテクノ的というか、そう言う色が強かったが今作ではメタリックなハードな曲もあり、他方で現在の世界を移したような曲もあり、文句なく素晴らしい作品であった。

 

特に個人的には先行配信もされていた"環境と心理"という曲が好きだね。

 

目の前の景色の変化によって気持ちが変わっていく様を端的な言葉で表現しており、情報量はそこまで多いわけではないが、すっと情景が目の前に広がる思いがする。

 

そのほか、"Wife"という曲の歌詞が絶妙に緩くていい。

 

Wi-Fiは飛んでいるけど、MyWifeは飛んでない」という謎の一説でスタートするが、曲自体はかっこいい。

 

大人の遊びといったところか。

 

ともあれ、このアルバムが正式な形でリリースされなかったことは、非常に惜しいことである。


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続いてはこちら。

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Broken Social SceneのKevin Drewのソロ、K.D.A.P.名義でリリースされた『Influence』。

 

リリース自体はこちらも昨年だが、メディアとして入手したのが割と最近なので。

 

以前からソロ作品自体はリリースしていたが、それらはバンドの音楽と親和性のあるロックをベースにしたものが基本だったが、このアルバムでは初期のエレクトロニカ的な作風うだが、曲調などはあまりこれまででなかった感じのものだ。

 

よりオーガニックな音像で、打ち込みながら温もりを感じるあたりがちょっと違う感じで面白い。

 

アンビエント的な風味もあるので、個人的にはAphextwinを感じるところもある気がするが、ちょっとこういう音楽も作ってみたかったのかな、という印象だ。

 

日本語の情報がほとんどないので詳細な背景はわからないが、聴いていると不思議な気持ちにさせられる。


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2月は待望の作品が立て続けにリリースされて、久しぶりにちょっと忙しかった。

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まずは、今やアメリカの代表的なロックバンドになりつつあるSpoonの『Lucifer On The Sofer』。

 

アルバムとして10枚目になるので、実は結構多作なバンドと言えるかもしれない。

 

初期はポストパンク的な音楽性だったが、現在はロックンロールを基本にしながらもスタジオでのアレンジにも注力、音響的なアプローチもしながら生音の迫力も追求したような音楽が評価され、近年急激に評価されているようである。

 

前作はよりそのプロダクション的なところが立った印象のアルバムだったが、今作はまた曲にフォーカスした生なましさのあるアルバムになったかなという印象だ。

 

彼らの出征作になった『GaGaGaGaGa』にちかい感じかな。

 

かなりアップテンポな曲も多く、またアレンジのセンスもかっこいい。

 

何よりヴォーカルのダニエルの声がやっぱりいいよね。

 

こういう渋い声に憧れる。


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次に、個人的に最近聴くようになった中で爆裂なヒットはこちらだ。

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LAのネオソウル系の3人組、Moonchildの5枚目となる『Starfruit』。

 

タイトルもジャケットもかつてなく明るいというか、陽気な印象のアルバムだ。

 

彼らの音楽はとにかく品がいいし、ウィスパーヴォイスなヴォーカルも手伝って休日にまったりききたい音楽No.1だが、アレンジは音響的なアプローチも結構やっているのでイヤホンなどで聴いているとぐわんぐわんと頭を振り回されるような感覚も味わえて、一筋縄ではいかない。

 

今作はゲストヴォーカルが多く参加しており、曲自体はこれまでの良さを踏襲しながらもまた違った印象になるのが面白い。

 

ジャケットほど陽気さがあるわけではないが、ストレスが溜まっているような人にはぜひおすすめしたいアーティストだ。

 

以前にざっくりまとめ記事も書いたのでぜひ。

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最近不安な出来事も多いので、休日くらいは浮世から切り離してゆっくりしてはいかがだろうか。


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そして近年ジャズ界隈だけでなく、ジャンルクロスオーバーで注目を集めているのがこちら。

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Robert Glasperの名作シリーズの最新作、『Black Radio Ⅲ』。

 

グラミーも受賞した前作だが、以前は〜Experience名義だったが、今回は個人名義である。

 

とはいえ引き続きさまざまなアーティストとのコラボが基本である。

 

タイトルの通り、いわゆるブラックミュージックと呼ばれる音楽をぎゅっと凝縮したようなコンセプトで、ジャズ、ヒップホップ、R&B、ロックンロールなどさまざま要素が感じられる。

 

私もこのアルバムをきっかけにブラックミュージックを聴くようになったのだけど、なんだかんだ彼のプロジェクトを1番聴いているな。

 

まだじっくり聞き込めていないのだけど、彼のような存在はとても大きな意義があるよね。


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ちなみにジャズフェスティバルでの来日も決まっているが、なぜか秩父という。。。

 

遠いぜ。

 

 

最後はこちら。

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Boom Boom Sattelitesの中野さんとThe Novembersの小林くんのThe Spellboundの1stアルバムがようやくリリースとなった。

 

先だってシングルは発表されていたし、昨年からライブ活動もスタート、そして2月にアルバムとしてリリースされたわけだ。

 

