音楽放談 pt.2

SEO強化をしていこう。

小休止204「兆し」

ここ数年で世の中は大きく変わりかけていると感じる。

 

別に私だけの特別な感覚ではなくて、多くの人にとってそうではないかと思う。

 

昨年から続くコロナによる世界的な個々人の関係性の分断は、その関係性のあり方そのものを見直す機会になっただろう。

 

本当に必要な人間関係のみにフォーカスした人もいれば、そもそも人間関係自体がなくなった人もいるだろうから、いい悪いは人それぞれだろう。

 

私はどちらかといえば後者寄り、かと思いきや、実はあんまりかわっていない。

 

元々広く浅く付き合うタイプではなかったのでね。

 

でも、その限られていく環境の中で私を選んでくれる人がいたのは、はからずも嬉しい発見だった。

 

 

そして最近の1番のホットトピックは、やはりロシアによるウクライナ侵攻、戦争である。

 

1番新しい記憶としてはアメリカによるイラク戦争だったが、あの頃まではどこか海の向こうの他人事だった。

 

ところが今回はその温度感が違うように感じられる。」

 

なぜかといえば、それを取り巻く状況がかつてないほど日本にとってシビアだったからだ。

 

これまで大義名分的に信じられていたことのほとんどが文字通り名分だけだったことが図らずも浮き彫りになって、日本にとって静かな懸案事項だったものがだいぶざわつく始末となった。

 

しかし、それは遅かれ早かれだし、たまたま今回その懸念がわかりやすい形で顕在化しただけ、ずっとあったことだとは思うんだけどね。

 

ともあれ、世界は日本を守ってくれないということはまざまざと感じさせた事実だろう。

 

避難声明は出るだろうが、所詮はただの言葉だ。

 

ウクライナのように自ら戦う術を持たない限りにおいては、ただただ指を咥えて日常を奪われていく様を見るだけだろう。

 

他方で、仮にウクライナがロシアに屈する形になったとして、ロシアがそののちも覇権を維持できるかといえばそんなこともないのでは、という感覚もある。

 

今の世界にあって、それでも侵攻国が維持できるかといえばそんなことはないのではないだろうか。

 

実際多くの経済制裁で、ロシアの国際競争力は大きく低下している。

 

そうなれば、国民もいつまでもその国に居続けるだろうかといえば、そんなことはないだろう。

 

そうすると、必然国を維持するための最低限の人的資源もなくなるため、遅かれ早かれ滅亡の危機がまっているのではないだろうか。

 

核が投下されることで割を食うその深度は深くなるにしても、世界全体から見れば大した話ではないのかもしれない。

 

人間が、少なくとも種としての存続を本能的に求めるのであれば、という話だが。

 

その結果が見えれば、これからは武力行使が世界の覇権を握ることにはつながらないという事実が周知されることで、世界のあり方は少し変わるかもしれないが、他方でそんなことはお構いなしに自国の(というか自分の)メンツみたいなものにこだわる輩にとってはやはりなんの抑止にもならないだろうけど。

 

ともあれ、物理的な戦争なんていうものはない方がいいし、どうせ何も変わらないならないに越したことはない。

 

そうした思いをきちんと形にしようと動き出すGEZANは、本当の意味でプロテストなバンドだ。

 

昨日様々なアーティストを集めながら、新宿でイベントを急遽開催。

 

そこで反戦を歌ったそうだが、素晴らしいことだなと思う。

 

皮肉でもなんでもなくて、彼らは純粋にそう思うから行動しているだけだ。

 

その結果どうなるかは結果論でしかないから、何もしないやつよりはるかに素晴らしいし、単に彼らの音楽が好きだというだけの人だったとしても、その何分の一かでも何かのきっかけになれば、それが何よりだろう。

 

彼らは素晴らしい。

 


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こうしたわかりやすい事象もあれば、ぱっと見ではわからないかすかな動きも出始めているらしい。

 

世界では資本主義が覇権を持っており、今持ってその力学で世の中は動いている。

 

しかし、その資本主義に限界を感じており、ポスト資本主義といったことを唱えている人も出始めている。

 

私がここ2年くらいよく聞いているポッドキャストが「Coten Radio」というやつで、元々は歴史をマニアックにわかりやすく伝える、というエンタメ的な色の強いものだったが、最近では少し色を変えていて、歴史的事実にフォーカスしつつ、その上でこれからの世の中をどうしていくかというところにフォーカスし始めている印象だ。

 

元々はCOTENという一企業がやっているもので、ではこの会社な何しているの?というと、歴史のデータベースを作るという題名代を掲げており、そのための広告塔としてのポッドキャストというわけなので、やはりその会社のやりたいことを徐々に表目うするための色を強めるのは当然である。

 

この会社の社長が深井さんという人なのだけど、私と同い年なのだ。

 

しかも、好きな音楽がマリリンマンソンやNine Inch Nails、最近ではSpoonの新曲もリツイートするなど、趣味もちょっと被っているので勝手にすごいなと注目しているのだけど、彼はとても勉強家だし、理想家なので、その話は非常に興味深い。

 

直近のトピックでは、先のポスト資本主義的世界を話しており、そのための社会実験も自らの会社を使ってやろうとしてる。

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素直にすごいなと思うよな。

 

年収が800万円だったかを越えると、満足度は変わらなくなるという。

 

大半の人はそれ以下なので、そもそもそれを実感することはないだろうけど、その感覚は発展途上国が環境なんかに配慮できない事情と同じだろう。

 

それはともかく、今のようなお金の量が価値観の大半を規定する世界は、ある種資本主義の限界を示しており、もっと本質的な幸せを目指すなら、そこから逸脱する世界であるべきではないかと。

 

そうはいってもそんなものは金持ちの理想だと言えるが、その考え方がすでに資本主義に毒されているかもしれない。

 

仮に生活をする上で困らないお金がきちんと提供されるのであれば、仕事の意味も変わってくるだろう。

 

じゃあその財源はどうするんだとか色々問題はあるだろうけど、そんなものは価値観の土台を変えればスッと解決するかもしれない。

 

それを実現するためには世界的な動きがないといけないけど、富裕層の多くはすでにそういう思想を持っており、また今まさにあくせくしている人たちの中にもそうした価値観の人は増えてきているとか。

 

そうなると、いつの間にか知らない世界が訪れているかもしれず、その一歩目は知らないところですでに進んでいるのかもしれない。

 

 

私は日本は好きだし、日本的な文化は好きだけど、日本人のことはあんまり好きじゃない。

 

といってそこまで海外の人と交流があるわけでもないので、実態は知らないけど、何か起こるだびに現れてくる日本人っぽいとされる空気とかが大嫌いだ。

 

気持ち悪いとすら思う。

 

かの震災の後にも「日本がんばろう」という空虚なスローガンが喧伝されたが、なんとも言えない気持ち悪さがあった。

 