世の中的な注目のポイントはいくつかあるが、一つは中野さんが表に出ているバンドであるということと、それを音楽性自体は全然違うのではないかというノベンバのヴォーカル・作曲もしている小林くんと組むことでどうなるんやと。

 

ノベンバは、どちらかというと暗いバンドというイメージを持っている人の方が多いのではと思っているが、近年はだいぶ変わっており、作品のスケールも音楽としての強度も格段に上がっている。

 

打ち込みを取り入れたりもしているし、そもそも小林くんはブンサテの大ファンでもあtたというところ、そして何より彼のパーソナリティの基本がとても純粋なところがあるため、そこでマッチするところがあったのだろう。

 

実際アルバムの1曲目を飾るのが“はじまり”という曲だが、歌詞は小林くんが書いているとはいえ中野さんのストーリーとも紐付けてしまいたくなるようなものだ。

 

歌詞だけを見るとちょっと悲しいというか割り切りみたいなふうにも聞こえそうだけど、そうではなくて、そもそも生きていくとか生き続けるということがどういうことかという話や、そのための立ち向かたみたいなものが曲と合わせてめちゃくちゃポジティブに響くのである。

 

特に序盤の間奏部分のキーボードのところがあることで、サビや後半の繰り返される歌詞をさらに際立たせており、音楽としての完成度が高すぎる。

 

そして、何よりこのアルバムの曲は全編通してものすごく純度が高いというか、言葉にするのが難しいのだけど純粋さの塊みたいに感じるのだ。

 

さまざまなインタビューでも答えているけど、中野さんも制作段階で重視していたことだったり、小林くんの思いだったりを聴いても、なるほどなと思える。

 

ラストの前はやっぱりというか、“Flower"というポジパン的なアップテンポな曲なんだけど、この曲も最高なんですよ。

 

ラストは少し重た目の曲調だけど、聴き終わった後の充実感たるや。

 

尺としてもほぼ1時間と最近の作品の中では長い方だと思うけど、素晴らしい1stアルバムである。

 

ライブも当たり前のように最高なので、機会があれば本当に生で体感してみてほしい。

 

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久しぶりに、すごく純粋なものに触れたような気がして、それを作っているのは年上のベテランと同い年のアーティストというのがなんだか勝手に感慨深い。

 

 

2月はいい作品が立て続けにリリースされたし、3月、4月もすでに待っている作品がある。

 

相対的に音楽に割く時間が減っているとはいえ、やっぱり聴いていて楽しくさせてくれるし、時間が少ないからこそいい音楽に浸っていたい。

 

色々と変化もしていくし、ここからの数年で世界のありようそのものが変わっていくんだろうなと私でも感じる。

 

それは遠い国の世界情勢とかいう言葉の指すようなものではなくて、ごく身近な社会のあり方も含めてである。

 

音楽は文化の一つなので、そうした時代性を反映していくだろう。

 

いろんな人の感じている世界をこういうものでも感じながら、どう生き残っていくかを考えていかないとね。


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小休止204「兆し」

ここ数年で世の中は大きく変わりかけていると感じる。

 

別に私だけの特別な感覚ではなくて、多くの人にとってそうではないかと思う。

 

昨年から続くコロナによる世界的な個々人の関係性の分断は、その関係性のあり方そのものを見直す機会になっただろう。

 

本当に必要な人間関係のみにフォーカスした人もいれば、そもそも人間関係自体がなくなった人もいるだろうから、いい悪いは人それぞれだろう。

 

私はどちらかといえば後者寄り、かと思いきや、実はあんまりかわっていない。

 

元々広く浅く付き合うタイプではなかったのでね。

 

でも、その限られていく環境の中で私を選んでくれる人がいたのは、はからずも嬉しい発見だった。

 

 

そして最近の1番のホットトピックは、やはりロシアによるウクライナ侵攻、戦争である。

 

1番新しい記憶としてはアメリカによるイラク戦争だったが、あの頃まではどこか海の向こうの他人事だった。

 

ところが今回はその温度感が違うように感じられる。」

 

なぜかといえば、それを取り巻く状況がかつてないほど日本にとってシビアだったからだ。

 

これまで大義名分的に信じられていたことのほとんどが文字通り名分だけだったことが図らずも浮き彫りになって、日本にとって静かな懸案事項だったものがだいぶざわつく始末となった。

 

しかし、それは遅かれ早かれだし、たまたま今回その懸念がわかりやすい形で顕在化しただけ、ずっとあったことだとは思うんだけどね。

 

ともあれ、世界は日本を守ってくれないということはまざまざと感じさせた事実だろう。

 

避難声明は出るだろうが、所詮はただの言葉だ。

 

ウクライナのように自ら戦う術を持たない限りにおいては、ただただ指を咥えて日常を奪われていく様を見るだけだろう。

 

他方で、仮にウクライナがロシアに屈する形になったとして、ロシアがそののちも覇権を維持できるかといえばそんなこともないのでは、という感覚もある。

 

今の世界にあって、それでも侵攻国が維持できるかといえばそんなことはないのではないだろうか。

 

実際多くの経済制裁で、ロシアの国際競争力は大きく低下している。

 

そうなれば、国民もいつまでもその国に居続けるだろうかといえば、そんなことはないだろう。

 

そうすると、必然国を維持するための最低限の人的資源もなくなるため、遅かれ早かれ滅亡の危機がまっているのではないだろうか。

 

核が投下されることで割を食うその深度は深くなるにしても、世界全体から見れば大した話ではないのかもしれない。

 

人間が、少なくとも種としての存続を本能的に求めるのであれば、という話だが。

 

その結果が見えれば、これからは武力行使が世界の覇権を握ることにはつながらないという事実が周知されることで、世界のあり方は少し変わるかもしれないが、他方でそんなことはお構いなしに自国の(というか自分の)メンツみたいなものにこだわる輩にとってはやはりなんの抑止にもならないだろうけど。

 

ともあれ、物理的な戦争なんていうものはない方がいいし、どうせ何も変わらないならないに越したことはない。

 

そうした思いをきちんと形にしようと動き出すGEZANは、本当の意味でプロテストなバンドだ。

 

昨日様々なアーティストを集めながら、新宿でイベントを急遽開催。

 

そこで反戦を歌ったそうだが、素晴らしいことだなと思う。

 

皮肉でもなんでもなくて、彼らは純粋にそう思うから行動しているだけだ。

 

その結果どうなるかは結果論でしかないから、何もしないやつよりはるかに素晴らしいし、単に彼らの音楽が好きだというだけの人だったとしても、その何分の一かでも何かのきっかけになれば、それが何よりだろう。

 

彼らは素晴らしい。

 


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こうしたわかりやすい事象もあれば、ぱっと見ではわからないかすかな動きも出始めているらしい。

 

世界では資本主義が覇権を持っており、今持ってその力学で世の中は動いている。

 

しかし、その資本主義に限界を感じており、ポスト資本主義といったことを唱えている人も出始めている。

 

私がここ2年くらいよく聞いているポッドキャストが「Coten Radio」というやつで、元々は歴史をマニアックにわかりやすく伝える、というエンタメ的な色の強いものだったが、最近では少し色を変えていて、歴史的事実にフォーカスしつつ、その上でこれからの世の中をどうしていくかというところにフォーカスし始めている印象だ。

 

元々はCOTENという一企業がやっているもので、ではこの会社な何しているの?というと、歴史のデータベースを作るという題名代を掲げており、そのための広告塔としてのポッドキャストというわけなので、やはりその会社のやりたいことを徐々に表目うするための色を強めるのは当然である。

 

この会社の社長が深井さんという人なのだけど、私と同い年なのだ。

 

しかも、好きな音楽がマリリンマンソンやNine Inch Nails、最近ではSpoonの新曲もリツイートするなど、趣味もちょっと被っているので勝手にすごいなと注目しているのだけど、彼はとても勉強家だし、理想家なので、その話は非常に興味深い。

 

直近のトピックでは、先のポスト資本主義的世界を話しており、そのための社会実験も自らの会社を使ってやろうとしてる。

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素直にすごいなと思うよな。

 

年収が800万円だったかを越えると、満足度は変わらなくなるという。

 

大半の人はそれ以下なので、そもそもそれを実感することはないだろうけど、その感覚は発展途上国が環境なんかに配慮できない事情と同じだろう。

 

それはともかく、今のようなお金の量が価値観の大半を規定する世界は、ある種資本主義の限界を示しており、もっと本質的な幸せを目指すなら、そこから逸脱する世界であるべきではないかと。

 

そうはいってもそんなものは金持ちの理想だと言えるが、その考え方がすでに資本主義に毒されているかもしれない。

 

仮に生活をする上で困らないお金がきちんと提供されるのであれば、仕事の意味も変わってくるだろう。

 

じゃあその財源はどうするんだとか色々問題はあるだろうけど、そんなものは価値観の土台を変えればスッと解決するかもしれない。

 

それを実現するためには世界的な動きがないといけないけど、富裕層の多くはすでにそういう思想を持っており、また今まさにあくせくしている人たちの中にもそうした価値観の人は増えてきているとか。

 

そうなると、いつの間にか知らない世界が訪れているかもしれず、その一歩目は知らないところですでに進んでいるのかもしれない。

 

 

私は日本は好きだし、日本的な文化は好きだけど、日本人のことはあんまり好きじゃない。

 

といってそこまで海外の人と交流があるわけでもないので、実態は知らないけど、何か起こるだびに現れてくる日本人っぽいとされる空気とかが大嫌いだ。

 

気持ち悪いとすら思う。

 

かの震災の後にも「日本がんばろう」という空虚なスローガンが喧伝されたが、なんとも言えない気持ち悪さがあった。

 