ちょうどその頃にGEZANは1stアルバムをリリースしたのだけど、その中で「何を頑張ればいいんだろう」とカウンターを浴びせる曲を収録していた。

 

何かにつけ、何かあるとすぐにキャンペーン化して個人がいなくなる。

 

・・・いや、やめておこう。

 

 

ともあれ、ここ数年で世界はまた大きく変わっていくんだろうな。

 

ドラスティックなものもあれば、いつの間にか変わっているようなものもあるだろう。

 

そういう変化は個人的にはウェルカムだし、どんどん変わっていけばいいと思う。

 

まあ、そのことを思うから子供を作るという発想に至らないところもあるけどね。

 

結婚もしてないけど。

 

世界は変わる。

 

生活も変わる。

 

そこに同最適化していくか、そういうところが面白いらしい。

 

仮に自分が途中で死んでも、別に構わないと思っているから。


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ライブライフ

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前週末から今週にかけては久しぶりにライブを盛り込んだ。

 

3本行ったが、うち2本はアナログフィッシュのアルバムツアー、もう一つはLillies and Remainsの出演するイベント。

 

東京でライブがあれば大体行っている2組をこうして観られたのは良かったね。

 

まぁ、26日は他にThe SpellboundとAA=と日程がドン被りという憂き目にあったが仕方ない。

 

希少価値という観点からもリリーズを選んだ。

 

 

で、まずはアナログフィッシュ

 

昨年末にリリースされた新譜『SNS』のリリースツアーとして、久しぶりに全国割と広く回ったのだが、東京では追加公演含め2公演あり、そのどっちも行ったかっこうだ。

 

このアルバムについてはさんざっぱら書いたが、とにかく素晴らしいアルバムだった。

 

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捨て曲なし、ノリノリな曲もあればしっとりな曲、このご時世にドストライクに刺さる曲など、まあ聴きどころ満載だ。

 

また今回はプロモーションも彼らにしてはかなり打っており、インタビューやラジオ出演など積極的で、お初の方にも耳に入る機会も多かったのではないか。

 

Twitterでも健太郎さん自らもツイートにいいね押しまくりだったり、宇多丸さんのやってるアトロクでのライブ出演、またスガシカオのラジオにも登場。

 

そして先週は、アルバム関連ではないが日向坂46の子がやっているラジオのジングルを提供するなど、違うところでも彼らの名前が知られるキッカケにも。

 

パーソナリティは松田好花さんという子がやっている番組で、ディレクターがバンドとも懇意なサトミツさんなので、その縁で話を持ちかけたそうな。

 

この子はあちこちオードリーに出ていたので知っていたが、この曲を聴いて泣いていたね。

 

ともあれ、好きなアーティストがこうして広く知られていくのは嬉しい限りだ。

 

 

さてライブであるが、曲単位では概ね聴いたことがある中で、セットリストなどどんな構成にしてくるかであったり、バンドとしてどんなモードなのかな、といったところも興味の焦点だ。

 

アルバム自体、社会性よりももっとポップで明るいものへの嗜好が強かったわけだが、ライブ自体もまさにそんな感じだった。

 

メンバー全員がとても楽しそうでそこからもポジティブなフィーリングに溢れている。

 

新曲はもちろん、旧曲もリアレンジverとして"Wednesday"や、"Sayonara 90's"が演奏され、どちらも良かったね。

 

アルバムでも、健太郎さんの曲がちょっとした非日常的な楽しいベクトルに対して、下岡さんの曲はより日常の中でのささやかな喜びみたいなもなが根底にあるのかな、なんて思っているのだが、リアレンジのこれらもそれを反映した楽曲だったのかな、なんて思ったり。

 

今回はSpace OddとBasement Barの2箇所で、セットリストは同じだったんだけど、その分素直に曲を楽しむ1回目と、もう少し噛み締めて観る2回目という感じで、"うつくしいほし"からの"No Rain, No Rainbow"の流れはなんか泣きそうになってしまった。

 

前者はギターのフレーズ一つでもなんだか違って響いて、派手じゃないけどそこにさりげなさを感じたり。

 

そして後者は彼ら自身もハイライトというくらい、演奏は激しさを増しながら、だからこそ日常の何気なさを描いた歌詞がエモく刺さってくる。

 

その間で純粋にキラキラと輝く"Saturday Night Sky"だったり、"Moonlight"が、本当にキラキラと響いてきてなんだか救われる思いもするわけである。

 

世の中が不安定になればなるほど、より身近な日常が愛おしくなるわけだが、彼らの曲はそれらに向き合わさせながらも、その中のキラキラした瞬間にフォーカスしているようで、それが今の自分にはたまらないのかもしれない。

 

とてもいいことがあった、いい日だった。

 

いい天気だった。


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そして土曜日は久しぶりのリリーズだ。

 

今回はイベントだったので持ち時間は短かったのだが、ともあれこうしてライブをやってくれるだけでもファンとしては有り難い。

 

昨年新曲を2曲、配信のみだがリリースしており、その後ちょっとずつ作っていきますとか言っていたので、今回はそれも聞けるかなと期待するさ。

 

ただ、そもそも彼らの曲がわたしは大好きで、ちょっとキザな独自の美学を感じるところが、どうにもツボなのだ。

 

旧作も飽きずに聴いているので、それを生で聴けるだけでも十分ニヤニヤしちゃうんだけどね。

 

 

リリーズは正式メンバーはKENTとKAZUYAの2人で、あとはサポートメンバーを迎えているが、概ねメンツは固まっているのでバンド感もちゃんと出てきている。

 

で、ライブはもう文句ないですよ、かっこいいの一言。

 

全て英語詞なので、言葉がそのまま入ってくることはない分、音としての気持ちよさで聴いているが、もうカッコいいのですよ。

 

このカッコよさだけで十二分な価値なのよ。

 

こういう直感的な感じはQueens Of The Stone Ageを聴いた時も感じた類のものだが、理屈でなくこういうのが好きなんだろうなとしか思えない。

 

正味1時間かそこらと短い時間だったが、ただありがとうだ。

 

ライブのMCでは、 KENT自ら僕らは多分解散はせずに、細々ですがやっていきます、といった言葉もあって、ヤキモキするところがないではないが、年に数回でもこうしてライブやって、何年かに一回はアルバム出して貰えれば、それでいいですよ。

 

年齢的にも同世代なので、一緒に歳をとっていく感じだろうな、なんて思ったりしてね。


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帰り道ではThe Spellboundのライブ盤を聴きながらだったが、こうして音楽に鼓舞されたり癒されたりできる私は幸せだなと思うのであった。

 

ギターと歌声の表現力 ーPredawn

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先日個人的には久しぶりのPredawnのライブだった。

 

コロナ禍にあって、ずっと配信を定期的にやってくれていたので、そういったところではナウな音楽は聴けていたけど、最近は関西が拠点らしく、関東でのライブは少なかった。

 

前作からはだいぶ空いていたがこの間で特にリリースはなかったが、やはりライブは聴きたいしね。

 

で、このほど4月に新譜のリリースが決まったそうな。

 

先行してシングルがリリースされているが、いずれも嬉しい知らせである。

 

そんなわけで、ざっとこれまでのキャリアを勝手に振り返ろう。

 

日本では女性アーティストはどうしてもアイドル的な扱いばかりされているので、彼女はそうしたスタンスでは全くない。

 

トヨタのCMでタイアップ曲などもあったが、そもそもプロモーションもほとんどしていないのであまり浸透しなかったのが口惜しくてたまらない。

 

もっと聴いてくれ!