ちょうどその頃にGEZANは1stアルバムをリリースしたのだけど、その中で「何を頑張ればいいんだろう」とカウンターを浴びせる曲を収録していた。

 

何かにつけ、何かあるとすぐにキャンペーン化して個人がいなくなる。

 

・・・いや、やめておこう。

 

 

ともあれ、ここ数年で世界はまた大きく変わっていくんだろうな。

 

ドラスティックなものもあれば、いつの間にか変わっているようなものもあるだろう。

 

そういう変化は個人的にはウェルカムだし、どんどん変わっていけばいいと思う。

 

まあ、そのことを思うから子供を作るという発想に至らないところもあるけどね。

 

結婚もしてないけど。

 

世界は変わる。

 

生活も変わる。

 

そこに同最適化していくか、そういうところが面白いらしい。

 

仮に自分が途中で死んでも、別に構わないと思っているから。


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ライブライフ

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前週末から今週にかけては久しぶりにライブを盛り込んだ。

 

3本行ったが、うち2本はアナログフィッシュのアルバムツアー、もう一つはLillies and Remainsの出演するイベント。

 

東京でライブがあれば大体行っている2組をこうして観られたのは良かったね。

 

まぁ、26日は他にThe SpellboundとAA=と日程がドン被りという憂き目にあったが仕方ない。

 

希少価値という観点からもリリーズを選んだ。

 

 

で、まずはアナログフィッシュ

 

昨年末にリリースされた新譜『SNS』のリリースツアーとして、久しぶりに全国割と広く回ったのだが、東京では追加公演含め2公演あり、そのどっちも行ったかっこうだ。

 

このアルバムについてはさんざっぱら書いたが、とにかく素晴らしいアルバムだった。

 

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捨て曲なし、ノリノリな曲もあればしっとりな曲、このご時世にドストライクに刺さる曲など、まあ聴きどころ満載だ。

 

また今回はプロモーションも彼らにしてはかなり打っており、インタビューやラジオ出演など積極的で、お初の方にも耳に入る機会も多かったのではないか。

 

Twitterでも健太郎さん自らもツイートにいいね押しまくりだったり、宇多丸さんのやってるアトロクでのライブ出演、またスガシカオのラジオにも登場。

 

そして先週は、アルバム関連ではないが日向坂46の子がやっているラジオのジングルを提供するなど、違うところでも彼らの名前が知られるキッカケにも。

 

パーソナリティは松田好花さんという子がやっている番組で、ディレクターがバンドとも懇意なサトミツさんなので、その縁で話を持ちかけたそうな。

 

この子はあちこちオードリーに出ていたので知っていたが、この曲を聴いて泣いていたね。

 

ともあれ、好きなアーティストがこうして広く知られていくのは嬉しい限りだ。

 

 

さてライブであるが、曲単位では概ね聴いたことがある中で、セットリストなどどんな構成にしてくるかであったり、バンドとしてどんなモードなのかな、といったところも興味の焦点だ。

 

アルバム自体、社会性よりももっとポップで明るいものへの嗜好が強かったわけだが、ライブ自体もまさにそんな感じだった。

 

メンバー全員がとても楽しそうでそこからもポジティブなフィーリングに溢れている。

 

新曲はもちろん、旧曲もリアレンジverとして"Wednesday"や、"Sayonara 90's"が演奏され、どちらも良かったね。

 

アルバムでも、健太郎さんの曲がちょっとした非日常的な楽しいベクトルに対して、下岡さんの曲はより日常の中でのささやかな喜びみたいなもなが根底にあるのかな、なんて思っているのだが、リアレンジのこれらもそれを反映した楽曲だったのかな、なんて思ったり。

 

今回はSpace OddとBasement Barの2箇所で、セットリストは同じだったんだけど、その分素直に曲を楽しむ1回目と、もう少し噛み締めて観る2回目という感じで、"うつくしいほし"からの"No Rain, No Rainbow"の流れはなんか泣きそうになってしまった。

 

前者はギターのフレーズ一つでもなんだか違って響いて、派手じゃないけどそこにさりげなさを感じたり。

 

そして後者は彼ら自身もハイライトというくらい、演奏は激しさを増しながら、だからこそ日常の何気なさを描いた歌詞がエモく刺さってくる。

 

その間で純粋にキラキラと輝く"Saturday Night Sky"だったり、"Moonlight"が、本当にキラキラと響いてきてなんだか救われる思いもするわけである。

 

世の中が不安定になればなるほど、より身近な日常が愛おしくなるわけだが、彼らの曲はそれらに向き合わさせながらも、その中のキラキラした瞬間にフォーカスしているようで、それが今の自分にはたまらないのかもしれない。

 

とてもいいことがあった、いい日だった。

 

いい天気だった。


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そして土曜日は久しぶりのリリーズだ。

 

今回はイベントだったので持ち時間は短かったのだが、ともあれこうしてライブをやってくれるだけでもファンとしては有り難い。

 

昨年新曲を2曲、配信のみだがリリースしており、その後ちょっとずつ作っていきますとか言っていたので、今回はそれも聞けるかなと期待するさ。

 

ただ、そもそも彼らの曲がわたしは大好きで、ちょっとキザな独自の美学を感じるところが、どうにもツボなのだ。

 

旧作も飽きずに聴いているので、それを生で聴けるだけでも十分ニヤニヤしちゃうんだけどね。

 

 

リリーズは正式メンバーはKENTとKAZUYAの2人で、あとはサポートメンバーを迎えているが、概ねメンツは固まっているのでバンド感もちゃんと出てきている。

 

で、ライブはもう文句ないですよ、かっこいいの一言。

 

全て英語詞なので、言葉がそのまま入ってくることはない分、音としての気持ちよさで聴いているが、もうカッコいいのですよ。

 

このカッコよさだけで十二分な価値なのよ。

 

こういう直感的な感じはQueens Of The Stone Ageを聴いた時も感じた類のものだが、理屈でなくこういうのが好きなんだろうなとしか思えない。

 

正味1時間かそこらと短い時間だったが、ただありがとうだ。

 

ライブのMCでは、 KENT自ら僕らは多分解散はせずに、細々ですがやっていきます、といった言葉もあって、ヤキモキするところがないではないが、年に数回でもこうしてライブやって、何年かに一回はアルバム出して貰えれば、それでいいですよ。

 

年齢的にも同世代なので、一緒に歳をとっていく感じだろうな、なんて思ったりしてね。


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帰り道ではThe Spellboundのライブ盤を聴きながらだったが、こうして音楽に鼓舞されたり癒されたりできる私は幸せだなと思うのであった。

 

ギターと歌声の表現力 ーPredawn

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先日個人的には久しぶりのPredawnのライブだった。

 

コロナ禍にあって、ずっと配信を定期的にやってくれていたので、そういったところではナウな音楽は聴けていたけど、最近は関西が拠点らしく、関東でのライブは少なかった。

 

前作からはだいぶ空いていたがこの間で特にリリースはなかったが、やはりライブは聴きたいしね。

 

で、このほど4月に新譜のリリースが決まったそうな。

 

先行してシングルがリリースされているが、いずれも嬉しい知らせである。

 

そんなわけで、ざっとこれまでのキャリアを勝手に振り返ろう。

 

日本では女性アーティストはどうしてもアイドル的な扱いばかりされているので、彼女はそうしたスタンスでは全くない。

 

トヨタのCMでタイアップ曲などもあったが、そもそもプロモーションもほとんどしていないのであまり浸透しなかったのが口惜しくてたまらない。

 

もっと聴いてくれ!

 

こんな荒んだ世の中だからこそ、こんな音楽に心癒やされるのですよ。

 

 

Predawnはソロプロジェクト

Predawn清水美和子さんという人の音楽プロジェクト名義である。

 

作詞作曲はもちろん全て彼女で、アレンジや収録、ライブではサポートなどを入れてやっている。

 

調べると、実は30代半ばと年齢が近い。

 

見た目には非常に可愛らしく、しゃべると何を言っているかわからないくらい天然である。

 

しかし大学時代には哲学を専攻していたためか、言葉のチョイスが絶妙にとんがっており、ひねくれた青春時代を過ごしたんだろうことがそこはかとなく推察される、気がする。

 

ホホホと、微笑ましく見えてしまうが、これが歌うとびっくりする。

 

澄んだ綺麗なウィスパー系のボーカルで、アコギ一本でのライブもよくやっているが、とにかく歌もギターもめちゃ上手い。

 

声質的に私の好きなタイプで、Feistなんかとも通じると思っている。

 

WikipediaにはUKロックの云々と書かれているが、彼女自身影響源によく挙げているのがSparklehourseやジョニ・ミッチェルで、歌詞はともかく音的にはBright EyesなどUSのオルタナ系のアーティストの方が近しいものを感じる。

 

ずっとインディーズでやってきており、1作目はEPであった。

 

1st EP 『手の中の鳥』(2010)

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こちらは7曲入り20分と小品的なパッケージながら、今もライブの定番となる代表曲"Suddenly"はじめ、既に彼女の音楽性はある程度出来上がっている。


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アコースティックの柔らかい曲に、澄んだしなやかな声が実に心地いい。

 

彼女の曲は英語詞が大半で、内容は少し寂しいものが多い印象だ。

 

喪失感だったり、ある種の諦念のようなものだろうか。

 

歌詞カードには載っていないが、対訳は今は公式サイトに掲載されているので、併せて参照いただきたい。

https://www.predawnmusic.com/lyrics/lyrics01.html

 

曲としてはずっと聴けるポップさがあるので、晴れた穏やかな日に聴くにはぴったりの音楽である。

 

以降も一貫してそういうところがあるが、彼女の歌詞は自分の中の世界から見ていて、試作の先には誰かがいるがその人の気持ちだったり、考えだったりが結局わからないからこうだったのかしらと思いを馳せるような、そんな世界観かと思う。

 

私は人のことはわからないと思っているので、その観点で書かれている歌詞の方が好きなのである。

 