 

こんな荒んだ世の中だからこそ、こんな音楽に心癒やされるのですよ。

 

 

Predawnはソロプロジェクト

Predawn清水美和子さんという人の音楽プロジェクト名義である。

 

作詞作曲はもちろん全て彼女で、アレンジや収録、ライブではサポートなどを入れてやっている。

 

調べると、実は30代半ばと年齢が近い。

 

見た目には非常に可愛らしく、しゃべると何を言っているかわからないくらい天然である。

 

しかし大学時代には哲学を専攻していたためか、言葉のチョイスが絶妙にとんがっており、ひねくれた青春時代を過ごしたんだろうことがそこはかとなく推察される、気がする。

 

ホホホと、微笑ましく見えてしまうが、これが歌うとびっくりする。

 

澄んだ綺麗なウィスパー系のボーカルで、アコギ一本でのライブもよくやっているが、とにかく歌もギターもめちゃ上手い。

 

声質的に私の好きなタイプで、Feistなんかとも通じると思っている。

 

WikipediaにはUKロックの云々と書かれているが、彼女自身影響源によく挙げているのがSparklehourseやジョニ・ミッチェルで、歌詞はともかく音的にはBright EyesなどUSのオルタナ系のアーティストの方が近しいものを感じる。

 

ずっとインディーズでやってきており、1作目はEPであった。

 

1st EP 『手の中の鳥』(2010)

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こちらは7曲入り20分と小品的なパッケージながら、今もライブの定番となる代表曲"Suddenly"はじめ、既に彼女の音楽性はある程度出来上がっている。


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アコースティックの柔らかい曲に、澄んだしなやかな声が実に心地いい。

 

彼女の曲は英語詞が大半で、内容は少し寂しいものが多い印象だ。

 

喪失感だったり、ある種の諦念のようなものだろうか。

 

歌詞カードには載っていないが、対訳は今は公式サイトに掲載されているので、併せて参照いただきたい。

https://www.predawnmusic.com/lyrics/lyrics01.html

 

曲としてはずっと聴けるポップさがあるので、晴れた穏やかな日に聴くにはぴったりの音楽である。

 

以降も一貫してそういうところがあるが、彼女の歌詞は自分の中の世界から見ていて、試作の先には誰かがいるがその人の気持ちだったり、考えだったりが結局わからないからこうだったのかしらと思いを馳せるような、そんな世界観かと思う。

 

私は人のことはわからないと思っているので、その観点で書かれている歌詞の方が好きなのである。

 

まあ、その視点で書いているかはわからないが、インタビューなんかも見ながら考えていくのも面白いだろう。

 

ototoy.jp

 

1stフルアルバム『Golden Wheel』(2013)

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待望のフルアルバムは真っ白なジャケットが目を惹くものだった。

 

前作はちょっと影のあるアートワークだったので、その意味でも印象はだいぶ変わるだろう。

 

フルレングスのアルバムは初となるが、基本的な音楽性はEPと同じだが、さまざまな楽器が使われておりアレンジが非常に多様になっている。

 


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こちらはライブでも定番の曲だが、アコースティックライブの映像があったので。

 

見ていただいてわかるように、ギターのフレーズが非常に柔らかく音の強弱もあってとてもうまい。

 

ちなみにこの曲は、昔は電話が嫌いだった、でも今はあなたからの電話をずっと待っている、というような大枠の軸があるのだけど、その過程でどんなことがあったかというところは是非歌詞と併せて聴いてみてほしいところだ。

 

 

このアルバムの頃にライブ作品もリリースしており、品川にある教会でのものはDVDにもなっている。

 

そこではバンドセットを組んでおり、ピアノやストリングスなどのメンバーも従えながら、曲によってはエレキギターも弾いており、非常に聞き応え抜群だ。

 

またMCも収録されているので、よりどんなアーティストなのかを示すいい作品になっている。


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ちなみに、私が聴き始めたのはこのアルバムがリリースしたちょっと後くらいだったのだけど、たまたま行ったイベントで見かけて、それで気になってきくようになった。

 

当時はライブ活動も活発で、さまざまなオルタナ系のイベントにもよく出ていたので見かける機会も多かったね。

natalie.mu

 

2ndアルバム『Absence』(2016)

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続く2ndアルバムも、基本的には前作からの地続きな作風ながら、より密度が増したような印象で、アルバムとしては曲の起伏もより出ていて深化したような作品であった。


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このアルバムでの先行シングル的な曲がこの"Universal Mind"だが、歌詞の内容は珍しく情念的というか、圧倒的な喪失感を歌ったような内容である。

 

文脈的には一方的に振られた失恋したばっかりのような心持ちだろうか。

 

とはいえ、英語詞なのと、歌声自体は柔らかいので、パッと聴いた感じでは重たくもないのが絶妙なところか。

 

また、このアルバムでは初の日本語詞の曲も。

 

日本語であるためか、歌詞の表現はより観念的な印象だ。

 

ちょうどいい動画がなかったので、ぜひSpotifyなどで聴いてみてほしい。

 

 

アルバム全体としては穏やかで心地よいトーンが続くので、季節的にはちょうど今の時期に聴くにもマッチする。

 

できれば天気のいい静かな日に聴いていると、凄まじく心地いい。

 

以下はライブでよくサポートしているメンバーも一緒のインタビューだ

mikiki.tokyo.jp

 

2nd EP『Calyx』とシングル“Deadwood”(2019)

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目下の最新作はこちらのEPだ。

 

5曲入りだが初の全曲日本語詞である。

 

日本語である分言葉の意味もダイレクトに入ってくるが、しかし世界観自体は変わらず感じられるのは面白いところだ。


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上品な古品的な作品なので、英語の歌は苦手という人にはこの作品からがおすすめかもしれない。

 

また同じ頃になんとトヨタのCMにタイアップで"Deadwood"という曲もやっている。

 

配信以外では音源化されていないので、次回アルバムにでも入れてくれると嬉しいが。


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すでにデビュー10年以上を数えており、そこそこキャリアを積みつつある。

 

10周年タイミングで記念ツアーを行なっており、その際のインタビューもされており、より彼女のキャリアもわかると思うのでお時間があればぜひ。

kansai.pia.co.jp

 