まあ、その視点で書いているかはわからないが、インタビューなんかも見ながら考えていくのも面白いだろう。

 

ototoy.jp

 

1stフルアルバム『Golden Wheel』(2013)

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待望のフルアルバムは真っ白なジャケットが目を惹くものだった。

 

前作はちょっと影のあるアートワークだったので、その意味でも印象はだいぶ変わるだろう。

 

フルレングスのアルバムは初となるが、基本的な音楽性はEPと同じだが、さまざまな楽器が使われておりアレンジが非常に多様になっている。

 


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こちらはライブでも定番の曲だが、アコースティックライブの映像があったので。

 

見ていただいてわかるように、ギターのフレーズが非常に柔らかく音の強弱もあってとてもうまい。

 

ちなみにこの曲は、昔は電話が嫌いだった、でも今はあなたからの電話をずっと待っている、というような大枠の軸があるのだけど、その過程でどんなことがあったかというところは是非歌詞と併せて聴いてみてほしいところだ。

 

 

このアルバムの頃にライブ作品もリリースしており、品川にある教会でのものはDVDにもなっている。

 

そこではバンドセットを組んでおり、ピアノやストリングスなどのメンバーも従えながら、曲によってはエレキギターも弾いており、非常に聞き応え抜群だ。

 

またMCも収録されているので、よりどんなアーティストなのかを示すいい作品になっている。


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ちなみに、私が聴き始めたのはこのアルバムがリリースしたちょっと後くらいだったのだけど、たまたま行ったイベントで見かけて、それで気になってきくようになった。

 

当時はライブ活動も活発で、さまざまなオルタナ系のイベントにもよく出ていたので見かける機会も多かったね。

natalie.mu

 

2ndアルバム『Absence』(2016)

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続く2ndアルバムも、基本的には前作からの地続きな作風ながら、より密度が増したような印象で、アルバムとしては曲の起伏もより出ていて深化したような作品であった。


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このアルバムでの先行シングル的な曲がこの"Universal Mind"だが、歌詞の内容は珍しく情念的というか、圧倒的な喪失感を歌ったような内容である。

 

文脈的には一方的に振られた失恋したばっかりのような心持ちだろうか。

 

とはいえ、英語詞なのと、歌声自体は柔らかいので、パッと聴いた感じでは重たくもないのが絶妙なところか。

 

また、このアルバムでは初の日本語詞の曲も。

 

日本語であるためか、歌詞の表現はより観念的な印象だ。

 

ちょうどいい動画がなかったので、ぜひSpotifyなどで聴いてみてほしい。

 

 

アルバム全体としては穏やかで心地よいトーンが続くので、季節的にはちょうど今の時期に聴くにもマッチする。

 

できれば天気のいい静かな日に聴いていると、凄まじく心地いい。

 

以下はライブでよくサポートしているメンバーも一緒のインタビューだ

mikiki.tokyo.jp

 

2nd EP『Calyx』とシングル“Deadwood”(2019)

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目下の最新作はこちらのEPだ。

 

5曲入りだが初の全曲日本語詞である。

 

日本語である分言葉の意味もダイレクトに入ってくるが、しかし世界観自体は変わらず感じられるのは面白いところだ。


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上品な古品的な作品なので、英語の歌は苦手という人にはこの作品からがおすすめかもしれない。

 

また同じ頃になんとトヨタのCMにタイアップで"Deadwood"という曲もやっている。

 

配信以外では音源化されていないので、次回アルバムにでも入れてくれると嬉しいが。


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すでにデビュー10年以上を数えており、そこそこキャリアを積みつつある。

 

10周年タイミングで記念ツアーを行なっており、その際のインタビューもされており、より彼女のキャリアもわかると思うのでお時間があればぜひ。

kansai.pia.co.jp

 

そのほかもろもろ

ざっと代表曲などを並べただけになってしまったが、とりあえず音源を聴いてほしいなと思うのですよ。

 

インタビューもプロモーションとして行われることがほとんどなので、本人があんまり動かないと全然露出がないので、最近の状況は本当にSNSとかライブでしかリリースがなくて、それが口惜しくもあるが、インディーでやっているのでいたしかたなしか。

 

ただ、このコロナになってから定期的にYoutubeで、音声だけだが配信も行なっていて、すでに44回を数えている。

 

大体1時間程度で、ゆる〜いトークとアコースティックライブの構成だが、自分の曲だけでなくカバーも多くやっているので、彼女がどんな音楽を聴いてきたかもわかるのが面白い。

 

The Velvet Undergroundなどのコアの代表みたいなのもあれば、なんとアリアナ・グランデの曲もやっている、ギター1本で。

 

トークパートとの音量差でたまにびっくりするが、ボケットしながら流しているのにちょうどいいので、ラジオがわりにもおすすめだ。

 

驚いたのは、私が大好きなNine Inch Nailsの"Hurt"もカバーしている。

 