そのほかもろもろ

ざっと代表曲などを並べただけになってしまったが、とりあえず音源を聴いてほしいなと思うのですよ。

 

インタビューもプロモーションとして行われることがほとんどなので、本人があんまり動かないと全然露出がないので、最近の状況は本当にSNSとかライブでしかリリースがなくて、それが口惜しくもあるが、インディーでやっているのでいたしかたなしか。

 

ただ、このコロナになってから定期的にYoutubeで、音声だけだが配信も行なっていて、すでに44回を数えている。

 

大体1時間程度で、ゆる〜いトークとアコースティックライブの構成だが、自分の曲だけでなくカバーも多くやっているので、彼女がどんな音楽を聴いてきたかもわかるのが面白い。

 

The Velvet Undergroundなどのコアの代表みたいなのもあれば、なんとアリアナ・グランデの曲もやっている、ギター1本で。

 

トークパートとの音量差でたまにびっくりするが、ボケットしながら流しているのにちょうどいいので、ラジオがわりにもおすすめだ。

 

驚いたのは、私が大好きなNine Inch Nailsの"Hurt"もカバーしている。

 

インダストリアルというかなりゴリゴリな音楽をベースにしたバンドだが、この曲はジョニー・キャッシュもカバーしていることでも有名だ。

 

いろんな曲をカバーしているので、ぜひ聴いてみてほしい。 


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そして、今年待望の新作も4月のリリースが発表、先立ってシングルもリリースされている。


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久しぶりのツアーも日程が組まれていて、ファンとしては楽しみな限りだ。

 

ライブをやればそこそこ安定的な集客ができているようなので、すでに固定ファンがしっかりとついているものの、もっといろんな人が聴いてもいいと思ってもらえる音楽だと思うので、ぜひもっと広く聴かれることを願って止まない。

 

まずはサブスク系でもいいので聴いてみてほしいですね。

 

変わるものと変わらないもの

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今年はまた好きなアーティストのリリースが予定されており、実に嬉しい限りだ。

 

2月にはMoonchild(ソウル系の方)、Spoonのリリースが決まっており、未発表ながらMooolsも製作中らしい。

 

またアナログフィッシュもリアレンジアルバムは作ってくれるというから、楽しみが増えるのはいいことだ。

 

 

今年早々にアルバムをリリースしたのがBroken Social Sceneだ。

 

純粋は新譜ではなく、過去のB-Sideや未発表曲を集めたもので、すでに聞いたことのある曲もたくさんあったが、とはいえこういうものはファンとしては嬉しいものである。

 

聴いたことのない曲は制作の時期に関わらず初めて聞くわけだから、こちらにとっては新曲を一緒だしね。

 

Bsideだろうがなんだろうが、やっぱりいい曲書くな、ていうか好きだなと思うわけだ。

 

いろんな音楽を聞くようにしているけど、その中でこれはやっぱり好きだなと立ち返ってしまうアーティストの一つが、私に取っては彼らである。

 

このアルバムに収録されているのは、よりラフな曲も多いんだけど、その感触もなんだか気持ちよくて、そもそもの曲が好きなんだろうな、なんてことを改めて思うわけである。

 

 

あんまり中身のない内容になってしまったけど、年々理屈っぽくああだこうだということが無意味なのかなと思うようになってきている。

 

反面、今読んでいる本が音楽ジャーナリズムをテーマにしたものなので、そこで書かれている内容に共感するところもある。

 

それは、複数の音楽ライターや雑誌編集者を読んでインタビュー形式で話を聞くモノだが、柴さんも出ており、彼の発言の中で「書かずにはいられない人が一定数いる」というものがあるのだけど、確かになと思うわけだ。

 

私はただの素人の感想を書き綴っているだけなんだけど、こうしてせっせと文字に起こしているのは何か自分なりに言語化したいという欲求だし、最終的に誰にも読んでもらえなくてもいいと思っている。

 

見返したらすでに10年以上やっているブログだが、ただ書きたいから書いているだけなんだよね。

 

もちろんそこで多くの人に見てもらえるとか、たまに「いいね」みたいなのをもらえれば嬉しいのはたしかだけど、そこは本質ではない。

 

私が音楽を聞いて思ったことを言語化したいだけなのである。

 

本当に自己満足の世界。

 

その延長で、少しでもその音楽に興味を持ってくれる人がいたら嬉しいけどね。

 

 

ともあれ、大学生の頃からこういうブログを始めて、社会人になってからもずっと書いているし、多分ずっと書いているんだろうんだと思う。

 

ただの自己満足である。

 

デモ、人生は自己満足の積み重ねでしか幸せにはなれない。

 

今年も自己満足を積み重ねていこう。

 

とりあえず、Broken Social Sceneはずっと素晴らしいバンドだ。


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小休止203「積み重なる時間」

今年はまたバタバタした1年になったな。

 

まさかこんなに早く転職するとは思っていなかったし、とはいえ途中で何度かこのままではやっておれん・・・と思っていたのも事実で、そんな折にまさかの古巣から声がかかるという。

 

決めるまでには随分と時間をかけたが、正解だったかどうかはまだわからない。

 

少なくとも変なストレスは減ったけどな。

 

正直前の会社は仕事自体はそれなりに面白いところもあったし、今から省みても成長はしたよな、実際。

 

元々ストレス耐性は高い方だし、やりながら覚えるとか、決まったルールの中で四角四面にやるよりは自分でやり方も考えながらやる方が好きだから、それ自体はよかったし、散々な無茶振りや4割程度の引き継ぎ案件をぶん回していたのはまあいい経験だったよね。

 

意外となんとかなるし。

 

ただ、どうしてもついていけなかったのが会社としての考え方とか風土とか、案件を取るまではバチバチ工数をかける割には撮った後の扱いはまあ荒い。

 

年間数千万の予算をもらっておいて業務を回すのは新卒だけという案件がザラなのだから。

 

そりゃみんな削られるよな。

 

私は営業なので新規サイドだったけど、自分で言うのもなんだがあんまり新規営業には強くない。

 

既存拡販の方が得意だし、クライアントグリップも結構強いので、そっちの方が放置されるのがどうにも許せない。

 

てか、クライアントを軽視しすぎだよ。

 

とか思っていたからね。

 

環境が変わって2ヶ月になるが、逆にできていないことがもりもりすぎて、業務のキャッチアップはもとよりまずはその整理整頓と、全体的なベース作りからやってきた。

 

一定形にはなってきたが、残すところはちゃんと結果につなげるところだが、商品設計がニッチ過ぎてちょっと厳しい。

 

そのため、違う動きもしながら、やるべきことはある程度固めたので、この1ヶ月はそれを定式化しながらまた獲得を目指す感じだ。

 

結構頑張っていると思うけどな。

 

 

と、仕事の話をつらつらと書いてしまったが、11月以降はライブイベントも本格的に再開されて、私も下旬からはせっせと足を運んでははしゃいできた。

 

海外アーティストの来日としてKing Crimsonは最後のツアーとしてきてくれたのだけど、期待に違わない素晴らしいライブだった。

 

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他方で配信ライブもすっかり定着したので、どちらも行うことが通常になってきている。

 

プラットフォームも安定してきているしね。

 

当初は色々と問題があって、通信が悪いとか運営が悪いとかクレームもたくさん出ていたが、新しい技術だったりサービスだったりがスタートする時には仕方ないだろう。

 

世の中の価値観というか、そういうものも大きく変わったなと感じるよね。

 

プロセスエコノミーという言葉が一部で話題となったが、完成したものを世に出すだけでなく、それが生まれるプロセスを売るという発想だが、それをダイレクトに感じるような世界でしたね。

 

まあ、そんな話はともかく、それなりに手間も金もかかる中で、色々と腐心してくれる人がいるのはありがたいよね。

 

今年活動を本格化したThe SpellboundはライブをYoutubeで無料配信するなど、アーティストにとってもやりたいことをやりたいようにできるようになったのではないだろうか。

 

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2020年と比べれば、いい意味で開き直ったようなところもあったのだろう、全体的に重たい空気感よりはもっとアグレッシブさもあったように感じる。

 

街の中の人の出も増えたしね。

 

毎年年末にはこうして振り返り記事を書いているけど、去年の年末のものはなんだか重いものな。

 

そんな心持を持っていたからか、世間からは負け犬とか言われてしまうような人たちの表現だったり存在だったりがなんだか魅力的に見えたりね。

 

一昨日のTha Blue Herbのライブにも客演したYou The Rock★などまさにそんな存在だったが、彼の11年ぶりのアルバムはそんな表現だったね。

 

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度々書いているけど、Life Storyという言葉がずっと頭にあって、私にとっての一つのテーマになりつつある。

 

人と酒を飲むことも多いのだけど、そこでもその人の価値観とか、そういうものをよく聞くようになったな。

 

どうしても同い年とか、近い年齢の人の方が面白いけど、年上すぎる人とはあんまり話したいと思わないんだよな。

 

まだ若い子たちの方が話していて面白い。

 

まあ、本質は年齢ではなくその人の価値観だけどね。

 

古い経験ばかりを語る人には魅力はない。

 

でも、年上でもほんとにバリバリな人はいて、それはやっぱりかっこいいものな。

 

TBHなどまさにそうだから、だからずっと聴いているんだろうね。

 

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ライブもますます磨きがかかっていて、この人は次は何を歌うのかな、なんて期待してしまう。

 

 

同じようにアルバムのたびにどんどん良くなっていくのがアナログフィッシュだ。

 

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今年リリースしたアルバムは本当に良くて、何度聴いても良いどころか、聴くたびに更新されるようなアルバムだ。

 

トピックが日常すぎるからほんとに刺さる。

 

そのくせしみったれたところとか、ネガティブよりもポジティブに焦点があるように感じられるから、救われるような思いがする。

 

何気なさの中に鋭い表現があって、ほんとに唸らされるし。

 

今回は健太郎さんもSNSでもリツートとかしまくったり、雑誌のレビューも1ページ割かれていたりとかなりプロモーションになるトピックも多くあるので、もっと売れると良いな。

 

最後に配信ライブもやるなど、ファンにとっては嬉しい年末になった。

 

 

ベテラン勢の中でもう1組、KYONOのライブも久しぶりに見られてよかった。

 

声はボリュームに課題がありというのが正直なところだけど、でもやっぱりカッコよかったな。

 

高校生の時にマッドを聴いて以来のファンだけど、マイペースにこうして活動しているのがなんだかいいよね。

 

曲自体は激しいながらもメロディはポップだし、歌詞も実はピースフルで、そう言ったところも変わらない。

 

あんまり金にはなっていないと思うけど、ずっとかっこいいよな。

 

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と、再びの振り返り記事になってしまったが、やっぱりライブの思い出がすごいな。

 

この1ヶ月に集中して見ていたんだけど、やっぱり楽しかったもの。

 

来年はもっと活性化していくと思うから、楽しんでいきたいよね。

 

人生の時間はどんどん短くなっていくから、やるべきはやりつつね。


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鏡としての音楽 ーTHA BLUE HERB

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昨日は仕事納めで、私にとってはライブ納めでもあった。

 

今月は毎週末ライブに行っていて、ここ2年の鬱憤を晴らすように楽しんだのだが、そんなライブ月間の締めくくりだと勝手に位置付けている。

 

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毎回律儀に記事を書いていたとはいえ、考えてみればここ1年は更新頻度も下がってしまったのだが、やっぱり刺激があると考えることも増えるからね。

 

で、そんな最後を飾ったのは毎年恒例、年末には必ずLiquid RoomでやっているTha Blue Herbだ。

 

先月もイベントでは観ているけど、彼らの本領はやはり単独でこそ発揮される。

 

彼らは90年代からやっているわけで、ちゃんと継続的に音源も出して、音楽で稼いでいるのは彼らくらいだ。

 

MCはIll-Bosstino、トラックはO.N.O、そしてライブDJはDYEという3人が実質TBHだ。

 

Bossは50歳になったということなので、ヒップホップというジャンルにあってはオワコンとか過去の人と言われそうな年齢だ。

 

レジェンドの領域だしね。

 

実際今の若い世代でトップと言われるCreepy NutsZornなんかにとっては圧倒的なアイドルで、Zornは彼ら自身が24時間配信で対談相手として呼んだり、アルバム客演したり、そのほか様々なインタビューにも答えていたりと、Boss自身が完璧に認めている存在だったりする。

 

特に顕著なのは、セルフタイトルを冠した2枚組のアルバムでは、明らかにその影響を受けたリリックをあえて書いているとしか思えない。

 

今回のライブでは、珍しくMCも長かったのだけど、そこでも「あいつが今のトップだ」と楽しそうに話しているのが印象的だった。

 

Zornからしたら嬉しいだろうね。

 

 

と、前置きが長くなったが、今回はチケット発売間も無くで完売したこともあり、配信も決定、すっかりデジタルも使いこなしている。

 

会場はソールドアウトなので流石の満杯、といってもやはりキャパ100%入れていないようだった。

 

ともあれ会場の期待値はすでに高い。

 

彼等はヒップホップという、今の不良文化を代表する音楽ジャンルではあるが、客層は私も含めていわゆる普通のやつもたくさんいて、むしろ騒ぎたいだけのどヤンキーみたいな人はあまり見たことがない。

 

スタイルとしても自らリリシストと呼んでいるくらいそのリリックの世界観が一番の魅力なわけだが、そこに感動する人って、たとえヤンキーと言われる人でもちょっと芯のあるやつが多いのかなと勝手に思っている。