インダストリアルというかなりゴリゴリな音楽をベースにしたバンドだが、この曲はジョニー・キャッシュもカバーしていることでも有名だ。

 

いろんな曲をカバーしているので、ぜひ聴いてみてほしい。 


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そして、今年待望の新作も4月のリリースが発表、先立ってシングルもリリースされている。


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久しぶりのツアーも日程が組まれていて、ファンとしては楽しみな限りだ。

 

ライブをやればそこそこ安定的な集客ができているようなので、すでに固定ファンがしっかりとついているものの、もっといろんな人が聴いてもいいと思ってもらえる音楽だと思うので、ぜひもっと広く聴かれることを願って止まない。

 

まずはサブスク系でもいいので聴いてみてほしいですね。

 

変わるものと変わらないもの

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今年はまた好きなアーティストのリリースが予定されており、実に嬉しい限りだ。

 

2月にはMoonchild(ソウル系の方)、Spoonのリリースが決まっており、未発表ながらMooolsも製作中らしい。

 

またアナログフィッシュもリアレンジアルバムは作ってくれるというから、楽しみが増えるのはいいことだ。

 

 

今年早々にアルバムをリリースしたのがBroken Social Sceneだ。

 

純粋は新譜ではなく、過去のB-Sideや未発表曲を集めたもので、すでに聞いたことのある曲もたくさんあったが、とはいえこういうものはファンとしては嬉しいものである。

 

聴いたことのない曲は制作の時期に関わらず初めて聞くわけだから、こちらにとっては新曲を一緒だしね。

 

Bsideだろうがなんだろうが、やっぱりいい曲書くな、ていうか好きだなと思うわけだ。

 

いろんな音楽を聞くようにしているけど、その中でこれはやっぱり好きだなと立ち返ってしまうアーティストの一つが、私に取っては彼らである。

 

このアルバムに収録されているのは、よりラフな曲も多いんだけど、その感触もなんだか気持ちよくて、そもそもの曲が好きなんだろうな、なんてことを改めて思うわけである。

 

 

あんまり中身のない内容になってしまったけど、年々理屈っぽくああだこうだということが無意味なのかなと思うようになってきている。

 

反面、今読んでいる本が音楽ジャーナリズムをテーマにしたものなので、そこで書かれている内容に共感するところもある。

 

それは、複数の音楽ライターや雑誌編集者を読んでインタビュー形式で話を聞くモノだが、柴さんも出ており、彼の発言の中で「書かずにはいられない人が一定数いる」というものがあるのだけど、確かになと思うわけだ。

 

私はただの素人の感想を書き綴っているだけなんだけど、こうしてせっせと文字に起こしているのは何か自分なりに言語化したいという欲求だし、最終的に誰にも読んでもらえなくてもいいと思っている。

 

見返したらすでに10年以上やっているブログだが、ただ書きたいから書いているだけなんだよね。

 

もちろんそこで多くの人に見てもらえるとか、たまに「いいね」みたいなのをもらえれば嬉しいのはたしかだけど、そこは本質ではない。

 

私が音楽を聞いて思ったことを言語化したいだけなのである。

 

本当に自己満足の世界。

 

その延長で、少しでもその音楽に興味を持ってくれる人がいたら嬉しいけどね。

 

 

ともあれ、大学生の頃からこういうブログを始めて、社会人になってからもずっと書いているし、多分ずっと書いているんだろうんだと思う。

 

ただの自己満足である。

 

デモ、人生は自己満足の積み重ねでしか幸せにはなれない。

 

今年も自己満足を積み重ねていこう。

 

とりあえず、Broken Social Sceneはずっと素晴らしいバンドだ。


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小休止203「積み重なる時間」

今年はまたバタバタした1年になったな。

 

まさかこんなに早く転職するとは思っていなかったし、とはいえ途中で何度かこのままではやっておれん・・・と思っていたのも事実で、そんな折にまさかの古巣から声がかかるという。

 

決めるまでには随分と時間をかけたが、正解だったかどうかはまだわからない。

 

少なくとも変なストレスは減ったけどな。

 

正直前の会社は仕事自体はそれなりに面白いところもあったし、今から省みても成長はしたよな、実際。

 

元々ストレス耐性は高い方だし、やりながら覚えるとか、決まったルールの中で四角四面にやるよりは自分でやり方も考えながらやる方が好きだから、それ自体はよかったし、散々な無茶振りや4割程度の引き継ぎ案件をぶん回していたのはまあいい経験だったよね。

 

意外となんとかなるし。

 

ただ、どうしてもついていけなかったのが会社としての考え方とか風土とか、案件を取るまではバチバチ工数をかける割には撮った後の扱いはまあ荒い。

 

年間数千万の予算をもらっておいて業務を回すのは新卒だけという案件がザラなのだから。

 

そりゃみんな削られるよな。

 

私は営業なので新規サイドだったけど、自分で言うのもなんだがあんまり新規営業には強くない。

 

既存拡販の方が得意だし、クライアントグリップも結構強いので、そっちの方が放置されるのがどうにも許せない。

 