 

もう一つ面白いなと思うのは、携帯でカメラを構える人もほとんどいないということ。

 

これは今時めちゃくちゃ特殊な状況だと思う。

 

問題になり始めた当初はちらほらいたが、そのことにステージ上から彼等自身が「気持ちはわかるけど、そんなの勿体無いからちゃんと聴いてくれ」ということを言っていたこともあったが、いつしかそんなことを言わなくてもファンがわかっている状態になったのだろう。

 

私の行くライブはせいぜい2000人くらいのライブハウスがほとんどではあるが、彼等のライブでは会場全体が本当にワッとなる瞬間がたくさんあって、観客の期待値を分かりやすく感じられる。

 

それこそアイドルのライブとかはまた違うんだろうけど、本当に濃密なファンなんだろうなと思うわけだ。

 

 

開始時間を10分くらい押してスタートしたが、拍手で会場の空気が揺れるというか、あちこちでみんな力一杯するから細かな波紋が無数に広がりあっているような、そんなイメージが浮かぶくらいだ。

 

年末ということもあるだろうけど、やっぱりライブが始まった時の盛り上がりがまずすごい。

 

そして1曲目は"Amenimo Makezu"だ。

 

そりゃ盛り上がるよな。

 

そこから“北風"と、初期の曲を続けてドロップして、旧来のファンからすればたまらんだろうし、新しいファンにとってもこれ聴きたかった、とかあるだろうな。

 

そこからTBH名義の作品と、直近リリースしたDJ Hondaとのコラボアルバム、ソロからの曲を織り交ぜたセットリストを展開していく。

 

コラボアルバムでも顕著だったし、先のイベントでも感じたけど、今のBOSSはモード的にすごく明るいというか、楽しくてしょうがないというのが強く感じられるのですよね。

 

MCも結構取られて、そこではラップバトルについての苦言を呈することもあったりとか、テレビ番組に企画で呼ばれて、面白そうだと思ったが結局断った話とか、いつになく饒舌だった。

 

本当にあちこちで言われるんだろうね。

 

 

そして中盤では今年レーベルメイトになったYou The Rockも登場。

 

ソロアルバムでフィーチャリングしていたのでもちろんその曲での登場だ。

 

過去にトチってしまったことはもはや語種のように毎回いじられているが、それでも笑顔でお互い向かい合っているし、別に嫌味的なネガティブなニュアンスというよりは、今のYTRのあり方を考えた時に、むしろそのエピソードを込みでこいつ頑張ってるんだぜ、というパフォーマンスでもあったのだろうなと思う。

 

YTRのアルバムも私は買って聴いたのだけど、正直好きだったもの、この作品。

 

back-to-motif.hatenablog.com

これは冴えない中年の泥臭くてカッコ悪い足掻きを曝け出している。

 

反対側では変わらない本質が見えてきて、私は彼については昔よくテレビに出ていたくらいのイメージしかなかったし、音源も聞いたことはなかったけど、なんだかすごく知っている人のように感じられたものだ。

 

せっかくやってきたので、このアルバムからもリミックスverとして1曲披露された。

 

MCでは普通にトークセッションみたいになっていたが、そこで改めてこの曲のタイトルの背景や、こうして改めて活動をしている中でのあれこれも語られて、なるほどなと思ったものだ。

 

私も30半ばを超えて、そのくせいまだに大した実績も残せないままあくせくしているし、少し先の将来について不安に思ったり、死に方を考えるようになったりするわけだが、そんな中で改めて自分の昔を思い出す場面があって、曲を聴きながら改めてそんなことを重ねていた。

 

“Think About Why You Started“という言葉が改めて語りかけてくる、というやつか。

 

ライブで聴いて改めて思ったが、YTRは声が強いな。

 

 

2曲披露して彼はステージを後にしたが、そこからもまだまだライブは続く。

 

新旧はもちろん、客演したもの、特に最近はZornのアルバムでやった"Life Story"を部分的にだがよくやっている。

 

彼等の3rdアルバムのタイトルに冠された言葉だけど、これ以降の作品で変わったと言われているが、実際かなり心持ちは変わったのだろう。

 

このアルバムが、Bossが36歳の時だというから、なるほどなと思ってしまうよね。

 

私にとっても、最近やたらと頭に浮かぶのはこの“Life Story“という言葉、もちろん彼等のこのアルバムを聴いて以来、徐々に染み付いてきたような感じなんだけど、個人的には違う表現だけど同じことを言っていたんだろうなというので印象的だった言葉あった。

 

人には誰にでも語るべき物語がある、という言葉なんだけど、なんだか妙に頭にこびりついたのは20代前半の時だった。

 

そこから10年くらい経って改めて、やっぱり言葉が語りかけてくるような感覚なのだ。

 

 

すでに色々脱線しながら長くなってしまっているが、この日のライブも3時間の長丁場だ。

 

書いていて気がついたけど、曲を聴きながらそれぞれの曲で自分の中で浮かぶ景色や場面とか、いろんな人の顔だったり昔の記憶だったり色んなものを思い出してたね。

 

呂布カルマも何かのインタビューかYoutubeチャンネルかで話していたのが、表現しようと思ったことをすでにBossが言ってることが結構あるから一時聴きたくなかった、というようなことだ。

 

ひょっとしたら多くの人が感じる感覚だったり、形は違えど似たような経験を思える状況だったりを描いているんだろうな。

 

それらが紐づくからいろんなことを考えてしまうんだろうな。

 

3時間という長さで、まあ流石に長いぞとは思うのだけど、でも体感としては全然そこまでは思わない。

 

いつもそうなんだけど、それだけ音楽に没頭しているのだと思うし、まあこんだけあれこれ自分でも考えてるから、時間とかそういうことじゃないんだろうな。

 

多分毎回同じような経験をしていたと思うけど、自分の中でようやく言語化できた気がするな。

 

だからなんだかんだ彼等の音楽はずっと聴いてしまうんだろうな。

 

MCでも、俺らだけじゃなくてお客のあなたたちと一緒に作っている、という表現をしているが、もちろん彼等自身のパフォーマンスのテンションを上げるためのリアクションを求めるところもあるだろうが、他方でどう受け取るかでも楽しさは変わるぜとということもあるのかな、なんて思ったり。

 

私は音楽的なことはあまりわからないけど、その表現を通して自分が何を感じるかという感覚を大事にしているし、なんならそれがある音楽だったり絵画だったり本だったりを好むので、まさにそれを体感できるから毎回こうして足を運ぶことにもなっているのかもしれない。

 

ラストは"今日無事"で、最後は今年無事だ。

 

年末にはこの曲で締めるのが定番になってきているね。

 

最後まで万雷の拍手は続いて、満足度もめちゃ高かったな。

 

帰りは足が棒になっていたが、まあ3時間も経ってたからね。

 

期待以上に楽しかったし、変な客もいないし。

 

隣にイカつめのお兄さんがいて、MCの度に声を出して「うん・・・うん・・・そうだよ・・」とか言ってて気になったが、最後の方で両手をぶんぶん振りながら、まるでアイドルを見つめる少女のように胸の前で手を組んでいる様を見た時はなんか知らんがほっこりしたが。

 

友人と来ていたらしく、そのリアクションは「ああん?」みたいな感じなのに、そのギャップでまた思わず笑ってしまったが、彼にとってはBOSSは本当にアイドルなんだろうな。

 

 

来年はまた全国ツアーもするらしく、そして年末もすでに会場を抑えたと早すぎる公表、いつになくBOSSもずっと楽しそうだったし、MCでも曲について語ることはこれまでもあったけど、語り口がいつものようなストーリーテリングな形ではなくもっと率直だったのも驚いた。

 

本当に楽しいんだろうね。

 

年明けには24時間配信の再放送も決定、2日分けて配信されるので、今度は体にも優しいのはありがたい。

 

また音源も聴きながら、ライブを見て、楽しんでいきたいですね。

 

最高でした。


www.youtube.com

2年前の映像だけど。

ライブラッシュな年末間近

この週末はあれこれと予定があり個人的には充実した時間であった。

 

世の中的なクリスマスとは益々縁遠くなっていくが、実際以前のほど普遍的なイベントでは無くなったのではないかという気もする。

 

テレビもあまり観ないせいか、テレビCMも見ないから余計にそうなるだろう。

 

ともあれ、楽しければなんでも良かろう。

 

 

さて、この週末はまず久しぶりのBo Ningenだ。

 

今回は単独ではなくThe Hacthというバンドとの対バンであった。

 

このバンドのことは知らなかったし、正直Bo Ningen終わったらさっきと帰って酒を飲もうと思っていたので単独でいいのにと思っていた。

 

しかし、実際に聴いてみたらかっこいいではないか。

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彼らは北海道のバンドということだが、私自身久しぶりにこんなハードコアなバンドを聴いた思いだ。

 

Kuruucrewを想起させるようなかなりアグレッシブさもあり、トランペットもいるので余計そう思ってのかもしれない。

 

冬だってのにボーカルはいきなり裸だし、ボーカルもスクリーモ的なところもあり何を言っているかはわからない。

 

しかしそこはかとなくポップさもあり、そうかと思えば転調してカオティック。

 

なんだかよくわからないが清々しい気持ちにさせられる。

 

終演後にベースのあんちゃんが挨拶をして行ったが、めちゃくちゃ好青年でビックリしてみたり。

 

今度音源を聴いてみよう。

 

 

そしてBo Ningenである。

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なんやかんやこの時期に毎年ライブをやってくれているように思う。

 

コロナもあって日本に滞在している時間も長かったので、Taigenはソロ名義でもちょくちょくやっていたし、バンドも珍しくDjセットで先週だったかもライブはやっている。

 

とはいえ、バンドスタイルではやっぱり久しぶりなわけで、こうして定期的に彼らの轟音を浴びるのは大事なことだ。

 

昨年リリースの『Sudden Friction』のリリースライブとなるので、こうしてライブでこのアルバムの曲を聴けるのも楽しみだしね。

 

最近のライブでは旧曲もアレンジもよりサイケデリックで激しくなっていくので、毎回のライブが違って面白い。

 

 

ライブは意外にも旧曲でスタート、初っ端から全開である。

 

相変わらず独特なユニセックスファッションのTaigenは今日も裸にアミアミだ。

 

ギターのYukiは三つ編みおさげという特定ゾーンに刺さりまくってそうな髪型だ。

 

そしてコウヘイとモンちゃんは変わらずである。

 

2人とも仙人みたいだな。

 

それはともかく、割とYukiのギターがいつもノイジーで激しいのだけど、年々磨きが掛かっていくようだ。

 

割と序盤に"koroshitaikimochi"も演奏されたが、この曲はいつ聴いてもかっこいいな。

 

そして新譜の中ではPrimal Screamのボビーと共演した"Minimal"に顕著だが、新作は実はこれまでで1番ダンサブルな要素もあるように思う。

 

彼らの音楽はどちらかと言えばノイズの洪水でグワーっとなっていく感覚が気持ちいいのだけど、考えてみれば"Henkan"もハンマービートで縦揺れにドカンと揺らすような曲だから、元々ダンスミュージック的な側面もあったのだろうけど。

 

最近私はライブ中は目を閉じて聴くことが多いのだけど、そうすると音のひとつひとつが聞こえる一方で、渾然一体となる様もすごくよくわかるので、ライブでは特にこういう聴き方が気持ちいいのである。

 

 

MCは短いながらに終盤で挟まれたが、彼はここ数年で話すこと自体はそれほど変わっていない印象だ。

 

音楽で語る、といつも言っているからね。

 

加えてコロナ的な文脈もあるわけだが、割と物腰柔らかに見えてトンガっているのでそれを垣間見せる発言もあったな。

 

この間もライブの現場でちょっと諍いがあったらしく、それを反省する弁をTwitterで呟いていたが、気持ちはわかるのだよな。

 

歳を取れば落ち着くかと思っていたことのほとんどが、歳をとるほどにどんどんひどくなるなというのは私もよく感じる。

 

ある種のスキルで躱せるものもある一方で、どうしようもないものもたくさんあって。

 

とはいえ、それはネガティブなものばかりじゃなくて、変にカッコつけていたようなものがなくなって素直さを出せるようになることもある。

 

それは詰まるところその人の芯は何か、ということかもしれないね。

 

ラストは"Daikaisei"で暴れ回っていた。

 

曲の終盤ではジャムノイズアワーがあるわけだが、そこではいつもTaigenが見栄を切るような場面があり、プロレス好きだからその辺りからの影響かな、とか思ったり。

 

ステージ脇でスタッフもノリノリなのがなんか嬉しい。

 

今回はアンコールもなく終幕となったが、たまにこうして爆音で轟音を浴びると厄でも落としている気分になる。

 

今年はOgre You Assholeの恒例ライブも、まさかの被りで行けなかった分、ここで浴びることができて良かったな。

 

 

終わったのがちょうど21時だったので、会場を出てすぐにスマホでThe Spellboundの配信に。

 

先週のライブをまたぞおろ無料配信である。

 

嬉しい。

 

会場での体験含むものはもちろん、配信で改めてさまざまなカメラ割りでみるのもとても面白いのだ。

 

曲そのものをじっくり聴けるしね。

 

このライブでは撮影OKだったのだけど、とは言えライブ中にずっとカメラを構えている人が前にいて、かなりのノイズだったんだよな。

 

バンドの立場からはそうしてSNSなどで拡散されることが認知拡大にも広がるからいいこともあるが、それにしても限度あるだろと。

 