てか、クライアントを軽視しすぎだよ。

 

とか思っていたからね。

 

環境が変わって2ヶ月になるが、逆にできていないことがもりもりすぎて、業務のキャッチアップはもとよりまずはその整理整頓と、全体的なベース作りからやってきた。

 

一定形にはなってきたが、残すところはちゃんと結果につなげるところだが、商品設計がニッチ過ぎてちょっと厳しい。

 

そのため、違う動きもしながら、やるべきことはある程度固めたので、この1ヶ月はそれを定式化しながらまた獲得を目指す感じだ。

 

結構頑張っていると思うけどな。

 

 

と、仕事の話をつらつらと書いてしまったが、11月以降はライブイベントも本格的に再開されて、私も下旬からはせっせと足を運んでははしゃいできた。

 

海外アーティストの来日としてKing Crimsonは最後のツアーとしてきてくれたのだけど、期待に違わない素晴らしいライブだった。

 

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他方で配信ライブもすっかり定着したので、どちらも行うことが通常になってきている。

 

プラットフォームも安定してきているしね。

 

当初は色々と問題があって、通信が悪いとか運営が悪いとかクレームもたくさん出ていたが、新しい技術だったりサービスだったりがスタートする時には仕方ないだろう。

 

世の中の価値観というか、そういうものも大きく変わったなと感じるよね。

 

プロセスエコノミーという言葉が一部で話題となったが、完成したものを世に出すだけでなく、それが生まれるプロセスを売るという発想だが、それをダイレクトに感じるような世界でしたね。

 

まあ、そんな話はともかく、それなりに手間も金もかかる中で、色々と腐心してくれる人がいるのはありがたいよね。

 

今年活動を本格化したThe SpellboundはライブをYoutubeで無料配信するなど、アーティストにとってもやりたいことをやりたいようにできるようになったのではないだろうか。

 

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2020年と比べれば、いい意味で開き直ったようなところもあったのだろう、全体的に重たい空気感よりはもっとアグレッシブさもあったように感じる。

 

街の中の人の出も増えたしね。

 

毎年年末にはこうして振り返り記事を書いているけど、去年の年末のものはなんだか重いものな。

 

そんな心持を持っていたからか、世間からは負け犬とか言われてしまうような人たちの表現だったり存在だったりがなんだか魅力的に見えたりね。

 

一昨日のTha Blue Herbのライブにも客演したYou The Rock★などまさにそんな存在だったが、彼の11年ぶりのアルバムはそんな表現だったね。

 

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度々書いているけど、Life Storyという言葉がずっと頭にあって、私にとっての一つのテーマになりつつある。

 

人と酒を飲むことも多いのだけど、そこでもその人の価値観とか、そういうものをよく聞くようになったな。

 

どうしても同い年とか、近い年齢の人の方が面白いけど、年上すぎる人とはあんまり話したいと思わないんだよな。

 

まだ若い子たちの方が話していて面白い。

 

まあ、本質は年齢ではなくその人の価値観だけどね。

 

古い経験ばかりを語る人には魅力はない。

 

でも、年上でもほんとにバリバリな人はいて、それはやっぱりかっこいいものな。

 

TBHなどまさにそうだから、だからずっと聴いているんだろうね。

 

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ライブもますます磨きがかかっていて、この人は次は何を歌うのかな、なんて期待してしまう。

 

 

同じようにアルバムのたびにどんどん良くなっていくのがアナログフィッシュだ。

 

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今年リリースしたアルバムは本当に良くて、何度聴いても良いどころか、聴くたびに更新されるようなアルバムだ。

 

トピックが日常すぎるからほんとに刺さる。

 

そのくせしみったれたところとか、ネガティブよりもポジティブに焦点があるように感じられるから、救われるような思いがする。

 

何気なさの中に鋭い表現があって、ほんとに唸らされるし。

 

今回は健太郎さんもSNSでもリツートとかしまくったり、雑誌のレビューも1ページ割かれていたりとかなりプロモーションになるトピックも多くあるので、もっと売れると良いな。

 

最後に配信ライブもやるなど、ファンにとっては嬉しい年末になった。

 

 

ベテラン勢の中でもう1組、KYONOのライブも久しぶりに見られてよかった。

 

声はボリュームに課題がありというのが正直なところだけど、でもやっぱりカッコよかったな。

 

高校生の時にマッドを聴いて以来のファンだけど、マイペースにこうして活動しているのがなんだかいいよね。

 

曲自体は激しいながらもメロディはポップだし、歌詞も実はピースフルで、そう言ったところも変わらない。

 

あんまり金にはなっていないと思うけど、ずっとかっこいいよな。

 

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と、再びの振り返り記事になってしまったが、やっぱりライブの思い出がすごいな。

 

この1ヶ月に集中して見ていたんだけど、やっぱり楽しかったもの。

 

来年はもっと活性化していくと思うから、楽しんでいきたいよね。

 

人生の時間はどんどん短くなっていくから、やるべきはやりつつね。


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