てか印象的な場面で写真撮るくらいならともかく、ほんとにずっと構えてる奴はせっかく生で聴けるのにもったいないとか思わないのかな。

 

と、そんなこともあったので改めて音源もちゃんと聴けるのは嬉しいのですね。

 

ライブ音源と録音の違いは、テンションにより音の強弱が如実に出るし、何よりそれを人がプレイしているわけだからその挙動も含めてのパフォーマンスである。

 

こうしてみるとやはりドラムの2人の存在感が素晴らしい。

 

福田洋子さんはブンサテからのメンバーだが、クールな佇まいがカッコいいね。

 

若手の大井くんとユニゾンする瞬間がちょいちょいあるが、ビシッと揃った瞬間はさらに痺れる。

 

中野さんもハンドクラップを促したり、歌をくじずさんでいたりと楽しそうだし、要所要所のギターやキーボードが実にいいアクセント。

 

これがセンスか。

 

そして、このバンドの大きな強みはやはり小林くんのボーカルだと思う。

 

彼はハイトーンからスクリームから幅広く歌いこなせるのだけど、特にこのバンドでは彼のクリアなハイトーンが実にハマっている。

 

楽曲自体がとても明るいというか、そもそもポジティブなフィーリングに溢れている中で、そこにハマりまくっている。

 

ほんと、数年前のノベンバのボーカルの姿からは私には想像できなかったが、『Halellujya』以降は憑き物がおちたように見た目も好青年になっていったが、元々の彼の純粋さみたいなものが素直に出てきたのだろう。

 

改めて歌詞もじっくり聴いていると、彼らの最初のリリースとなった"はじまり"の歌詞は、つい色々と重ねてみてしまうにしろ、いい歌詞だよね。

 

めちゃポップでポジティブな印象ながら、歌詞はちょっと悲しいところもあるのである。

 

わかってるよ、いつかは消えてしまうってこと、というラインがありながら、でもだからこその強さがあるのがいい。

 

と、先日ライブはライブで書いたけど、改めていいライブだったなと思ったのでした。

 

アルバムも楽しみだ。

 

 

日付変わって日曜日、お昼過ぎにササキオサムさんと、ムンチャ時代のギタリスト秋山さんとのユニットのインストアライブだ。

 

オサムさんの相方は長らくベースのわりっちだったが、ここ最近は秋山さんとライブもよく回っている。

 

秋山さんは今や売れっ子ギタリストとして様々な大物アーティストのサポートもやっているが、改めてこうして一緒にやっているのをみると、何か馬が合うようなところがあったのかもしれないね。

 

長年のムンチャファンの私からしても嬉しい取り合わせだ。

 

正直そこまで今は一生懸命聴いているわけではないが、こうして元気に、何より楽しそうに活動している様はファンにとっても嬉しいところだ。

 

このコンビのライブは私は初めましてなので、ライブとなればやっぱり楽しみだ。

 

 

インストアイベントなので、全体にゆるい感じで始まったのだが、これがまた面白い。

 

オサムさんはいつも謎のMCを展開していが、今日は秋山さんも一緒だ。

 

今回のイベントは2部制だったのだが、第1部で既にかなり喋っていたということでちょっと疲れてないか?と思ったがそんなこともなく。

 

こうして生で歌声を聞くと全然衰えておらずで、いい声だなぁと聴き入ってしまう。

 

他方でギターの秋山さんだが、さすがのテクニックというか、細かなフレーズを綺麗に奏でてくるので、その手元を見ているだけでも面白い。

 

アコースティックアレンジされた"アネモネ"は、アレンジこそ変わっているとは言え核のメロディはそれでも際立っているし、やはり名曲だね。

 

高音部は流石に出づらくなったものの、この曲は色褪せない。

 

新曲のしっとりした感じも、低音が十分に響くので色っぽくてオサムさんの声ともバッチリ合っている。

 

まぁ、作ってる本人だからそりゃそうだろうけど、最近のバンドは割と高音のボーカルも多いので、こうしたバリトンっぽい声はなんか今更新鮮にも思える。

 

ラストは"escape"だったが、なんと歌詞を間違えるという。

 

とはいえ、この曲もやっぱりかっこいい曲だ。

 

この人はやっぱり天才だよなと改めて思ったのでした。

 

終演後は撮影タイムで、観客個々のカメラにも目線をくれる。

 

最前列にいたおねぇさん方も熱心なファンなのだろう、えらい盛り上がっていたね。

 

私は最後列だったのでしばし待ってのワンショットをもらって後にしたのでした。

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ライブが終わると足速に飛び出して帰宅の途に着いた。

 

何せ夜はアナログフィッシュだ。

f:id:back_to_motif:20211226225831j:plain酒と食べ物を買い込んでいそいそと家に着く。

 

今回は昨年のTownmeeting by the Seaに続く配信ライブ第2弾、その名もBy The Lakeということで、キャンプ場の湖畔で撮影されたものをちゃんと編集、マスタリングしたものの配信で、前回と同じくDVDもリリースされる。

 

もちろん買った。

 

願わくばライブCDも欲しいので次は同梱版を、ダウンロードでもいいから音源も出してくれると嬉しい限りだ。

 

それはともかく、彼らの最新アルバムもそうだが、都会的な空気感だけでなく、どこかオーガニックというか、自然の中にあっても響く音楽なので、このロケーションと併せてどんな感じになるかが本当に楽しみだ。

 

 

配信は途中ネットワークのトラブルもあり、ちょっとノイズが入る形になってしまったのは残念だったが、ともあれやっぱり曲の良さですよ。

 

彼らのライブはいつみても元気にしてくれる。

 

その一番の理由はメンバー自身が楽しそうだからなんだと思う。

 

ポジティブは伝染するからね。

 

彼らはそれが押し付けがましくないから、悲しい気分の時に聞けばそれはそれで寄り添ってくれるような、そんな音楽である。

 

ちょっと前に彼らの最新アルバムについても書いたけど、とにかく聴いていて心地よくて、辛い現実に目を向けさせられる瞬間もあるけど、それも大事なところなんだよな。

 

今日はなぜか不意にナーバスになってしまう瞬間があったけど、数分後にはなんとか折り合いもつけられた。

 

この配信は年明けまで見られるので、またゆっくり見ながら、しばらくこの世界を味わおう。

 

DVDが来るのも楽しみだ。

 

 

と、今週末はあれこれとライブイベントに溢れていて、個人的には幸せだった。

 

他方でそれぞれの表現の意味とかを考えているとつい昔のこととか、嫌な記憶も含めて思い出してしまうので、ちょっと心乱れるところもあったが、私にとっては音楽を聴くというのはそういう行為でもあるからね。

 

最後に落ち着けたので、いい週末であった。

 

今年も残りあと数日か。

 

激動ばかりな近年だが、クソみたいな人生でもちょっとくらい足掻いてみるだけである。